
受発注システムには、クラウド型・パッケージ型・スクラッチ開発型など複数の種類があり、それぞれ費用や導入期間、カスタマイズ性が異なります。
自社の業務に合わないシステムを選ぶと、期待した効率化が進まず、運用負荷や追加コストが発生する可能性があります。
本記事では、受発注システムの代表的な3種類を比較し、それぞれの特徴やメリット・デメリット、自社に合う種類を選ぶポイントを解説します。
目次
1. 受発注システムの種類は大きく3つ|比較表で違いを整理

受発注システムは、大きく「クラウド型」「パッケージ型」「スクラッチ開発型」の3種類に分類されます。
まずは、それぞれの違いを比較表で確認しましょう。
| 比較項目 | クラウド型 | パッケージ型 | スクラッチ開発型 |
| 初期費用 | ◎ 低い | ○ 中程度 | △ 高い |
| ランニングコスト | 月額・年額利用料が発生 | 保守契約が中心 | 保守・改修費用が高額になりやすい |
| 導入期間 | 数日〜数週間 | 数週間〜数か月 | 数か月〜1年以上 |
| カスタマイズ性 | △ 限定的 | ○ 製品によって対応可能 | ◎ 自由度が高い |
| 保守・運用 | ベンダーが対応 | 自社・ベンダーで対応 | 自社または開発会社で対応 |
| 基幹システムとの連携 | API連携に対応する製品が多い | 柔軟に対応可能 | 業務に合わせて自由に設計可能 |
| 向いている企業 | 短期間・低コストで導入したい企業 | 標準機能を活用しつつ一部カスタマイズしたい企業 | 独自業務が多く、自社専用システムを構築したい企業 |
3種類にはそれぞれメリット・デメリットがあり、「どの種類が最も優れている」というものではありません。
重要なのは、自社の受発注業務や既存システムとの連携要件、将来的な運用まで見据えたうえで、最適な種類を選択することです。
1-1. クラウド型
クラウド型は、インターネット経由でサービスを利用するタイプの受発注システムです。
ベンダーがシステムを運用・管理するため、自社でサーバーを用意する必要がなく、短期間で導入できる点が特徴です。
近年では、多くのクラウド型サービスが基幹システムや会計ソフトとの連携機能を備えており、中小企業から大企業まで幅広く導入されています。
1-2. パッケージ型
パッケージ型は、あらかじめ開発されたソフトウェアを自社環境へ導入して利用するタイプです。
標準機能を活用しながら、必要に応じて機能追加や設定変更を行える製品も多く、クラウド型より柔軟な運用が可能です。
一方で、導入や保守には一定のコストや期間が必要になります。
1-3. スクラッチ開発型
スクラッチ開発型は、自社の業務フローに合わせてゼロからシステムを開発する方式です。
業務に最適化したシステムを構築できるため、独自の受発注フローや複雑な基幹システムとの連携にも対応しやすいことが特徴です。
ただし、開発期間が長く、初期費用や保守費用も高額になりやすいため、十分な予算と運用体制が求められます。
次章からは、それぞれの種類について特徴やメリット・デメリット、どのような企業に向いているのかを詳しく解説します。
2. クラウド型受発注システムとは
クラウド型受発注システムは、インターネット経由で提供されるサービスを利用するタイプの受発注システムです。
システムの構築やサーバー管理を自社で行う必要がなく、ベンダーが提供するサービスにアクセスして利用します。
まずは、クラウド型の特徴を表で整理します。
項目 | 内容 |
特徴 | インターネット経由で利用する受発注システム。サーバー構築やソフトウェア管理を自社で行う必要が少ない |
メリット | 初期費用を抑えやすく、短期間で導入しやすい。保守・アップデートもベンダーに任せられる |
デメリット | 月額利用料が継続的に発生する。カスタマイズ範囲が限られる場合がある |
向いている企業 | 低コスト・短期間で受発注業務をデジタル化したい企業。標準的な業務フローで運用している企業 |
