
新日本印刷は、2026年4月8日(水)から10日(金)に、ポートメッセなごやで開催された「ものづくりワールド名古屋2026」に出展しました。
「ものづくりワールド」は、製造業向けの国内有数のイベントで、今回は来場者数28,253人、出展社数607社と、多くの企業・来場者が集まりました。
これまでIT・DX系の展示会への出展が中心だった新日本印刷にとって、本展示会は製造業の現場担当者が多く来場する点で、これまでとは異なる気づきや手応えを得られる機会となりました。
本記事では、今回の出展内容に加えて、
- 製造業の現場で感じたリアルな課題
- 小規模ブースでの展示設計の工夫
- 来場者の反応と今後への示唆
について、現場視点でお伝えします。
目次
1.ものづくりワールド名古屋2026とは

ものづくりワールド名古屋は、製造業に関わる企業・技術が集まる専門展示会です。
設計・製造・生産管理・DXなど、ものづくりの現場に直結するテーマが一堂に会します。
今回の展示会で特に印象的だったのは、来場者の多くが具体的な現場課題を持って来場している点です。
展示会では、情報収集や比較検討が目的の来場者も多く見られます。
一方で、ものづくりワールドでは「今困っている業務をどう改善するか」という明確な目的を持ってブースを回る方が多く見受けられました。
そのため、単なる製品紹介ではなく、現場に即した課題解決をどのように提示できるかが重要になります。
この点は、これまで出展してきたIT・DX系展示会との大きな違いであり、今回の展示設計にも大きく影響したポイントです。
2.出展の狙い|「量から質」への転換

今回の出展では、ブース条件や来場者特性を踏まえ、これまでとは異なる展示方針を設計しました。
キーワードは「量より質」、そして「次につながる接点づくり」です。
2-1.小規模ブースでの挑戦
今回の出展は0.5小間というコンパクトなブースでした。
これまで出展してきた展示会では通路角の好立地が多かったのに対し、今回は通路の途中に位置するブースです。
そのため、自然と来場者が流れ込んでくるような環境ではなく、意図的に立ち止まってもらう設計が求められました。
こうした条件の中で重視したのは、来場者数ではなく商談の質です。
単に多くの名刺を集めるのではなく、「この会社なら相談できそうだ」と感じてもらえる接点をつくることにフォーカスしました。
2-2.出展コンセプト
また、今回の展示では、「AI」や「システム」を前面に出すのではなく、業務課題から入る設計を重視しました。
その第一歩として、ブースのメインコピーには「業務効率化を伴走支援」を掲げました。
これは、「業務効率化」という多くの企業が抱える共通課題に対して、「伴走支援」という解決のスタンスをひと目で伝えることを意図したものです。
製造業の現場では、新しいツールの話から入っても関心を持たれにくいケースが少なくありません。
そのためまずは「何を解決できるのか」をシンプルに伝え、関心を持ってもらうことを優先しました。
そのうえで、来場者との会話の中で業務課題を整理し、解決手段の一つとしてデジタルやAIを提示するという流れを設計しました。
3.展示内容|業務課題から設計された提案
今回の展示では、業務課題を起点にしながら、2つの軸で解決手段を提示する構成としました。
1つは、BtoB受発注システム「WONDERCART」。
もう1つは、生成AI活用の開発プロジェクト「WONDERLABO」です。
さらにWONDERLABOの具体的な取り組みとして、「AI-FAXOCR」と「AI商品画像検索」のデモを用意し、実際に体験していただきました。
3-1.WONDERCART|受発注を“双方で整える”
今回の主軸となる提案は、BtoB受発注システム「WONDERCART」です。
電話・FAX・メールなど分散している受発注業務を、取引先を含めて整理し、在庫確認や注文確認といった問い合わせの削減につなげる仕組みとして紹介しました。
これは単なる受発注業務のデジタル化ではなく、自社と取引先の双方で受発注プロセスを整えることにより、業務全体の効率化を実現するソリューションです。
3-2.WONDERLABO|生成AIで受発注の業務課題を解決する伴走支援
今回の展示会出展から新たに打ち出したのが、「WONDERLABO」というプロジェクトです。
WONDERLABOは単なるパッケージサービスではなく、生成AIを活用して受発注業務の課題を解決していく伴走支援プロジェクトです。
受発注業務における
- 手間
- ミス
- 属人化
といった課題に対して、ヒアリングから小さな検証、現場への定着までを一貫して支援します。
重要なのは、「AIを導入すること」ではなく、業務課題に対して最適な解決手段を設計することです。
そして、現場への定着まで伴走支援することこそ、WONDERLABOが大切にしている価値です。
3-3.課題解決の具体例|AI活用ソリューション
WONDERLABOの具体的な開発例として、今回の展示では以下の2つを紹介しました。
3-3-1.AI-FAXOCR

