
倉庫の在庫管理で、在庫数が合わない、商品を探すのに時間がかかる、出荷ミスや欠品が発生するといった課題はありませんか。
こうした問題は、在庫数だけでなく、保管場所・入出庫記録・作業手順・発注ルールが整理されていないことで起こりやすくなります。
本記事では、倉庫の在庫管理方法の基本から、在庫が合わない原因、今日から実践できる改善策までを解説します。
自社の課題に合った改善方法を見つけ、在庫差異や作業ロスの削減に役立ててください。
◾️課題別|倉庫の在庫管理でまず見直すべきポイント
倉庫の課題 | 主な原因 | まず行う改善策 |
在庫数が合わない | 入出庫記録の漏れ・更新遅れ | 入出庫ルールを統一する |
商品を探す時間が長い | 保管場所が担当者の記憶に頼っている | ロケーション番号を付ける |
ピッキングミスが多い | 商品の取り間違い・作業手順のばらつき | ピッキングリストを作成する |
欠品が発生しやすい | 発注点や安全在庫が決まっていない | 発注ルールを見直す |
過剰在庫が増えている | 需要を把握せずに発注している | 出荷実績をもとに適正在庫を確認する |
棚卸しに時間がかかる | 目視・手書き作業が多い | 棚卸し方法と記録方法を見直す |
エクセル管理に限界を感じる | 複数人更新や転記作業が増えている | 在庫管理システムの導入を検討する |
倉庫の在庫管理を改善するには、すべてを一度に変える必要はありません。
まずは自社で起きている課題を整理し、原因に合った改善策から着手することが大切です。
目次
1. 倉庫の在庫管理とは?

倉庫の在庫管理とは、倉庫内にある商品・部品・資材などの在庫について、数量・保管場所・入出庫状況を正確に把握する業務です。
在庫数だけでなく、「どこにあるのか」「いつ入庫・出庫されたのか」「誰が作業したのか」まで管理することで、在庫差異や欠品、出荷ミスを防ぎやすくなります。
1-1. 倉庫内の商品・部品・資材を正確に把握すること
倉庫の在庫管理で重要なのは、現場にある在庫を正確に把握し、必要なときにすぐ出荷・使用できる状態にしておくことです。
たとえば、販売用の商品であれば出荷可能数を、製造業の部品や資材であれば生産に使える数量を正しく管理する必要があります。
在庫の数量や場所が曖昧なままだと、「あるはずの商品が見つからない」「棚卸しのたびに数が合わない」「欠品に気づくのが遅れる」といった問題につながります。
1-2. 在庫管理と倉庫管理の違い
在庫管理と倉庫管理は似ていますが、管理する範囲が異なります。
在庫管理は、商品や部品の数量・入出庫・発注・棚卸しを管理する業務です。
一方、倉庫管理は、入荷、検品、保管、ピッキング、梱包、出荷など、倉庫内の作業全体を管理する業務を指します。
つまり、在庫管理は「在庫情報を正確に管理すること」、倉庫管理は「倉庫作業を正確かつ効率的に進めること」です。
ただし、実際の現場では両者は密接に関係しています。
保管場所が曖昧であれば在庫数も正確に把握しにくくなり、入出庫記録が遅れれば在庫差異が発生します。
そのため、倉庫の在庫管理を改善するには、在庫数だけでなく、保管場所や作業手順もあわせて見直すことが大切です。
1-3. 倉庫の在庫管理で管理すべき項目一覧
倉庫の在庫管理では、商品名や数量だけでなく、保管場所や入出庫日、期限、担当者なども管理すると、在庫の状態を把握しやすくなります。
管理項目 | 管理する内容 | 管理する目的 |
商品名・品番 | 商品名、型番、SKU、JANコードなど | 商品の取り違えを防ぐ |
在庫数 | 現在庫数、出荷可能数など | 欠品や過剰在庫を防ぐ |
保管場所 | 倉庫名、棚番号、ロケーション番号など | 商品をすぐに探せるようにする |
入庫日・出庫日 | 商品が入庫・出庫された日付 | 在庫の動きを確認する |
ロット番号 | 製造単位・仕入単位ごとの番号 | 不良品対応や追跡に活用する |
使用期限・賞味期限 | 商品ごとの期限情報 | 期限切れや品質劣化を防ぐ |
担当者 | 入庫・出庫・棚卸しを行った担当者 | 作業履歴を確認する |
発注点・安全在庫 | 発注基準となる数量 | 欠品前に補充できるようにする |
棚卸日・棚卸差異 | 実在庫を確認した日付と差異 | 在庫ズレの原因を把握する |
最初からすべての項目を細かく管理する必要はありません。
まずは、商品名・在庫数・保管場所・入出庫日・担当者など、現場で確認する頻度が高い項目から整備しましょう。
2. 倉庫の在庫管理がうまくいかない原因

