リモート接客の業界別事例8選|ビデオ通話・アバター接客まで解説

顧客と離れた場所から接客できる「リモート接客」を実際に現場に導入している事例について、詳しい内容を知りたいという方は多いのではないでしょうか。
リモート接客とは、スタッフと顧客が物理的に離れた場所にいながら、まるで対面しているかのように顔を合わせてやり取りする接客方法をいいます。

このリモート接客を導入すれば、人手不足の解消や人材コストの削減など大きなメリットがあります。
しかしながら、「本当に対面の代わりになるような接客ができるのだろうか?」「お客さんの満足度が下がってしまうのではないか?」など不安を抱く方も多いことでしょう。

そこで本記事では、8つの業界に分けて、業界ごとのリモート接客との親和性も含めて、具体的な導入事例を詳しく解説します。

  1. 小売業界のリモート接客事例(株式会社ローソン)
  2. 保険業界のリモート接客事例(株式会社アドバンスクリエイト)
  3. ホテル業界のリモート接客事例(HISグループ)
  4. 医療業界のリモート接客事例(大林クリニック)
  5. 美容業界のリモート接客事例(オルビス株式会社)
  6. 不動産業界のリモート接客事例(京急不動産株式会社)
  7. アパレル業界のリモート接客事例(株式会社アダストリア)
  8. 飲食業界のリモート接客事例(株式会社京はやし)
  9. 成功事例に見るリモート接客の導入スタイルまとめ

    この記事を読めば、自分に近い業態で「どのようなリモート接客が導入されているのか」や、成功のためのヒントが見つかるはずです。
    なお、もしも「リモート接客って何?」「メリットとデメリットを知りたい」という方は先に「リモート接客とは?業界ごとの特徴・メリット・導入すべきかまで解説」の記事 をお読みください。

    リモート接客とは?業界ごとの特徴・メリット・導入すべきかまで解説

    また、具体的なツールを検討している方は、「リモート接客ツールとは?種類・特徴・厳選ツール5選・選び方を紹介」の記事 も参考になさってみてください。

    リモート接客ツールとは?種類・特徴・厳選ツール5選・選び方を紹介

    目次

    1. 小売業界のリモート接客事例(株式会社ローソン)

    まずは、小売業界の代表的な成功事例として、「株式会社ローソン」の取り組みをご紹介します。
    小売業界では、「人手が足りない」という事情と「ソーシャルディスタンスを確保したい」という顧客側のニーズの高まりを背景に、リモート接客の導入が進んでいます。

    特にコンビニやスーパーのように、長時間営業かつ多拠点展開を求められる業態では、人的リソースの確保と接客品質の両立が大きな課題となっています。

    小売業界のリモート接客の特徴としては、以下の点が挙げられます。

    小売業界のリモート接客の特徴

    • 24時間営業の店舗では、深夜や早朝など人手を確保しづらい時間帯に、遠隔操作型のアバターや自動応答型の仕組みが活用されている
    • 有人対応の場合、店舗ごとにスタッフを置くのではなく、1人のオペレーターが複数店舗を遠隔で対応するスタイルが主流
    • 音声認識やカメラと連動して顧客の動きや視線を検知し、自動的に接客が始まる仕組みも活用されている
    • 高価格帯の商品やカウンセリングが必要な業種(コスメ・美容・医療関連など)では、人間によるリモート接客が好まれる傾向がある
    • 一方で、アバターは「人よりも気軽に話しかけやすい」という声も多く、コンビニやスーパーといった日常利用の場で広がっている

    ※アバターとは、画面上に表示されるキャラクターを通じて、遠隔にいる人やAIが接客を行う仕組みです。表情や動き、音声を使って自然なコミュニケーションができるため、対面に近い接客体験を提供できます。