近年では、月額料金で利用できるSaaS型サービスが増えており、導入のしやすさや運用負担の少なさから、多くの企業で採用されています。
2-1. クラウド型の特徴
クラウド型の最大の特徴は、初期費用を抑えながら短期間で導入できることです。
インターネット環境があれば利用できるため、専用サーバーの構築やソフトウェアのインストールが不要な製品も多くあります。
また、法改正への対応や機能追加、セキュリティアップデートはベンダー側で実施されるため、自社でシステムを管理する負担を軽減できます。
2-2. クラウド型のメリット
クラウド型には、次のようなメリットがあります。
- 初期費用を抑えて導入できる
- 数日〜数週間程度で利用を開始できる
- システムの保守・アップデートをベンダーに任せられる
- インターネット環境があれば複数拠点から利用しやすい
- 利用人数や機能を段階的に拡張しやすい
特に、これまで紙やFAX、メールで受発注業務を行っていた企業では、比較的スムーズにデジタル化へ移行しやすい点もメリットといえるでしょう。
2-3. クラウド型のデメリット
ただし、クラウド型には注意すべき点もあります。
- 月額利用料が継続的に発生する
- 製品によってはカスタマイズ範囲が限定される
- インターネット環境が利用できないと業務に影響する可能性がある
- 独自性の高い業務フローには対応できない場合がある
標準機能を前提として設計されているサービスが多いため、自社独自の業務プロセスが多い企業では、導入前に対応範囲を十分確認することが重要です。
2-4. クラウド型が向いている企業
クラウド型受発注システムは、次のような企業に適しています。
- できるだけ短期間で受発注業務をデジタル化したい企業
- 初期費用を抑えてシステムを導入したい企業
- システム運用や保守に多くの人員を割けない企業
- 標準的な受発注フローで業務を行っている企業
- 将来的な利用人数の増減に柔軟に対応したい企業
ただし、複雑な業務フローや独自の運用ルールが多い企業では、パッケージ型やスクラッチ開発型のほうが適している場合があります。
そのため、自社の業務内容や必要な機能を整理したうえで、最適な種類を選択することが大切です。
| FAXやメールによる受発注業務を効率化したい方は、こちらの記事もご覧ください。 FAX受注をデジタル化する方法|成功事例3つと失敗しない進め方 |
3. パッケージ型受発注システムとは
パッケージ型受発注システムは、受発注業務に必要な機能があらかじめ搭載されたソフトウェアを、自社の業務に合わせて導入・運用するタイプのシステムです。
クラウド型と比べてカスタマイズの自由度が高く、企業ごとの業務フローや運用ルールに対応しやすい特徴があります。
まずは、パッケージ型の特徴を表で整理します。
項目 | 内容 |
特徴 | あらかじめ開発されたシステムを導入し、必要に応じて設定変更や機能追加を行う |
メリット | クラウド型より柔軟なカスタマイズが可能。独自業務にも対応しやすい |
デメリット | 初期費用や導入期間がクラウド型より大きくなりやすい。保守・運用も必要 |
向いている企業 | 標準機能だけでは業務に合わず、一定のカスタマイズを行いたい企業 |
クラウド型ほど手軽ではありませんが、スクラッチ開発ほどコストをかけずに、自社業務へ適したシステムを構築できるため、中小企業を中心に多く採用されています。
3-1. パッケージ型の特徴
パッケージ型は、ベンダーが提供する標準機能をベースに、自社の業務内容に合わせて設定変更やオプション追加、一部カスタマイズを行って導入します。
受発注管理だけでなく、在庫管理や販売管理、会計システムとの連携機能を備えた製品も多く、既存システムとの連携を前提とした運用にも対応しやすい点が特徴です。
3-2. パッケージ型のメリット
パッケージ型には、次のようなメリットがあります。
- 標準機能を活用できるため、ゼロから開発する必要がない
- クラウド型より柔軟にカスタマイズできる
- 自社の業務フローに合わせた運用がしやすい
- 基幹システムや販売管理システムとの連携に対応しやすい