手書きFAXをAIで読み取り、データ化する仕組みです。
取引先の運用方法を変えずに、自社側の入力作業や転記ミスの削減につなげることができます。
3-3-2.AI商品画像検索

スマートフォンなどで撮影した画像から商品を検索する仕組みです。
完全に一致する商品だけでなく類似商品も判別できるため、問い合わせ対応や発注業務の効率化につながります。
これらのソリューションは、WONDERLABOの個別機能ではなく、業務課題に応じて設計される解決手段の一例です。
来場者の課題に応じて、WONDERCARTとWONDERLABOを組み合わせながら、最適な形で提案できる点が今回の展示の特徴です。
4.ブース設計のポイント
今回のブース設計では、限られたスペースの中で、いかに来場者の関心を引き、商談につなげるかを重視しました。
小規模ブースだからこそ、メッセージ設計と接客導線の両方をシンプルに整理しています。
4–1.小さなブースでどう立ち止まらせるか
今回のブースでは、「3秒で通過される環境」を前提に設計しました。
来場者は歩きながら複数のブースを見ているため、その短い時間の中で「自分に関係ある」と思ってもらう必要があります。
そのために、以下の3点を意識しました。
- メッセージを絞る
- 視覚的に理解できる構成にする
- 一瞬で課題を想起させる
さらに、ブース全体の設計として、「受発注管理」と「生成AI開発」という2つの課題解決ソリューションを、ブースの左右で色分けして見せる構成にしました。
これにより、来場者が自身の関心領域を視覚的に理解できるようにしています。
限られた時間で関心を持ってもらうには、伝えたいことを増やすのではなく、最初に伝えるべき内容を絞ることが重要です。
4–2.商談設計|関係構築を前提としたブース運営
今回の展示で重視したのは、商談の進め方です。
| 展示会=リード獲得の場ではなく、関係構築の起点 |
この考え方を前提に、以下のような運用を行いました。
- 短時間で課題をヒアリング
- 自社サービスとの適合性を確認
- 解決の方向性のみ提示
- 詳細は次回商談へ
展示会の場ですべてを説明しきるのではなく、次回商談につながる関係構築を目的とした設計です。
展示設計と商談設計を一体で考えることで、来場者との接点を次のアクションへとつなげやすくなります。
その結果、ブースでのやり取りから、具体的な課題やニーズがより明確に見えてきました。
5.来場者の反応と現場感
実際のブース運営を通じて見えてきたのは、事前に想定していた課題に加え、より現場に根ざした具体的なニーズの存在と、デモ体験による理解の深まりでした。
ここでは、現場で得られた反応と気づきを紹介します。
5-1.多く聞かれた課題
来場者からは、以下のような課題が多く聞かれました。
- FAXによる受発注が残っている
- 手作業による入力が多い
- 業務が属人化している
- AIに興味はあるが使い方がわからない
これらは事前に想定していた課題でもありますが、実際の現場ではより具体的な悩みとして語られるケースが多く見られました。
例えば、
- FAXをなくしたいが、取引先が対応できない
- 入力作業に時間がかかり、他の業務に手が回らない
- 担当者しかわからない業務が多く、引き継ぎが難しい
といった形で、日々の業務に直結した課題として認識されていることが印象的でした。
また、「AIに興味はあるが何から始めればよいかわからない」という声も多く、ツールそのものではなく、活用の進め方に対するニーズが高いことが見えてきました。
5-2.デモ体験が理解につながる
今回特に効果的だったのは、デモによる説明です。
AI-FAXOCR
手書き文字を正確に読み取り、適切なフォームに入力される様子を見せることで、「テンプレートが変わっても対応できる」という点までご理解いただけました。
その結果、「こういう場合でもできますか?」といった具体的な質問が生まれました。
AI商品画像検索
画像検索では、
- 完全一致(100%)
- 類似商品(90%台)
といった精度の違いを実際に見せることで、仕組みへの理解が進みました。
「こういったこともできますか?」「スマホでも使えますか?」といった質問が出たタイミングが、理解が進んだ瞬間だと感じています。
こうした反応から、業務課題に対する関心の高さと、実際に体験することで理解が深まる重要性を改めて実感しました。
一方で、こうした気づきはブース設計だけでなく、現場での声かけや対応の工夫によっても大きく左右されます。
次章では、実際の運営の中で見えてきた現場の取り組みについて紹介します。
6.現場で見えた変化と気づき