    このような背景の中、株式会社ローソンが「アバター」を活用したリモート接客を導入したことが話題となっています。

    ここからは、ローソンがどのようなリモート接客体制を導入して、どのような効果を上げているのかをご紹介します。

    1-1. リモート接客の特徴:有人対応型アバターを活用して24時間対応を実現

    株式会社ローソンが導入したリモート接客の最大の特徴は、遠隔操作型のアバターを活用し、24時間どの時間帯でも安定した接客を可能にしている点です。
    深夜や早朝など、スタッフの人員配置が難しい時間帯でも接客品質を保てるように、ローソンはアバター接客サービス「AVACOM(アバコム)」を採用しました。

    このアバターは画面上に登場するキャラクターですが、背後では人間のオペレーターが遠隔からリアルタイムで操作・接客を行っており、AIによる自動応答ではありません。
    接客のタイミングや話しかけ方、表情の使い方など、細かな判断が求められる場面にも対応できるよう、すべて人間が担っています。

    さらに、1人のオペレーターが複数店舗を担当することができ、人手不足を補いながら、サービス水準を維持する仕組みとして機能しています。

    1-2. 活用方法:セルフレジや商品陳列棚に設置して接客をアバターが対応

    ローソンでは、店内の複数箇所にアバター接客を導入しています。
    顧客が戸惑いやすいタイミングや場所を中心に設置されており、自然な声かけを通じてサポートしています。

    ▼ローソンでのリモート接客の活用シーン

    • セルフレジ横のモニターから「お困りですか?」と声をかける
      (顧客の様子をカメラで検知し、必要に応じて遠隔のオペレーターが操作して対応)
    • 商品棚の前で、おすすめ商品やキャンペーン情報を案内
    • 店舗の入口・出口で「いらっしゃいませ」「ありがとうございました」と挨拶

    これらのやりとりは、すべて画面上のアバターを通じて遠隔の人間が行っており、表情やジェスチャーを交えた自然な対応が可能です。
    スタッフの代わりに「その場にいてくれる存在」として、店舗運営の効率化と顧客満足の向上の両面で効果を発揮しています。

    1-3. 効果:人手不足を補いながら顧客満足度も向上することもできた

    ローソンは、リモート接客にアバターを導入することで、人手不足という課題を解消しつつ、来店客の満足度を損なうことなく店舗運営の効率を高めることができました。

    ▼ローソンでのリモート接客の活用シーン

    • 深夜帯や少人数シフトの時間帯でも、接客機能を維持することができた
    • お客様のちょっとした不安や疑問に素早く対応できる仕組みを導入できた
    • オペレーター1人で複数店舗を担当可能なため、人的コストを大幅に削減できた
    • 非対面でも「人の気配」が感じられる店舗体験を提供できるようになった

    また、副次的な効果として、「アバターだからこそ話しかけやすい」という声も顧客から多く寄せられています。
    人だと遠慮してしまうような場面でも、アバターなら気軽に話しかけられるという心理的ハードルの低さがあり、とくにセルフレジなどで操作に戸惑っている場面で、利用者から好評だったと報告されています。

    これは、見た目が親しみやすいキャラクターであることや、丁寧で一定の接客品質が保たれていることに加え、「人に迷惑をかけたくない」という気持ちをやわらげる存在としてアバターが機能していることを示しています。

    このように、アバター接客は「人がいない」ことを補うだけでなく、場面によっては「人が対応するよりも話しかけやすい」と感じられる安心感を提供できる仕組みとして機能しています。

    参考:AVITA導入事例|アバター活用で誰もが活躍できる人にやさしいコンビニの実現に向けて、ローソンで『AVACOM』を導入激流オンライン|特別対談 アバター接客サービス「AVACOM」/ローソン×AVITA/アバター店員がリモート接客 新たな職業が支える「未来のコンビニ」

    AI接客アバターについて詳しくは以下のリンクより資料をダウンロードしていただけます。

    2. 保険業界のリモート接客事例(株式会社アドバンスクリエイト)

