
BtoB ECと受発注システムは、どちらも企業間取引をオンライン化する仕組みです。
機能が重なる部分も多く、「何が違うのか」「自社にはどちらが合うのか」と迷う方もいるのではないでしょうか。
両者の主な違いは、オンライン化によって何を実現したいかにあります。
一般的に、BtoB ECは法人向けの販売や顧客接点の拡大、受発注システムは既存取引先との受発注業務の効率化を重視します。
ただし、取引先別の価格設定や商品表示、Web上での注文受付など、 BtoB ECと受発注システムの両方の特徴を備えた仕組みもあります。
そのため、名称だけでなく、導入目的や対象となる取引、必要な機能を基準に選ぶ必要があります。
本記事では、BtoB ECと受発注システムの違いを5つの項目で比較し、それぞれが向いている企業や、両者の特徴を備えた仕組みが適するケーについて解説します。
目次
1. BtoB ECと受発注システムの違い【比較表】
BtoB ECと受発注システムは、機能が重なる一方、導入目的や主な利用者、重視される機能などに違いがあります。
主な違いを5つの項目で整理すると、以下のとおりです。
比較項目 | BtoB EC | 受発注システム |
導入目的 | 法人向け販売のオンライン化、販売機会・顧客接点の拡大 | 既存の受発注業務の効率化 |
主な利用者・取引先 | 新規・既存の法人顧客 | 主に継続的な取引のある既存取引先 |
重視される機能 | 商品検索、商品情報・関連商品の表示、問い合わせ・注文導線 | 注文受付、取引先別の価格・注文条件、再注文、基幹システム連携 |
導入後に期待する成果 | 売上機会や商品を見てもらう機会の拡大 | 入力・確認作業や受注ミス、注文処理時間の削減 |
選定の考え方 | 顧客が商品を探し、比較・検討しやすい仕組みか | 現在の取引条件や受発注業務に対応できる仕組みか |
両者を分ける主な基準は、「法人向けの販売機会や顧客接点を広げたいのか」「既存の受発注業務を効率化したいのか」という導入目的です。
ただし、BtoB ECでも取引先別の価格設定や再注文に対応している場合があり、受発注システムでも商品検索やWebカタログなどの機能を備えている場合があります。
判断基準となるのは、自社の目的や必要な機能に合っているかどうかです。
2. BtoB ECと受発注システムの基本と機能の重なり
BtoB ECと受発注システムは、名称や機能が似ていますが、指す範囲と重視する役割は同じではありません。
2-1. BtoB ECとは
BtoB ECとは、企業間で行われる商品の販売や仕入れを電子化する仕組みです。
本記事では、その中でも、取引先がWeb上で商品情報を確認し、見積もりや注文を行うBtoB ECサイトを指します。
経済産業省の調査によると、2024年の国内BtoB-EC市場規模は514兆4,069億円で、前年比10.6%増となりました。EC化率も43.1%に達し、前年から3.1ポイント上昇しています。 |
新規・既存を問わず幅広い法人顧客を対象とする形態だけでなく、既存取引先や承認された企業だけが利用する形態もあります。
企業間取引では、取引先ごとに価格や販売商品、支払条件などが異なるため、こうした条件をサイト上へ反映できる機能が求められます。
| BtoB ECの種類や必要な機能、メリット・デメリットについては、「BtoB ECとは?メリット・デメリットをわかりやすく解説」で詳しく解説しています。 |
2-2. 受発注システムとは
受発注システムとは、顧客からの受注や仕入先への発注、在庫・納期確認など、企業間で行われる受発注業務をデジタル化し、一元管理する仕組みです。
本記事では、その中でも、取引先がWeb上で商品を確認・注文し、受注側が注文情報を管理できるWeb受発注システムを中心に扱います。
FAX・電話・メールで受け付けた注文を、エクセルや基幹システムへ転記している場合などに、注文受付や受注処理の効率化を目的として活用されます。
特に、既存取引先との継続的な注文が多い企業では、注文履歴から再注文でき、取引先ごとの価格・商品・注文条件に対応できる仕組みが欠かせません。
| 受発注システムの仕組みや種類、導入手順については、「受発注システムとは?3つの種類とデメリットや導入手順まで解説」もあわせてご覧ください。 |
2-3. BtoB ECと受発注システムは機能が重なることもある
BtoB ECと受発注システムは、明確に分けられるとは限りません。
サービスによっては、両方の特徴を備えているためです。
