
「食品の在庫管理って一体どうやってやればいいの?」
「賞味期限などの管理って、結構難しいよね…」
在庫管理の中でも、食品を扱う場合の在庫管理は品質管理や法令遵守、トレーサビリティなどさまざまな要素が絡むため、適切な管理がとても難しいものです。
難しいからこそ「なぜ難しいのか」の理由を知り、ポイントを押さえて工夫して管理することが大切です。
この記事では、「食品の在庫管理とは何か」という基本的な情報から、食品の在庫管理が通常の在庫管理よりも難易度が高い理由、在庫管理を最適化するための具体的なアイデアなど詳しく解説していきます。
また後半では、食品の在庫管理を適切に行うためのツールやシステムの選択肢についても解説します。
◆食品の在庫管理を効率化するツール・システムの選択肢
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商品数や拠点数が少ない場合は、手作業やエクセルでも管理できます。
ただし、期限・ロット・保管場所などの管理項目が増えると、入力漏れや更新の遅れが発生しやすくなります。
自社の商品数、拠点数、入出庫頻度、管理項目に合わせて、適切なツールやシステムを選ぶことが大切です。
ぜひ最後までお読みいただき、自社での食品の在庫管理をどのように行っていくかの方向性を見極めましょう。
目次
1.食品の在庫管理とは

まずは、食品の在庫管理とは何か、基本的な情報を解説していきます。
1-1.食品の在庫管理とは「食品の在庫を適切に管理すること」
食品の在庫管理とは、文字通り、食品の在庫を適切に管理することをいいます。
生鮮食品店ならば「商品そのもの」が在庫となりますし、レストランや工場ならば「材料となる食品」が在庫となることもあります。
「適切に管理する」には、在庫数の管理だけでなく、品質の管理も含まれます。
- 食品の在庫の数や量を適切に管理すること
食品の品質(賞味期限や保存状態)を適切に管理すること - 食品は、通常の工場製品などと違って鮮度の問題があるため、賞味期限や保管する温度なども厳密に管理しなければなりません。また、それらに付随する法令遵守なども絡んできますし、トレーサビリティにも配慮しなければなりません。
そのため、通常の在庫管理とは異なる難しさがあるのが食品の在庫管理といえます。
1-2.食品の在庫管理に含まれる業務
食品の在庫管理に含まれる具体的な業務は、取り扱う食品や管理する業態によって異なりますが、以下のようなものがあります。
食品の在庫管理に含まれる業務
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このように食品の在庫管理にはさまざまな業務があり、通常の在庫管理と比べて気にしなければならないポイントが多いのが特徴です。
2.食品製造業の在庫管理で押さえるべき項目
食品製造業の在庫管理では、完成品だけでなく、製造に使用する原材料、製造途中の仕掛品、包装資材まで含めて管理する必要があります。
在庫数に加えて、賞味期限・消費期限、ロット、保管場所などを管理し、それぞれの情報を関連づけておくことが重要です。
管理対象 | 主な管理項目 |
原材料 | 在庫数、仕入先、入荷日、賞味期限・消費期限、ロット、保管温度、アレルゲン |
仕掛品 | 在庫数、製造日、使用した原材料、製造工程、保管場所 |
完成品 | 在庫数、製造日、賞味期限・消費期限、製造ロット、保管場所、出荷先 |
包装資材 | 在庫数、仕入先、対応する製品、保管場所、発注点 |
特に重要なのが、原材料のロットと製造した商品のロットを紐づけることです。
原材料に品質上の問題が見つかった場合でも、どの商品に使用したかを特定できれば、影響する商品の範囲を絞り込めます。
さらに、製造ロットと出荷先を紐づけておくことで、商品の回収が必要になった場合も、対象となる出荷先を速やかに確認できます。
農林水産省の「食品トレーサビリティ実践的なマニュアル」でも、入荷ロット・製造ロット・出荷先を対応づけて記録する方法が示されています。
包装フィルム、ラベル、段ボールなどの包装資材も、食品製造には欠かせない在庫です。
原材料や完成品の在庫が足りていても、包装資材が不足すれば製造や出荷を止めなければなりません。
ラベルの取り違えによる表示ミスを防ぐためにも、対応する製品や使用する版を明確にして管理しましょう。
このように、食品製造業では複数の在庫を一体的に管理し、原材料の入荷から商品の出荷まで追跡できる状態を整えることが大切です。