    次にご紹介するのは、保険業界におけるリモート接客の事例です。

    保険業界 では、コロナ禍をきっかけに、スタッフが画面に表示されるビデオ通話(実写)によるリモート接客が進みました。
    信頼性やコンプライアンスが重視される業界なので、「顔が見える安心感」や「スタッフが直接話す説得力」が求められます。

    しかしながら最近では、「アバター接客」(仮想キャラクターが画面に表示される接客手法)と組み合わせたハイブリッド型の企業も増えてきています。

    保険業界のリモート接客の特徴

    • 対面による相談が基本であったが、コロナ禍を契機に非対面での相談ニーズが急速に拡大した
    • 店舗に端末を導入するのではなく、ユーザーもパソコンなどからオンラインで相談する形式が一般的
    • 来店型ショップの代替として導入されるケースが多く、「来店前の事前相談」「初回のハードルを下げる手段」として活用されている
    • 「少し話を聞いてみたい」などのライト層には、アバターや顔出し不要の環境が支持されやすい
    • 実名スタッフによるビデオ通話では緊張や心理的に抵抗がある層に対して、アバター接客が有効な手段となるケースもある
    • ただし、契約説明など法的に重要な局面では、有人・リアルタイム・録画可能な接客体制が必要とされる

    保険業界では、お客様が比較検討や相談をしたいと思っても、「来店するほどではないけれど、ちょっと話を聞いてみたい」というライトなニーズが多く存在します。
    そうした初期段階の顧客接点を広げる目的で、「保険市場」を運営する株式会社アドバンスクリエイトは、「オンライン相談」にアバター接客サービス「AVACOM(アバコム)」を導入しました。

    ここでは、非対面での気軽な相談対応を実現した成功例として、アドバンスクリエイトの取り組みを紹介します。

    2-1. リモート接客の特徴:アバターによる有人対応で話しかけやすさを実現

    アドバンスクリエイトが導入したリモート接客の特徴は、オンライン相談にアバター接客を導入し、遠隔の人間オペレーターがリアルタイムで相談対応を行っている点です。

    この接客スタイルを採用した理由は、保険相談の「最初の一歩」をもっと気軽にできる環境を整えたかったからだといいます。
    従来のように電話や来店で相談するスタイルだと、「いきなり話すのは緊張する」「ちょっと聞くだけでは悪い気がする」という心理的ハードルが存在しました。

    そこでアドバンスクリエイトは、「保険市場」のウェブサイト上にアバターを設置し、相談希望者に対してやわらかく話しかける仕組みを構築しました。
    アバターは親しみやすい外見で、遠隔のスタッフが表情や口調を調整しながら対応するため、「人のあたたかさ」を保ちながらも、気軽に接触できる仕組みになっています。

    2-2. 活用方法:保険相談のオンライン相談をアバターが担う

    アドバンスクリエイトのアバター接客は、主に初回の相談者との接点強化に活用されています。
    具体的には、「保険市場」サイトにアクセスしたユーザーに対して、アバターが自然に声をかけ、「どんなことをお探しですか?」とヒアリングを開始します。

    ヒアリングの結果に応じて、アバターは「それでは〇〇の専門スタッフにおつなぎしますね」と次のステップへ誘導します。
    会話はすべて遠隔のオペレーターがリアルタイムで行っており、対応内容に応じて柔軟に判断が可能です。

    これにより、相談者にとっては「いきなり人間と話すより気楽」でありながら、会社側にとっては正確なニーズ把握とアポイント取得の効率化が実現しています。

    2-3. 効果:アバターのアポ率2倍に!初回相談の心理的ハードルを解消

    導入後、アバターによる問い合わせからの保険相談アポ獲得率は電話に比べて2倍超になりました。
    オンライン保険相談におけるコンサルタント指名予約においてはアバターが最も支持されるなど、お客さまとのコミュニケーションが円滑に進むことが確認できました。