例えば、BtoB ECでも、取引先ごとの価格・商品表示、注文履歴からの再注文、基幹システムとの連携など、受発注業務を効率化する機能を備えている場合があります。
一方、受発注システムでも、商品画像や詳細情報の掲載、商品検索、Webカタログなど、取引先が商品を探して検討しやすくする機能を備えている場合があります。
このように、BtoB ECと受発注システムの違いは、搭載されている機能だけで決まるものではありません。
サービスの名称ではなく、導入目的や利用者、導入後に実現したいことをもとに判断します。
3. BtoB ECと受発注システムの違いを5項目で比較
ここからは、1章の比較表で示した5項目を詳しく見ていきます。
3-1. 導入目的の違い
BtoB ECは、法人向けの商品販売をオンライン化し、販売機会や顧客接点を広げることを目的に導入されるケースが多く見られます。
Web上に商品情報を掲載し、顧客自身が商品を探して比較・検討できる環境を整えることで、既存顧客への販売だけでなく、新たな法人顧客との接点づくりにも活用できます。
一方、受発注システムは、現在の受発注業務にかかる手間やミスを減らすことを主な目的として導入されます。
例えば、FAX・電話・メールで受け付けた注文をエクセルや基幹システムへ転記している場合、注文受付をWeb化することで、入力や確認にかかる作業を削減できます。
注文情報や処理状況を一元管理すれば、社内で共有しやすくなります。
両者の違いは、何を第一の目的とするかにあります。
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ただし、BtoB ECの導入によって受注業務が効率化されることもあれば、受発注システムによって注文しやすくなり、販売機会の拡大につながることもあります。
3-2. 主な利用者・取引先の違い
BtoB ECは、既存顧客に加えて、新たな法人顧客にも商品を見てもらい、問い合わせや注文につなげたい場合に活用されます。
誰でも商品情報を閲覧できる公開型のほか、会員登録した企業だけが利用できる会員型や、既存取引先だけがログインできるクローズド型もあります。
そのため、BtoB ECが必ずしも不特定多数の企業を対象とするとは限りません。
一方、受発注システムは、すでに取引関係のある顧客との継続的な注文業務で活用されるケースが一般的です。
例えば、毎月同じ商品を注文する、取引先ごとに価格や注文条件が異なる、過去の注文履歴から再注文するといった取引が該当します。
このように、BtoB ECは新規・既存の法人顧客、受発注システムは主に既存取引先を対象とする傾向があります。
ただし、対象だけで一律に分けられるわけではありません。
誰に利用してもらい、どのような取引をオンライン化したいのかも判断材料になります。
3-3. 重視される機能の違い
BtoB ECと受発注システムでは、搭載できる機能が重なる一方で、システムを選ぶ際に重視されやすい機能には違いがあります。
BtoB ECで重視されやすい機能 | 受発注システムで重視されやすい機能 |
商品検索・絞り込み | Web上での注文受付 |
商品画像・詳細情報・仕様の表示 | 取引先別の価格・商品設定 |
商品カテゴリ・特集・関連商品の表示 | ロット・入数・最低注文数の設定 |
公開範囲・会員登録の設定 | 注文履歴からの再注文 |
Web上での販売・販促 | 基幹・販売管理システムとの連携 |
BtoB ECでは、顧客が商品を探し、比較・検討しやすい設計が求められます。
商品情報の見せ方や検索性、関連商品の提案などが主な選定ポイントです。
一方、受発注システムでは、日々の注文を正確かつ効率的に処理できるかが重視されます。
取引先ごとの条件設定や再注文、既存システムとの連携を含め、現在の業務や商流に沿って運用できるかを見極めます。
3-4. 導入後に期待する成果の違い
システムの導入後に、どのような成果を重視するかにも違いがあります。
BtoB ECで期待される成果の例は、次のとおりです。
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一方、受発注システムでは、次のような成果が重視されます。
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BtoB ECでは売上機会や顧客接点、受発注システムでは業務効率や正確性に関する成果が重視される傾向があります。