在庫管理が適切にできていないと、廃棄や欠品だけでなく、誤出荷や商品の回収範囲が拡大するリスクもあります。
3.食品の在庫管理はできていますか?適切な管理ができないリスク

食品の適切な在庫管理を怠ってしまうと、食品ロスによる廃棄や機会損失、社会的信頼を失ってしまうリスクなど、さまざまなリスクが発生します。
3-1.食品ロスによる廃棄や欠品が経営を圧迫する
食品の在庫が多すぎると、期限や品質上の理由から出荷・販売できなくなり、廃棄が発生します。
反対に、在庫が不足すれば、注文に対応できず販売機会を失います。
なお、賞味期限は「おいしく食べることができる期限」であり、期限を過ぎた瞬間に食べられなくなるわけではありません。
ただし、企業では品質保証や取引条件に基づいて出荷期限・販売期限を設定しているため、賞味期限前でも出荷できなくなる場合があります。
廃棄と欠品を防ぐには、在庫数だけでなく、期限・ロット・出荷予定を含めて管理することが重要です。
3-2.食品偽装が起きると社会的信頼を失う
賞味期限・消費期限や原材料、産地などの表示を改ざんすると、消費者や取引先の信頼を大きく損ないます。
商品の回収や取引停止、行政対応が必要になり、企業全体に影響が及ぶ可能性もあります。
食品偽装を防ぐには、表示内容の確認手順や承認ルールを定めることが重要です。
システム上で変更できる担当者を制限し、変更履歴を残すなど、誤操作や不正な変更を防ぐ仕組みも整えましょう。
4.食品の在庫管理は通常の在庫管理よりも難易度が高い

前章で述べた通り適切な在庫管理を行わないとさまざまなリスクがあるため、そうしたリスクを避ける意味でも食品の在庫管理は適切に行わなければなりません。
しかしながら、食品の在庫管理は、通常の在庫管理と比べてかなり難易度が高いものです。
ここからは「食品の在庫管理はなぜ難しいのか」を詳しく解説していきます。
4-1.難しい理由1:通常よりも賞味期限や消費期限が短いから
食品の在庫管理が通常の在庫管理よりも難しい理由の一つに、「賞味期限や消費期限が通常の工業製品などと比べて短い」という点があります。
食品はその性質上、時間の経過による劣化が避けられず、特に生鮮食品や加工食品は適切な期限内に消費・販売しなければ品質が損なわれたり、廃棄せざるを得なくなったりします。
在庫を過剰に抱えれば食品ロスが発生しやすくなりますが、反対に在庫が不足すれば販売機会を逃してしまいます。
ここが食品の在庫管理の特有の難しさといえるでしょう。
4-2.難しい理由2:期限切れのものを流通させた場合の影響が大きいから
消費期限を過ぎた食品や、安全性を確認できない食品を販売・提供すると、健康被害につながるおそれがあります。
一方、賞味期限を過ぎた食品は、直ちに食べられなくなるわけではありません。
ただし、自社の販売期限や取引先の納品期限を超えた商品を出荷した場合は、返品・回収、取引停止、信用低下につながる可能性があります。
こうした事態を防ぐため、期限・ロット・出荷条件を照合し、出荷対象外の商品を誤って流通させない仕組みを整えることが重要です。
4-3.難しい理由3:個体によって差がある食材の管理が難しいから
食品の在庫管理では「個体によって差がある食材」を管理するため、通常の在庫管理よりも管理が難しいケースもあります。
工業製品であれば同じ規格のものが画一的に作られますが、食材(特に生鮮食品)の場合は、個々の食材によって大きさや味、品質、劣化の進行状況に至るまでの個体差があります。
例えば、同じ日に仕入れたものでも、収穫時の状態や保管環境により、腐敗や劣化が進むスピードが異なります。
加工食品でも、製造ロットごとにわずかな違いがあり、保管中の温度や湿度の影響で保存期間が変化することがありえます。
このような個体差に対応するため、在庫管理者は食品の状態を細かく観察し、適切な保管や出庫の順序を柔軟に調整する必要があるのです。
データ上の日付だけでなく、状態を見ながら在庫管理しなければならない点も、食品特有の在庫管理の難しさといえるでしょう。
4-4.難しい理由4:適切な温度管理を徹底する必要があるから
食品の在庫管理が通常の在庫管理よりも難しい理由として、「適切な温度管理を徹底する必要がある」という点もあります。
食品はその種類によって適した保管温度が異なり、それを守らないと品質が劣化し、消費者の健康に影響を与える可能性があります。
例えば、生鮮食品や乳製品などは冷蔵での保管が必要であり、冷凍食品は解凍されないよう厳格な冷凍温度を維持しなければなりません。