倉庫の在庫管理がうまくいかない原因は、在庫数そのものだけではありません。
多くの場合、入出庫記録・保管場所・情報共有・棚卸し・発注基準のどこかに問題があります。
まずは、よくある原因と現場で起きやすい課題を整理しましょう。
原因 | 起きる問題 |
入出庫記録が遅れている | 実在庫と帳簿上の在庫がズレる |
保管場所が曖昧 | 商品探しやピッキングミスが増える |
情報が分散している | 最新の在庫数を確認できない |
棚卸しが数合わせで終わっている | 同じ在庫差異が繰り返される |
発注基準がない | 欠品や過剰在庫が起きる |
2-1. 入出庫記録がリアルタイムに更新されていない
入庫や出庫の記録が遅れると、実際の在庫数と帳簿上の在庫数にズレが生じます。
出荷作業後にまとめて入力する運用では、入力漏れや数量ミスが発生し、在庫差異の原因になります。
2-2. 商品の保管場所が担当者の記憶に頼っている
商品の保管場所が決まっていない状態では、担当者の記憶や経験に頼った管理になってしまいます。
特定の担当者しか場所を把握していないと、商品探しに時間がかかり、ピッキングミスや出荷遅れにもつながります。
2-3. 紙・エクセル・受注情報が分散している
紙の伝票、エクセルの在庫表、受注管理システムなどに情報が分かれていると、最新の在庫数を確認するまでに時間がかかります。
また、転記作業や二重入力が増えることで、入力ミスや更新漏れの原因にもなります。
2-4. 棚卸しで差異の原因まで確認できていない
棚卸しで在庫差異が出たとき、数量だけを修正して終わると、同じズレが繰り返されます。
差異の背景には、入出庫記録の漏れ、ピッキングミス、返品処理の遅れなどがあります。
2-5. 発注点や安全在庫が決まっていない
発注点や安全在庫が決まっていない場合、発注の判断が担当者の感覚に左右されます。
その結果、必要な商品が足りなくなったり、反対に在庫を抱えすぎたりする原因になります。
在庫管理ミスが起こる具体的な場面や防止策については、以下の記事でも詳しく解説しています。
| 関連記事: 起こりやすい在庫管理ミス6つ|原因と防止策を解説 |
3. 倉庫の在庫管理を改善する10の方法

ここからは、倉庫の在庫管理を改善する具体的な方法を紹介します。
すべてを一度に実施する必要はありません。
自社の課題に近いものから優先して取り組みましょう。
3-1. 入出庫ルールを1つに統一する
入庫・出庫・返品・廃棄など、在庫数が変わるタイミングごとに記録ルールを決めます。
「誰が・いつ・どこに記録するか」を統一することで、入力漏れや二重入力を防ぎやすくなります。
3-2. 商品・棚・エリアにロケーション番号を付ける
棚やエリアに番号を付け、商品ごとの保管場所を在庫表やシステムに登録します。
「A棚-03-02」のように管理すると、担当者以外でも商品を探しやすくなります。

3-3. 出荷頻度に合わせて保管場所を見直す
出荷頻度の高い商品は作業しやすい場所に配置し、動きの少ない商品は奥や上段に保管します。
売れ筋や季節商品の変化に合わせて、定期的に配置を見直しましょう。
3-4. ピッキングリストを作成する

商品名・品番・数量・ロケーション番号を記載したピッキングリストを用意します。
出荷前にリストと実物を照合することで、商品違いや数量違いを防ぎます。
3-5. 棚卸しを月次・週次・循環棚卸に分ける
すべての商品を一度に確認するのではなく、商品やエリアごとに棚卸し頻度を分けます。
出荷頻度の高い商品は週次、動きの少ない商品は月次など、負担を分散しましょう。
3-6. 紙ではなくエクセルや在庫管理表で記録する