    従来では取りこぼしていた「興味はあるけど一歩踏み出せない層」へのリーチが可能になったと考えられます。

    また、ユーザーからは「人よりも話しかけやすかった」「思っていたより自然に会話できた」といった声が寄せられ、心理的ハードルの低さが大きな成果につながっていることがうかがえます。

    このように、アバター接客は単に人的リソースの解消ではなく、新たな客層の掘り起こしに寄与できる手段として注目されています。

    参考:PR TIMES|アバターでアポ獲得率が2倍に!保険に特化したアバターオンライン相談サービスを提供開始保険市場|保険市場限定!アバターとオンライン保険相談

    3. ホテル業界のリモート接客事例(HISグループ)

    次に紹介するのは、ホテル業界でのリモート接客事例です。
    ホテル業界でも人手不足が問題となっておりリモート接客の需要が高まっていますが、「非対面化とおもてなしの両立」が課題となります。

    省人化を進めながらも、宿泊者が求める安心感や丁寧な対応をどう維持するかが、最も大きな課題です。
    また、逆にリモート接客を「エンターテイメント化する」というホテルも登場しています。

    ホテル業界のリモート接客の特徴

    • ホテルの価格帯やコンセプトによって、リモート接客の設計は大きく異なる
    • 低価格帯では省人化を目的に、セルフチェックインや無人フロントの導入が進んでいる
    • 高級ホテルでは「人による接客」が価値とされ、リモート技術は補助的に活用される傾向にある
    • アバターやロボットを使って体験価値を提供する、エンタメ型の接客も登場している
    • 海外からの宿泊客増加に伴い、多言語対応の必要性が高まっている

    単に「業務効率」を目的とした人員削減だけでなく、「接客体験そのものをホテルの魅力に変える」という進化を遂げているホテルもあります。

    その代表的な事例が、H.I.S.ホテルホールディングス株式会社が展開する「変なホテル」です。
    恐竜型や人型のロボットがフロントに立ち、宿泊者のチェックインを担当するこのホテルでは、人ではないロボットに寄る接客が「エンターテインメント」として存在しています。

    3-1. リモート接客の特徴:接客自体を集客の武器にしたホテル

    変なホテルのリモート接客の最大の特徴は、「ロボットによる接客」がホテルの価値そのものになっている点です。

    恐竜型や女性型のロボットがフロントに立ち、宿泊者の名前や予約情報を確認しながらチェックイン・チェックアウトの案内を行います。
    操作は自動化されているため、人間は最小限のサポートにとどまります。

    宿泊者の多くは「変なホテルに泊まりたい」という動機で予約をしており、リモート接客が単なる業務の一環ではなく、「泊まりたくなる理由」になっているのが大きな特徴です。

    3-2. 活用方法:チェックインから客室内の案内までを非対面で完結

    変なホテルでは、単にフロント業務をリモート化するだけでなく、宿泊体験全体を「リモート+ロボット」で再構成する設計がなされています。

    一般的なリモート接客が「受付」や「問い合わせ」など限られた場面にとどまるのに対し、チェックインから滞在中の案内、チェックアウトまで一貫してリモート技術を取り入れている点が大きな違いです。

    「変なホテル」のリモート接客・自動対応の活用シーン

    • チェックイン・チェックアウトは、恐竜型や女性型のロボットが担当する
    • 客室内では、音声アシスタントロボットが室内設備の使い方や周辺情報を案内する
    • 荷物預かりは、ロボットアームを備えた自動機で非対面かつ効率的に対応する
    • 顔認証やタッチレスチェックインにより、ルームキーの発行も非接触で完結する

    このように、変なホテルは「リモートで対応できるホテル」ではなく、「宿泊そのものを非対面で完結できるように設計されたホテル」であることが特徴です。
    接客の一部を代替するのではなく、接客体験そのものをアップデートしている点が他施設と大きく異なります。