適切な温度管理を行えなかった場合には、状況によっては廃棄せざるを得なくなることもあります。
4-5.難しい理由5:トレーサビリティにも配慮しなければならないから
トレーサビリティとは、食品を取り扱った際の記録を残し、問題が発生したときに「どこから入荷したか」「どこへ出荷したか」を確認できるようにすることです。
トレーサビリティに対応するには、入荷元、入荷日、商品名、数量、ロット、製造記録、出荷先などを記録し、必要なときに確認できる状態を整える必要があります。
4-6.難しい理由6:食品業界特有の商習慣があるから
食品業界には、次のような商習慣や取引条件があり、在庫管理を複雑にする要因となっています。
- 得意先の倉庫に自社の商品を預ける「預け在庫」がある
- 取引先ごとに納品期限や出荷条件が異なる
- 商品によって発注単位や最低発注数量が異なる
- 欠品を避けるために安定した供給を求められる
- 賞味期間の3分の1以内に小売店舗へ納品する「3分の1ルール」がある
- 賞味期限・ロット・出荷先などの記録を求められる
特に、取引先ごとに納品期限が異なる場合、社内では販売できる在庫であっても、特定の取引先には出荷できないことがあります。
そのため、単純な在庫数だけでなく、取引先ごとの出荷可能日や納品条件も確認できる状態にしておく必要があります。
5.食品の在庫管理を最適化するための具体的な6つのアイデア

ここまで解説した通り、食品の適切な在庫管理には、通常の在庫管理とは異なる難しさがあります。
適切に管理するためには、複数の観点からさまざまなアプローチを組み合わせて、総合的に管理することが欠かせません。
この章では、具体的に、食品の在庫を適切に管理するための方法を、事例を交えながら伝えていきます。
簡単に取り入れられる方法から紹介していくので、導入できる部分から段階的に行いましょう。
5-1.現在在庫数だけでなく期限管理を徹底する
食品には賞味期限や消費期限が存在するため、現在在庫がいくつあるかだけでなく、期限・ロットごとの管理を徹底することが重要です。
データ上の在庫数が10個あっても、そのうち5個が消費期限や自社・取引先の出荷・販売期限を過ぎていれば、使用可能な在庫は5個です。
具体的な管理方法としては、以下のようなものがあります。
期限管理を徹底するための具体的な方法例
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期限管理がうまくいかないと、廃棄ロスが増えたり販売機会損失に繋がったりして、経営を圧迫する原因になってしまいます。
しっかりと管理する仕組みを整えることが重要です。
5-2.先期限先出しを基本にする
食品の出庫では、賞味期限・消費期限が早い商品から使用・出荷する「先期限先出し」を基本にします。
先入れ先出しは、先に入荷した商品から出庫する方法です。
しかし、食品では入荷した順番と期限の順番が一致するとは限りません。
後から入荷した商品でも、期限が早い場合は先に出庫する必要があります。
先期限先出しを徹底するため、次のようなルールを設けましょう。
- 商品に期限とロットを記載したラベルを貼る
- 期限が早い商品を棚の手前に置く
- 入庫時に期限の逆転がないか確認する
- 期限が近い在庫を定期的に確認する
- 出荷期限を過ぎた商品を出庫できないようにする
- バーコードやQRコードで期限・ロットを照合する
同じ期限の商品が複数ある場合は、先に入荷した商品から出庫します。
期限を優先し、その次に入荷順を確認する運用にすることで、期限切れや出荷順序の間違いを防ぎやすくなります。
5-3.ABC分析を活用して管理方法を分ける
ABC分析とは、売上高や出荷量、粗利益などを基準に商品を分類し、重要度に応じて在庫管理の方法を変える手法です。
すべての商品を同じ頻度・同じ方法で確認するのではなく、重要度に応じて確認頻度や安全在庫、発注点を設定することで、在庫管理にかかる負担を抑えながら欠品や過剰在庫を防ぎます。
例えば、売上高を基準に分類する場合は、次のように管理方法を分けます。
分類 | 商品の特徴 | 管理方針 |
Aグループ | 売上への貢献度が高い商品 | 在庫数・需要・期限を高い頻度で確認し、欠品と過剰在庫を防ぐ |
Bグループ | 売上への貢献度が中程度の商品 | 定期的に在庫数を確認し、需要の変化に応じて発注点を見直す |
Cグループ | 売上への貢献度が低い商品 | 管理頻度を抑えつつ、過剰在庫や期限切れが発生しないように管理する |