展示会の成果は、ブース設計だけでなく、現場での対応によっても大きく左右されます。
ここでは、実際の運営を通じて見えてきた変化と課題について紹介します。
6-1.初参加スタッフの成長
今回の展示会では、初参加のスタッフもいました。
当初は、
- ブースが小さい
- 来場者がすぐ通過してしまう
- メッセージが届かない
といった課題に直面し、なかなか呼び込みができない状況でした。
そこで、周囲のブースを観察しながら、声かけ内容を見直しました。
他社ブースと差別化し、伝える内容をシンプルに変えたことで、来場者の反応に変化が見られました。
たとえば実際の声かけは以下です。
「入力作業、自動化しませんか?」
「展示会限定プランあります!」
結果として、来場者の関心に合わせたアプローチができるようになり、ブースへの誘導につながりました。
6-2.展示会運営のリアルと改善視点
展示会運営において、もう一つの課題が「記録」です。
ヒアリングシートはこれまで改善を重ねてきましたが、
- デモを見せながら
- 会話をしながら
- ヒアリングシートに記入する
といった対応は、現場では難しい場面が多くありました。
これは多くの企業が直面する、展示会におけるデータ化の難しさだと感じています。
そのため今回見えてきたのは、考え方の転換の必要性です。
- 展示会の場で情報を完璧に残そうとしない
- 優先すべきは課題把握と適合性の確認
- 詳細は次回商談で整理する
展示会はあくまで関係構築の入口であり、その場で完結させるのではなく、次回商談につなげる前提で運用を設計することが重要です。
7.出展成果と今後への示唆
展示会3日目は雨の影響もあり、来場者数の伸びに一定の影響がありました。
結果として数値面では目標に届かない部分もありましたが、内容面ではいくつかの重要な成果と手応えを得ることができました。
一つ目は、製造業の現場との新たな接点の創出です。
これまでIT・DX系の展示会が中心だった当社にとって、現場担当者と直接対話できたことは大きな意味がありました。
実際の業務に即した課題や運用上の制約など、これまで見えにくかったニーズを具体的に把握することができました。
二つ目は、業務課題起点の訴求に対する手応えです。
「AI」や「システム」ではなく、業務の課題から会話を始めることで、来場者との対話がスムーズに進み、より具体的な相談につながるケースが多く見られました。
これは、今回の展示設計の方向性が一定の有効性を持っていたことを示しています。
三つ目は、「伴走型支援」という価値の提示です。
単なるツール提供ではなく、課題整理から改善、定着までを一貫して支援するというスタンスに対して、共感や関心を示していただく場面が多くありました。
特に、「何から始めればよいかわからない」という来場者に対して、相談できるパートナーとしての立ち位置を伝えられたことは大きな収穫です。
一方で、数値面の結果や現場運用を踏まえると、改善すべき点も明確になりました。
- 来場者数に左右されない集客設計
- 短時間での訴求力のさらなる強化
- 展示会後のフォロー体制の精度向上
といった点は、今後の出展に向けた重要なテーマとなります。
今回の出展を通じて得られたのは、単なる成果だけでなく、次につながる具体的な改善視点と方向性でした。
8.まとめ|製造業DXに必要なのは“伴走者”
製造業のDXは、一気に進むものではありません。
現場の業務や取引先との関係性を踏まえて、段階的に改善していく必要があります。
今回の展示会を通じて改めて感じたのは、多くの企業が「何をすべきか」だけでなく、「どこから始めるべきか」に悩んでいるという点です。
その中で重要になるのが、課題整理から実装、そして現場への定着まで伴走するパートナーの存在です。
WONDERCARTのように業務全体を整理する仕組みと、WONDERLABOのように課題に応じて柔軟に解決策を設計する取り組みを組み合わせることで、現場に無理のない形でDXを進めることができます。
今回のものづくりワールド出展は、「AIを導入すること」ではなく、業務課題を起点に改善を進めることの重要性と、それを支える伴走型の支援の価値を実感する機会となりました。
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