紙の台帳で管理している場合は、まずエクセルや在庫管理表に移行します。
商品名、在庫数、入出庫日、保管場所を一覧化することで、検索や確認がしやすくなります。
3-7. タブレットで現場入力できるようにする
倉庫内で入出庫情報を入力できるようにすると、事務所に戻ってからのまとめ入力を減らせます。
在庫が動いたタイミングで記録できるため、更新遅れの防止につながります。
3-8. バーコード・QRコードで入力ミスを減らす

商品コードを手入力している場合は、バーコードやQRコードの活用を検討します。
読み取りで商品情報を記録できるため、品番の入力ミスや商品違いを減らせます。
3-9. 発注点・安全在庫を設定する
出荷実績や仕入れにかかる日数をもとに、発注点と安全在庫を決めます。
発注基準を明確にすることで、担当者の感覚に頼らず補充判断ができます。
3-10. 在庫管理システム・受発注システムと連携する
商品数や取引先、出荷件数が増えたら、在庫管理システムや受発注システムとの連携を検討します。
受注・在庫・出荷情報を一元管理できれば、更新漏れや情報の行き違いを減らせます。
自社での在庫管理で目指したいのがどの方法なのかイメージしながら読み進めてみてください。
4. 倉庫の在庫管理方法を選ぶ基準

倉庫の在庫管理方法は、倉庫の規模や商品数、作業人数によって適した方法が変わります。
最初から大がかりなシステムを導入する必要はありませんが、紙やエクセルで管理しきれない状態を放置すると、在庫差異や更新漏れが増えやすくなります。
自社の状況に合わせて、無理なく運用できる管理方法を選びましょう。
4-1. 小規模倉庫なら紙・エクセルでも始められる

商品数や出荷件数が少ない小規模倉庫であれば、紙の台帳やエクセルでも在庫管理を始められます。
まずは、商品名・品番・在庫数・入出庫日・保管場所など、最低限必要な項目を一覧で管理しましょう。
エクセルを使えば、検索や並べ替えができるため、紙よりも在庫状況を確認しやすくなります。
ただし、紙やエクセルは入力漏れや更新遅れが起きやすいため、記録するタイミングや担当者を決めておくことが大切です。
エクセルで在庫管理を始めたい方は、以下の記事で在庫管理表の作り方やテンプレートを紹介しています。
4-2. 複数人で更新するならエクセル運用ルールが必要
複数人で在庫表を更新する場合は、エクセルの運用ルールを明確にする必要があります。
たとえば、誰が更新するのか、どのタイミングで入力するのか、どのファイルを正とするのかが曖昧だと、二重入力や上書き、更新漏れが発生します。
担当者ごとに入力方法が異なると、在庫数の確認にも時間がかかります。
エクセルで管理を続ける場合は、入力項目、更新タイミング、保存場所、バックアップ方法を決めておきましょう。
共有フォルダやクラウド上で管理する場合も、編集権限や履歴の確認ルールを整えることが重要です。
4-3. 商品数・取引先・出荷件数が増えたらシステム化を検討する
商品数や取引先、出荷件数が増えると、紙やエクセルだけでは在庫管理が難しくなります。
特に、複数人が同時に更新する、受注情報と在庫情報を別々に管理している、出荷前に在庫確認が必要になる、といった状況では、更新漏れや情報の行き違いが起こりやすくなります。
在庫管理システムや受発注システムを導入すれば、受注・在庫・出荷・発注情報を一元管理しやすくなります。
リアルタイムで在庫状況を確認できるため、欠品や過剰在庫、出荷ミスの防止にもつながります。
受注情報と在庫情報が別々に管理されている場合は、在庫管理だけでなく、受発注業務全体の見直しも重要です。
WONDERCARTは、BtoB受発注業務をWeb化し、受注・商品・取引先情報の管理を効率化できるクラウドサービスです。 |
在庫管理システムの選び方や比較ポイントを知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
| 関連記事: 在庫管理システムおすすめ14選|機能・選び方・比較ポイントを解説 |
5. 倉庫の在庫管理を改善するときの進め方