ただし、Cグループの商品だからといって、在庫が切れてから発注すればよいとは限りません。
売上が少ない商品でも、特定の取引先にとって欠かせない商品や、調達に時間がかかる商品、最低発注数量が多い商品などがあります。
分類だけで発注方法を決めるのではなく、需要、調達リードタイム、賞味期限・消費期限、発注単位などを考慮し、商品ごとに安全在庫や発注点を設定しましょう。
商品の売上や需要は季節や取引状況によって変化するため、ABCの分類も定期的に見直すことが大切です。
5-4.日別の使用可能在庫数を把握する
実在庫数だけでなく、期限内に出荷・使用できる「使用可能在庫数」を日別に把握することも重要です。
使用可能在庫数を確認する際は、現在の在庫数に加えて、入庫予定、出庫予定、賞味期限・消費期限、取引先ごとの納品期限などを反映します。
例えば、現在の在庫が100個あっても、そのうち30個が数日後に出荷期限を迎える場合、翌週に使用できる在庫は70個以下になる可能性があります。
反対に、期限を迎える在庫が多い場合は、追加発注を控えたり、期限が近い商品の販売を促進したりする必要があります。
将来の使用可能在庫数を確認することで、欠品と過剰在庫の両方を防ぎやすくなります。
5-5.販売・出荷実績をもとに需要を予測する
食品の欠品や過剰在庫を防ぐには、過去の販売・出荷実績をもとに需要を予測し、発注量や生産量を調整することが大切です。
需要予測には、次のような情報を活用します。
- 曜日・季節・天候による需要の変化
- 販促予定や得意先から共有された発注予定
- 原材料の調達や製造にかかるリードタイム
- 期限が近い在庫や欠品・廃棄の実績
商品数が少ない場合はエクセルでも対応できますが、商品や得意先、拠点が多い場合は、AI需要予測サービスや在庫管理・生産管理システムの活用を検討しましょう。
5-6.食品ロスを減らすための販売・生産方法を検討する
期限が近い商品や販売が計画を下回った商品は、廃棄する前に販売方法や販売先を見直しましょう。
具体的には、次のような施策が考えられます。
- 値引きやアウトレット、ECで販売する
- 規格外品を「訳あり品」として販売する
- 小容量商品やセット商品を企画する
- 季節商品を予約販売や受注生産へ切り替える
- 販売・廃棄実績をもとに製造量を調整する
期限が近い商品を販売する場合は、品質や安全性を確認し、期限情報を正確に案内する必要があります。
廃棄実績も記録し、次回の発注量や生産量へ反映しましょう。
6.食品の在庫管理を効率化するツール・システムの選択肢

食品の在庫管理は複雑な要素が絡むため、手作業やエクセルなどの管理だけでは難しい場合が多いでしょう。
ここからは、食品の在庫管理を効率化するツールやシステムについて解説していきます。
6-1.エクセルで在庫管理表を作成する
商品数や管理拠点が少ない場合は、エクセルで在庫管理表を作成する方法があります。
商品名、在庫数、入出庫数、賞味期限・消費期限、ロット、保管場所などを記録し、期限が近い商品を色分けすれば、期限切れの見落としを防ぎやすくなります。
ただし、複数人・複数拠点で管理する場合や、入出庫が多い場合は、入力ミスや更新の遅れが発生しやすくなります。
管理対象が増えた場合は、在庫管理システムやWMSへの移行を検討しましょう。
6-2.ハンディターミナルを活用する
入庫・出庫・棚卸し時の入力ミスを減らしたい場合は、ハンディターミナルの活用が有効です。
商品や原材料のバーコード・QRコードを読み取り、品番、数量、ロット、期限などの情報を収集できます。
在庫管理システムと連携すれば、読み取った情報をその場で在庫データへ反映できます。
食品工場や倉庫で導入する場合は、次の点を確認しましょう。
- 冷蔵・冷凍環境に対応しているか
- ロットや期限情報を読み取れるか
- 防塵・防滴・耐衝撃性能があるか
- 手袋を着けたまま操作できるか
- 在庫管理・生産管理システムと連携できるか
ハンディターミナルは情報を読み取るための端末です。
端末だけで在庫を一元管理するものではないため、連携するシステムの機能も確認しましょう。
6-3.在庫管理システム・WMSを導入する
商品数や拠点数が多く、エクセルや紙での管理が難しい場合は、在庫管理システムやWMSの導入を検討しましょう。
在庫管理システムは、在庫数、賞味期限・消費期限、ロット、保管場所などの情報を一元管理するシステムです。
WMSは、これらに加えて入荷、検品、棚入れ、ピッキング、出荷など、倉庫内の作業を管理します。