- スクラッチ開発より導入コストや開発期間を抑えられる
既存の業務を大きく変えずにシステム化したい企業にとって、導入しやすい選択肢といえるでしょう。
3-3. パッケージ型のデメリット
注意点として、パッケージ型には次のようなデメリットがあります。
- クラウド型より初期費用が高くなる場合がある
- 導入から運用開始まで数か月程度かかることがある
- 大幅なカスタマイズは追加費用が発生する場合がある
- バージョンアップ時にカスタマイズ部分の改修が必要になることがある
- サーバー環境や保守体制を準備する必要がある製品もある
そのため、導入前には必要なカスタマイズ範囲と保守コストを確認することが重要です。
3-4. パッケージ型が向いている企業
パッケージ型受発注システムは、次のような企業に適しています。
- 標準機能だけでは業務に対応できない企業
- 自社独自の運用ルールをできるだけ維持したい企業
- 基幹システムや販売管理システムと連携したい企業
- スクラッチ開発ほどの予算はないが、柔軟性も重視したい企業
- 中長期的に安定したシステム運用を考えている企業
短期間・低コストで導入したい場合はクラウド型、業務要件が非常に複雑で既製品では対応できない場合はスクラッチ開発型のほうが適しているケースもあります。
自社の業務要件や予算に応じて、最適な種類を選択しましょう。
4. スクラッチ開発型受発注システムとは
スクラッチ開発型受発注システムは、自社の業務フローや運用ルールに合わせて、ゼロからシステムを設計・開発するタイプの受発注システムです。
既製品では対応が難しい業務にも柔軟に対応できる一方、開発期間や導入コストは3種類の中で最も大きくなる傾向があります。
まずは、スクラッチ開発型の特徴を表で整理します。
項目 | 内容 |
特徴 | 自社の業務に合わせてゼロから設計・開発する受発注システム |
メリット | 業務に最適化したシステムを構築でき、自由度の高いカスタマイズが可能 |
デメリット | 開発期間が長く、初期費用や保守・改修コストが高くなりやすい |
向いている企業 | 独自の業務フローが多く、既製品では対応できない企業 |
スクラッチ開発型は、独自性の高い業務を抱える企業や、既存システムとの複雑な連携が必要な企業で採用されることが多く、自社専用のシステムを構築したい場合に適した選択肢です。
4-1. スクラッチ開発型の特徴
スクラッチ開発型は、既存のソフトウェアを利用するのではなく、自社の要件をもとにシステムを一から開発します。
受発注管理だけでなく、在庫管理や生産管理、販売管理、会計システムなどと連携した独自の業務システムを構築できるため、業務効率化だけでなく、企業独自の運用を実現しやすいことが特徴です。
4-2. スクラッチ開発型のメリット
スクラッチ開発型には、次のようなメリットがあります。
- 自社の業務フローに合わせて自由に設計・開発できる
- 必要な機能だけを実装できる
- 基幹システムや周辺システムと柔軟に連携できる
- 将来的な機能追加や業務変更にも対応しやすい
- 他社との差別化につながる業務システムを構築できる
業務プロセスをシステムに合わせるのではなく、システムを業務に合わせられる点が最大のメリットです。
4-3. スクラッチ開発型のデメリット
一方で、スクラッチ開発型には次のようなデメリットがあります。
- 初期費用が高額になりやすい
- 開発から運用開始まで数か月〜1年以上かかる場合がある
- 要件定義や開発プロジェクトの管理が必要になる
- 保守・改修のたびに費用が発生する
- 開発会社への依存度が高くなる場合がある
そのため、十分な予算や運用体制を確保したうえで導入を検討することが重要です。
4-4. スクラッチ開発型が向いている企業
スクラッチ開発型受発注システムは、次のような企業に適しています。
- 独自の受発注業務を行っている企業
- パッケージ型では業務要件を満たせない企業
- 基幹システムや生産管理システムと高度な連携が必要な企業
- 長期的な視点で自社専用システムを構築したい企業