倉庫の在庫管理を改善するときは、思いついた施策から始めるのではなく、現状の課題を整理し、優先順位を決めて進めることが大切です。
まずは、自社でどの課題が大きいのかを確認しましょう。
確認するポイント | 見直すべき状態 | 優先して取り組む改善策 |
実在庫と理論在庫は合っているか | 棚卸しのたびに差異が出る | 入出庫ルールの統一 |
保管場所は明確か | 商品を探す時間が長い | ロケーション管理 |
作業手順は統一されているか | 担当者ごとにやり方が違う | 作業手順の標準化 |
発注基準はあるか | 欠品・過剰在庫が多い | 発注点・安全在庫の設定 |
データは最新か | 紙・エクセル・受注情報がズレる | 現場入力・システム連携 |
5-1. まず在庫差異・探す時間・欠品回数を把握する
最初に、棚卸差異・商品を探す時間・ピッキングミス・欠品回数・過剰在庫金額などを確認します。
細かく分析しすぎるよりも、まずは「どの課題が売上・納期・作業時間に最も影響しているか」を把握しましょう。
5-2. 1つの倉庫・1カテゴリから改善を始める
在庫管理の改善は、最初から全商品・全拠点で進める必要はありません。
まずは、出荷頻度が高い商品、在庫差異が多いカテゴリ、欠品が売上に直結しやすい商品など、改善効果が見えやすい範囲から始めましょう。
小さく試して運用ルールを整えてから、他の商品や倉庫へ広げることで、現場の負担を抑えながら改善を進められます。
5-3. 改善後は棚卸差異・ピッキング時間・欠品率を確認する
改善策を実施したあとは、効果を確認することが重要です。
見るべき指標は、改善内容に合わせて選びます。
たとえば、入出庫ルールを統一した場合は棚卸差異、ロケーション管理を導入した場合は商品を探す時間、発注点を設定した場合は欠品回数を確認しましょう。
在庫管理の改善は、一度実施して終わりではありません。
数値を見ながら、現場で続けられるルールに調整していくことが大切です。
6. よくある質問
6-1. 倉庫の在庫管理は何から始めるべきですか?
まずは、在庫数・保管場所・入出庫記録の3つを確認することから始めましょう。
倉庫の在庫管理では、「何がいくつあるか」だけでなく、「どこにあるか」「いつ入庫・出庫されたか」を把握することが重要です。
棚卸しで差異が多い場合は入出庫ルールを、商品を探す時間が長い場合はロケーション管理を優先して見直しましょう。
6-2. 紙やエクセルで倉庫の在庫管理はできますか?
商品数や出荷件数が少ない小規模倉庫であれば、紙やエクセルでも管理できます。
ただし、複数人で更新する場合は、入力項目・更新タイミング・保存場所・担当者を決めて運用しましょう。
6-3. 在庫が合わない場合は何を確認すべきですか?
在庫が合わない場合は、まず入出庫記録・返品処理・棚卸し結果・保管場所を確認しましょう。
特に、出荷後にまとめて入力している場合や、返品・不良品の処理ルールが曖昧な場合は、帳簿上の在庫数と実在庫にズレが出やすくなります。
数量を修正するだけでなく、差異が発生した原因まで確認することが大切です。
6-4. ロケーション管理とは何ですか?
ロケーション管理とは、倉庫内の棚やエリアに番号を付け、商品ごとの保管場所を管理する方法です。
たとえば、「A棚-03-02」のように保管場所を決めておくと、担当者以外でも商品を探しやすくなります。
商品探しの時間削減や、ピッキングミスの防止に役立ちます。
6-5. 在庫管理システムはいつ導入すべきですか?
商品数・取引先・出荷件数が増え、紙やエクセルでの管理に限界を感じたタイミングで検討しましょう。
複数人で同時に更新する、受注情報と在庫情報が分かれている、出荷前の確認に時間がかかる場合は、システム化の効果が出やすくなります。
7. まとめ
倉庫の在庫管理を改善するには、在庫数を記録するだけでなく、保管場所・入出庫記録・棚卸し・発注ルールまであわせて整えることが重要です。
特に、以下のポイントを押さえておきましょう。
|
まずは、ロケーション管理や入出庫ルールの統一など、小さく始められる改善から取り組みましょう。
複数人で在庫情報を更新している、受注情報と在庫情報が分かれている、出荷前の確認に時間がかかっている場合は、在庫管理と受発注を一元化できる仕組みの導入も有効です。
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