システム | 主な役割 |
在庫管理システム | 在庫数、期限、ロット、保管場所などの管理 |
WMS | 倉庫内の入荷・保管・出荷作業の管理 |
食品業界で導入する場合は、次の機能があるか確認しましょう。
- 賞味期限・消費期限、ロット別の在庫管理
- 先期限先出しへの対応
- 期限が近い在庫や出荷期限を過ぎた在庫の通知
- 入荷元や出荷先を確認できるトレーサビリティ
- 販売管理・生産管理・受発注システムとの連携
自社が在庫情報の管理を効率化したいのか、倉庫作業まで含めて改善したいのかを整理したうえで、適切なシステムを選びましょう。
6-4.AI需要予測サービスを利用して在庫数を調整する
AIを活用した予測精度の高い需要予測サービスを利用して在庫数を調整する方法もあります。
食品業界では「なかなか需要予測が当たらない」と懐疑的な声もある中、最近では精度の高さが評価されているサービスも登場しています。
AI需要予測サービスでは、過去の売上データや天候、イベント要因など多角的な分析を行って需要予測モデルを作り、毎日の発注数を予測することができます。
これにより在庫過多による廃棄ロスや、在庫切れによる販売機会損失を防ぎ、売上を最大化することができるようになります。
6-5.需要予測に応じた生産管理・自動発注サービスを導入する(製造業向け)
過剰在庫による廃棄ロスや、在庫切れによる機会損失を防ぎたい場合には、需要予測に応じた生産管理や自動発注を実現できるサービスの導入もおすすめです。
例えば、食品を弁当に加工している製造業者の場合、弁当に使う食材だけでなく、容器やバランなどの包装資材も必要となります。
こうした在庫をセットで管理するのはなかなか難しいものです。
需要予測に応じた自動発注サービスを導入することで、出荷実績データをもとに需要を予測して、生産計画の作成から必要量の算出、発注までを自動化できます。
さらに、同サービス内で成分やアレルギー表示を含む「食品表示ラベル」の作成までが行えるものもあります。
6-6.POSや重量計測型システムを業態に応じて導入する
食品の販売方法や在庫の形状によっては、POSや重量計測型システムが適している場合があります。
小売店や飲食店では、在庫管理機能を備えたPOSを使うことで、販売と同時に在庫数を更新できます。
一方、液体や粉末など、個数で管理しにくい在庫には、重量から在庫量を把握するシステムが有効です。
ただし、これらのシステムだけでは期限やロットまで管理できない場合があります。
必要に応じて、在庫管理システムやWMSと連携させましょう。
6-7.トレーサビリティシステムを導入する
在庫管理だけでなく厳密に食品トレーサビリティも実現したい食品製造業の場合は、トレーサビリティシステムの導入がおすすめです。
特に、「牛トレーサビリティ法」「米トレーサビリティ法」「食品衛生法」遵守が必要な企業などはしっかり管理する必要があります。
食品トレーサビリティに取り組む場合には、ロット管理や原材料の入荷管理はもちろん、食品の加工・製造時の記録、加工・製造した食品の出荷記録がしっかり残るシステムを選びましょう。
| 食品卸の受注対応・在庫問い合わせを効率化したいなら | ||||||
食品卸の受発注業務では、FAX・電話・メールによる注文受付に加えて、取引先からの在庫確認や商品に関する問い合わせが多く発生します。 BtoB受発注システム「WONDERCART」は、オンラインカタログと受発注管理機能を備えたBtoB専用の受発注システムです。 在庫データをCSVで連携すれば、取引先が受発注サイト上で在庫情報を確認できるため、在庫問い合わせへの対応や受注内容の転記作業を減らせます。 ▼在庫管理システムとWONDERCARTの役割
賞味期限・ロット・保管場所・トレーサビリティなどの管理は、在庫管理システムやWMS、生産管理システムが担います。WONDERCARTは、そこで管理している在庫情報を受注業務や取引先への案内に活用するシステムです。 WONDERCARTを導入することで、次のような業務改善が期待できます。
在庫連携の自動化や基幹システムとの連携についても、業務内容に応じて相談できます。 食品卸の受注対応や在庫問い合わせにお悩みの方は、BtoB受発注システム「WONDERCART」をご覧ください。 |
7.食品の在庫管理に関するよくある質問
食品の在庫管理でよくある質問に回答します。
7-1.賞味期限・消費期限を管理できる在庫管理ツールは?