- システム開発・運用に十分な予算を確保できる企業
標準的な受発注業務であれば、クラウド型やパッケージ型でも十分に対応できるケースが少なくありません。
自社の業務内容や必要な機能、予算とのバランスを考慮しながら、最適な受発注システムを選択しましょう。
5. 自社に合う受発注システムの種類を選ぶポイント

受発注システムは、機能や価格だけで選ぶのではなく、自社の業務内容や将来的な運用まで見据えて選定することが重要です。
ここでは、自社に適した受発注システムを選ぶために確認しておきたい4つのポイントを紹介します。
5-1. 現在の受発注業務を整理する
まずは、現在の受発注業務を整理し、どこに課題があるのかを明確にしましょう。
例えば、「FAXやメールで受注しているため転記作業が多い」「受発注状況をリアルタイムで確認できない」「業務が属人化している」といった課題によって、必要となるシステムは異なります。
現状の業務フローを可視化したうえで、改善したい業務や解決したい課題を洗い出すことで、自社に適したシステムを選びやすくなります。
| 受発注業務全体の課題について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。 取引先とのFAX廃止はどう進める?関係を壊さない4つの進め方 |
5-2. 必要な機能・カスタマイズ性を確認する
受発注システムによって、搭載されている機能やカスタマイズできる範囲は異なります。
例えば、受発注管理だけで十分なのか、在庫管理や販売管理、請求業務まで一元管理したいのかによって選ぶべき種類は変わります。
また、自社独自の承認フローや帳票がある場合は、どの程度カスタマイズできるかも確認が必要です。
必要以上に多機能なシステムを選ぶとコストが増える一方で、機能が不足すると業務改善につながらない可能性があります。
必要な機能を優先順位ごとに整理しておくことが大切です。
5-3. 既存システムとの連携を確認する
受発注システムを導入する際は、現在利用している基幹システムや販売管理システム、会計システムなどと連携できるかを確認しましょう。
システム間でデータを自動連携できれば、二重入力や転記作業を削減でき、入力ミスの防止や業務効率化につながります。
一方で、連携できない場合は手作業が残り、システム導入の効果を十分に得られない可能性があります。
導入前には、API連携やCSV連携への対応状況、連携実績なども確認しておくと安心です。
5-4. 将来の事業拡大も見据えて選ぶ
現在の業務だけでなく、将来的な事業拡大や取引先の増加も考慮してシステムを選ぶことが重要です。
例えば、拠点の増設や利用ユーザー数の増加、新しい販売チャネルへの対応などが予定されている場合は、機能拡張や利用規模の拡大に対応できるシステムを選ぶことで、将来的なシステムの入れ替えリスクを抑えられます。
目先の費用だけで判断するのではなく、中長期的な運用を見据えて、自社の成長に合わせて活用できる受発注システムを選択しましょう。
| どの受発注システムが自社に合うか迷ったら |
受発注システムは、業務内容や取引先との運用によって最適な種類が異なります。 |
6. まとめ
受発注システムには、「クラウド型」「パッケージ型」「スクラッチ開発型」の3種類があり、それぞれ導入方法や費用、カスタマイズ性、運用方法が異なります。
そのため、「どの種類が優れているか」ではなく、自社の業務内容や課題に適したシステムを選ぶことが重要です。
短期間・低コストで導入したい場合はクラウド型、標準機能を活用しながら柔軟に運用したい場合はパッケージ型、自社独自の業務フローに合わせてシステムを構築したい場合はスクラッチ開発型が適しています。
受発注システムの導入は、業務効率化や人的ミスの削減、生産性向上につながる重要な取り組みです。
本記事で紹介した比較表や選定ポイントを参考に、自社の業務内容や予算、将来的な事業展開も踏まえながら、最適な受発注システムを検討してみてください。
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