    3-3. 効果:話題性とエンタメ性で顧客満足度・ブランド価値を高めることに成功

    変なホテルは、ロボットによる接客や自動化の徹底によって、省人化・効率化と顧客満足度の両立に成功した代表的な事例です。
    スタッフの業務負担を軽減しつつ、非接触対応や24時間体制の運営を実現し、運営コストの最適化と顧客の快適性の維持を両立しています。

    具体的には、リモート接客を含むテクノロジー導入によって、以下のような成果を上げています。

    • スタッフの稼働を大幅に抑えながら、24時間体制の営業を安定して維持することに成功
    • 100室前後ある客室数に対して、7〜8名程度の従業員数、各シフトをわずか2名で運営
    • ロボット接客が話題になり、宿泊そのものが「体験型の観光コンテンツ」として成立するように
    • 「変なホテルに泊まりたい」と指名検索されることも多く、ブランド力も向上
    • 2016年には「世界初のロボットが接客するホテル」としてギネス世界記録に認定
    • 海外展開も進めており、韓国・アメリカ・中国などでも展開を拡大中

    業務効率化・人員削減と「泊まりたくなる魅力」を両立した変なホテルは、リモート接客を「ただの効率化」ではなく価値創造の手段として活かした先駆者といえます。

    参考:変なホテル公式サイト、リクルートワークス研究所|フロントはもちろん客室サービスもロボットに。「変なホテル」の次なる進化(HISホテルホールディングス)

    4. 医療業界のリモート接客事例(大林クリニック)

    次は、医療業界におけるリモート接客の事例について紹介していきます。

    医療業界でのリモート接客といえば、「オンライン診療」が代表格でしょう。
    他業界と大きく異なるのは、オンライン診療が単なる利便性の提供ではなく、国家資格を持つ医師による正式な「医療行為」であることです。

    オンライン診療は、厚生労働省から適切な実施に関する指針が定められており、

    • 原則として初診は対面診療
    • 患者の同意取得
    • 適切な情報管理体制(カルテの電子化など)

    といった要件を満たした上で運用されています。

    その他、「オンライン診療」以外にも、病院内の案内や受付など、診療行為に該当しない領域では、アバター型やAI型のリモート接客も導入され始めています。

    今回は、栃木県宇都宮市にある「大林クリニック」による、リモート接客(オンライン診療)の取り組み事例をご紹介します。

    4-1. リモート接客の特徴:医師によるビデオ通話で正式な診察を実現

    栃木県宇都宮市にある「大林クリニック」のオンライン診療の特徴は、医師本人がリアルタイムで画面に登場し、1対1で対応するという点にあります。

    他の業界のリモート接客とは異なり、診察という専門性の高い行為は、医師が責任をもって直接担わなければならないからです。
    医師法を遵守するためにも、医師本人が診察をすることは欠かせない要件となります。

    診察中には表情や言葉のニュアンス、生活習慣の変化まで汲み取る必要があり、単なる情報伝達では成立しないやり取りが求められます。

    4-2. 活用方法:頭痛外来を中心に再診・薬の処方を非対面で完結

    大林クリニックでは、オンライン診療を「対面の代替」ではなく、「通院の負担を減らす補完的手段」として位置づけて活用しています。
    脳神経外科、内科、リハビリテーション科で使用しており、主に再診・経過確認・処方に活用されています。

    診療は専用アプリ「CLINICS」から事前予約して、予約時間にビデオ通話で医師とつながる形式です。
    診察後は処方箋が発行され、自宅配送や近隣薬局での受け取りが可能です。