賞味期限や消費期限を管理するには、期限・ロット別に在庫を登録でき、期限が近づいたときに通知する在庫管理システムやWMSが適しています。
食品の場合は、賞味期限・消費期限ごとの在庫数を確認できることが重要です。
商品数や更新担当者が少ない場合は、エクセルの在庫管理表でも対応できます。
ただし、商品数や入出庫の回数が多い場合や、複数人・複数拠点で管理する場合は、入力漏れや更新の遅れが起こりやすくなります。
在庫管理システムやWMSを選ぶ際は、次の機能を確認しましょう。
- 賞味期限・消費期限別の在庫管理
- ロット別の在庫管理
- 期限切れ前のアラート
- 先期限先出しに基づく出庫指示
- ハンディターミナルとの連携
- 入出庫履歴や出荷先の記録
ハンディターミナルと組み合わせれば、バーコードやQRコードを読み取るだけで、入庫・出庫時の期限やロット情報を在庫管理システムへ反映できます。
7-2.生鮮品や消費期限のある商品の需要予測に適したツールは?
生鮮品や消費期限のある商品の需要予測には、AI需要予測サービスや、需要予測機能を備えた在庫管理・生産管理システムが適しています。
需要予測の精度を高めるには、過去の販売・出荷実績だけでなく、次のような情報を反映できることが重要です。
- 曜日や季節による需要の変化
- 天候や気温
- キャンペーンなどの販促予定
- 得意先からの発注予定
- 欠品や廃棄の実績
- 商品の賞味期限・消費期限
- 仕入れや製造にかかるリードタイム
特に生鮮品は販売できる期間が短いため、月単位の大まかな予測ではなく、商品・拠点・日ごとに需要を予測できるツールが適しています。
導入時には、予測結果を発注量や生産量へ反映できるか、担当者が予測値を修正できるか、予測と実績の差を検証できるかも確認しましょう。
7-3.食品工場の原材料管理に適したハンディターミナルは?
食品工場の原材料管理には、ロットや期限情報を読み取ることができ、使用する温度帯や作業環境に対応したハンディターミナルが適しています。
具体的には、次の点を確認して選びましょう。
- 原材料のバーコードやQRコードを読み取れるか
- ロット番号や賞味期限などの文字をOCRで読み取れるか
- 冷蔵庫・冷凍庫内の温度で使用できるか
- 水滴や粉じんに耐えられる防塵・防滴性能があるか
- 手袋を着用したまま操作できるか
- 落下や衝撃に耐えられるか
- 在庫管理・生産管理システムと連携できるか
特に冷蔵・冷凍環境で使用する場合は、端末の動作温度だけでなく、温度差による結露への対策も必要です。
また、ハンディターミナルは読み取り機器であるため、端末だけでは在庫を一元管理できません。
導入時には、読み取った原材料名・ロット・期限・数量・保管場所などの情報を、既存の在庫管理システムへ反映できるかを確認しましょう。
8.まとめ
食品の在庫管理では、在庫数だけでなく、賞味期限・消費期限、ロット、保管温度、品質などを管理する必要があります。
今回の要点は次のとおりです。
- 食品製造業では、原材料・仕掛品・完成品・包装資材を分けて管理する
- 期限・ロット・保管場所を関連づけ、必要なときに追跡できる状態を整える
- 先期限先出しや需要予測により、廃棄と欠品の両方を防ぐ
- 商品数・拠点数・管理項目が増えた場合は、在庫管理システムやWMSを検討する
エクセルやハンディターミナル、在庫管理システムなど、それぞれの役割は異なります。
自社の商品数や入出庫頻度、管理したい情報を整理したうえで、適切な方法を選びましょう。
| 食品業界のFAX・電話注文や在庫問い合わせなど、受発注業務の改善方法については、「食品業界の受発注業務を改善する実践的アイデア」で詳しく解説しています。 |
#食品 #在庫管理



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