導入前に「どの作業をどれだけ減らしたいのか」「どの顧客接点を増やしたいのか」など、期待する成果を具体的に決めておくと、導入後の効果を検証しやすくなります。
3-5. システム選定の考え方の違い
BtoB ECを選ぶ場合は、顧客が商品を探し、比較・検討して、問い合わせや注文まで進みやすい仕組みかを見極めます。
商品情報の見せ方や検索性、公開範囲、会員登録から注文までの導線が選定のポイントです。
受発注システムでは、現在の取引条件や受注処理の流れに対応できるかが判断基準になります。
取引先ごとの価格や商品、注文単位、再注文、基幹システムとの連携などが主な確認項目です。
販売機会の拡大と受発注業務の効率化をどちらも実現したい場合は、BtoB ECと受発注システムの両者の特徴を備えた仕組みも選択肢になります。
サービスの名称やカテゴリーだけで判断せず、導入目的、利用者、対象となる取引、必要な機能、期待する成果をもとに候補を絞り込みます。
4. BtoB ECと受発注システム、どちらを選ぶべき?
BtoB ECと受発注システムは、どちらか一方が優れているわけではありません。
自社が実現したいことや、現在抱えている課題によって、適した仕組みは異なります。
ここでは、BtoB EC、受発注システム、両者の特徴を備えた仕組みが、それぞれどのような企業に向いているのかを解説します。
候補 | 向いている企業 |
BtoB EC | 商品情報を充実させ、新たな法人顧客との接点や販売機会を広げたい企業 |
受発注システム | FAX・電話・メールによる注文や転記作業を減らし、既存取引を効率化したい企業 |
両者の特徴を備えた仕組み | 商品を探しやすくしながら、取引先別の条件に沿った注文と受注処理の効率化を両立したい企業 |
5. 自社に合うのはどちら?4つの確認ポイント

BtoB ECと受発注システムのどちらが適しているかは、自社が優先する目的や、利用してもらいたい顧客によって異なります。
サービスの名称や機能の多さだけで選ぶのではなく、次の4つのポイントが主な判断材料になります。
5-1. 販売機会の拡大と業務効率化のどちらを優先するか
最初に、システムの導入によって何を優先して改善したいのかを明確にします。
新たな法人顧客との接点を増やしたい、Web上で商品を見てもらう機会を広げたい場合は、BtoB ECとの相性がよいでしょう。
一方、FAX・電話・メールによる注文受付や、注文内容の転記・確認作業を減らしたい場合は、受発注システムが適しています。
判断の目安は、次のとおりです。
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複数の課題がある場合は、「導入後に最も改善したいこと」を一つ決めると、必要な仕組みを判断しやすくなります。
5-2. 既存取引先と新規顧客のどちらを対象にするか
次に、誰にシステムを利用してもらうのかを整理します。
既存取引先との継続的な注文を効率化したい場合は、受発注システムが適しています。
取引先ごとの価格や商品、注文条件を反映し、過去の注文履歴から簡単に再注文できることが重要です。
一方、新たな法人顧客にも商品を見てもらい、問い合わせや注文につなげたい場合は、BtoB ECが適しています。
商品情報の公開範囲、会員登録の方法、問い合わせから注文までの導線が選定時の確認項目です。
ただし、既存取引先だけを対象とするクローズド型のBtoB ECもあります。
新規・既存という区分だけでなく、次の点も判断材料になります。
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対象となる顧客と公開範囲を明確にすることで、必要な仕組みを絞り込みやすくなります。
5-3. 商品の探しやすさと受注処理の効率化のどちらを重視するか
顧客にシステム上で何をしてもらいたいかも、重要な判断基準です。
顧客が商品を検索し、画像や仕様を比較しながら選べることを重視する場合は、BtoB ECが適しています。
商品カテゴリ、絞り込み検索、関連商品、特集などの有無が選定のポイントになります。
一方、いつもの商品を短時間で注文できることや、取引先ごとの条件に沿って正確に注文できることを重視する場合は、受発注システムが適しています。
再注文、取引先別の価格・商品、ロット・入数などへの対応が主な確認ポイントです。
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卸売業では、取引先別の価格や商品、ケース・ロットなど、複雑な注文条件に対応できるかも選定時の確認項目です。
どちらを選ぶ場合も、発注側が無理なく利用できるかという視点が欠かせません。
従来のFAX・電話注文が別管理のまま残ると、受付経路が二重になり、かえって受注管理が複雑になる可能性があります。
| 必要な機能や比較ポイントは、「卸売業向け受発注システムの選び方」で詳しく解説しています。 |
5-4. 両者の特徴を備えた仕組みが必要か
ここまでの3項目を確認しても、どちらか一方に絞れない場合は、両者の特徴を備えた仕組みも選択肢になります。
特に、顧客が商品を探して比較し、取引先ごとの価格や注文条件に沿って注文でき、その情報を受注処理までつなげたい場合が該当します。
システムの名称ではなく、「商品を見せる」「注文してもらう」「受注処理を効率化する」という一連の流れに対応できるかが選定の基準になります。
6. BtoB ECと受発注システムの特徴を備えた仕組み
BtoB ECと受発注システムの両者の特徴を備えた仕組みの一例として、新日本印刷では「WONDERCART」を提供しています。
WONDERCARTは、Web上での商品閲覧と注文受付に対応したBtoB受発注システムです。
取引先は、商品画像や詳細情報を確認し、必要な商品を検索して、そのままWeb上から注文できます。
商品を見つけやすい環境を整えながら、FAX・電話による注文や、受注側の転記・確認作業を減らせます。
WONDERCARTでつなげられる流れ |
このように、商品を探す段階からWeb注文、受注処理までを一つの流れとしてつなげられます。 |
WONDERCARTの機能や導入方法について詳しく知りたい方は、資料をご覧ください。
自社の受発注業務に合う仕組みについて相談することも可能です。
7. まとめ|導入目的と必要な機能から自社に合う仕組みを選ぼう
| 【この記事のポイント】 |
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自社に合う仕組みを選ぶには、誰に利用してもらい、どの業務をどのように改善したいのかを整理することが大切です。
商品の探しやすさと受発注業務の効率化を両立したい場合は、両者の特徴を備えた仕組みも候補になります。
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