    とくに、昼間に働いていて通院時間が取れない人にとっては「昼休みに職場で診療を受けられる」という利便性が高く評価されています。

    4-3. 効果:通院の継続率向上と「離脱防止」に貢献

    オンライン診療導入後、大林クリニックでは次のような効果が確認されています。

    • オンライン診療を利用する患者の約80%が昼間働いている世代 であり、通院の時間的制約を解消する手段として活用されている
    • 通院が困難であった患者が、オンライン診療を通じて治療を再開するケースが増加し、診療継続率の向上に寄与した
    • 患者からは「時間を有効活用できる」「相談しやすくなった」といった声が多数寄せられ、患者満足度の向上が見られた

    「通院できないから治療が中断する」「交通費がネックになっている」などの患者を失う機会損失を防ぎ、患者が通いやすくなるメリットが生まれました。

    参考:厚生労働省|オンライン診療その他の遠隔医療に関する事例集、CLINICSオンライン診療|患者の待ち時間を削減 対面と同等の診察クオリティを実現

    5. 美容業界のリモート接客事例(オルビス株式会社)

    ここからは、美容やコスメ業界でのリモート接客事例について解説していきます。

    美容・コスメ業界では、従来より、対面での丁寧なカウンセリング接客が重視されてきました。
    しかしコロナをきっかけに、近年では、来店のハードルを下げてより多くの顧客と接点を持つ手段として、リモート接客の導入が加速しています。

    美容業界におけるリモート接客 の特徴・トレンドをまとめると、以下のような傾向があります。

    美容業界のリモート接客の特徴・トレンド

    • スキンケアやメイクなど視覚的な要素が大きいため、ビデオ通話型のリモート接客が主流
    • 顧客が自宅でリラックスした状態で相談できるため、本音を引き出しやすい
    • 「専門家に見てもらえる」ことが重視されるため、アバターではなく実写対応が基本
    • テキストチャットも併用して、顧客からの質問に気軽に回答できるのがメリット
    • リモート接客体験を通じて、顧客のファン化やリピート促進、LTV向上につながっている

    ここからは、Web会議サービス「Zoom」を利用して、いち早くオンラインカウンセリングを導入したオルビス株式会社のリモート接客事例を解説していきます。 

    5-1. リモート接客の特徴:シンプルで使いやすい相談窓口を実現

    オルビス株式会社は、多くの実店舗が休業を余儀なくされた2020年のコロナ禍において、Web会議サービスである「Zoom」を使ったオンラインカウンセリングをいち早く取り入れた企業です。
    当時は緊急事態宣言により対面での接客が難しい状況でしたが、その状況下で気軽に美容部員と1対1で相談できる環境を整えた、という経緯があります。

    オルビス株式会社が提供していたZoomによるオンラインカウンセリングの最大の特徴は、誰でもすぐに使えるシンプルさです。

    難しい操作が要らない分、顧客は「ちょっと聞いてみたい」「今の肌悩みを誰かに話したい」という気持ちで利用しやすくなっています。
    また、カメラをオフにしたままでも対応できるため、「顔を出すのは抵抗があるけれど、相談はしたい」というニーズにも応えられています。

    こうした使いやすさがあるからこそ、普段あまり店舗に行かない層や、子育てや在宅勤務で外出しづらい層など、これまでつながりづらかった顧客にも活用されたと考えられます。

    5-2. 活用方法:相談・実演など一連の流れをオンラインで完結

    オルビス株式会社のZoomによるオンラインカウンセリングでは、以下のような流れで実施されていました。

    具体的なリモート接客の活用シーン 

    • 1対1で、ビューティーアドバイザーが30分にわたり相談に乗ってくれる
    • メイクの方法や商品の選び方などを無料でアドバイスしてくれる
    • アドバイザー自身の顔や手を使って商品を実演し、具体的な使用方法を説明してくれる
    • カウンセリングが終わった後には、アドバイス内容や紹介商品の情報が記載されたメールが送付される
    • メールにはカウンセリングで紹介された商品のURLも含まれており、後日ゆっくりと検討・購入することができる

    こうした丁寧な対応により、顧客は、わざわざ店舗に行かなくても、自宅で個別の悩み相談をすることが可能です。

    5-3. 効果:顧客接点の拡大とブランドへの信頼感を獲得

    オルビス株式会社がリモート接客を取り入れた効果として、以下のような結果が得られました。

    • 2020年5月の開始当初は月38件だったカウンセリング数が、2021年2月には月174件にまで増加 
    • Zoomを活用した1対1のカウンセリングにより、顧客は自宅からリラックスして相談できる環境が整い、満足度の向上につながった
    • オンラインカウンセリングを通じて顧客との継続的な関係構築が可能となり、LTV(顧客生涯価値)が向上した
    • オンラインを通じて新規顧客層(育児中や在宅勤務中など)への接点も広がった

    このように、オルビス株式会社の事例は、新たな顧客の掘り起こしや、既存顧客との継続的な関係構築にもつながっている好例といえます。

    参考MS&Consulting|顧客満足100%を誇るオルビスの「オンラインカウンセリング」の形とは?~化粧品業界の可能性を探る~MD NEXT|第33回画面越しにメイクカウンセリングを実現「オルビス」のオンライン接客

    6. 不動産業界のリモート接客事例(京急不動産株式会社)

    次に紹介するのは、不動産業界でのリモート接客導入事例です。
    不動産業界では、対面による丁寧な説明が重視される一方で、営業時間外の問い合わせ対応や無人店舗運営など、新たな接客ニーズも急増しています。

    不動産業界におけるリモート接客の特徴・トレンドは、以下のようなポイントにまとめられます。

    不動産業界のリモート接客の特徴・トレンド

    • 接客の中心は「対面営業」であるという前提が強い業界だが、コロナ禍をきっかけにリモート対応が急速に進んだ
    • 物件案内や相談などの初期段階や、契約や重要事項説明にもリモート接客を活用する企業が増えている
    • 店舗型では、顧客が店頭に設置された端末から遠隔スタッフにつながるスタイルが主流
    • 専門知識のある営業スタッフが対応することで、相談から次のアクション(来店・内見予約)につながりやすい
    • 将来的には、VR内見や電子契約と組み合わせて、完全非対面の契約完結型モデルが進む可能性もある

    こうした背景の中で、リモート接客は、業務効率化と顧客満足度の両立を目指す施策として注目されています。
    京急不動産株式会社はその代表的な事例のひとつで、実店舗と遠隔拠点をつなぎ、無人店舗でも「リアルに近い接客体験」を提供しています。

    6-1. リモート接客の特徴:スタッフがいなくても対応できる店舗を実現

    京急不動産株式会社では、駅近の上大岡店に無人の相談スペースを設置し、別店舗(金沢文庫店)に在籍するスタッフが遠隔で応対する仕組みを導入しています。

    画面越しに映るのは、アバターを通じたビジュアルと、実際に接客しているスタッフの声です。
    このハイブリッド構成により、「無人店舗」ながらもリアル店舗に近い安心感のある接客体験を提供することに成功しています。

    京急不動産株式会社がアバターを選択した理由は、遠隔から接客するスタッフの背景を消したいというニーズからです。
    バックヤードが狭い店舗のなかでスタッフが接客すると、後ろのコピー機や他のスタッフが映り込んでしまいます。

    画面表示をアバターにすることで、スタッフが気負わずに接客するメリットがあります。
    さらに実写とも切り替えができるため、必要に応じてアバターか実写かを選ぶことができます。

    6-2. 活用方法:無人店舗での初回対応から重要事項説明まで対応

    京急不動産株式会社では、店舗を閉めるかどうか悩んでいた一店舗にリモート接客の端末を設置して、いまでは無人店舗での運営を行っているそうです。

    リモート接客の活用範囲は、無人店舗での「初回案内」だけにとどまりません。
    以下のような接客に活用しています。

    • 無人店舗に来訪した顧客に対して、オンライン接客ブースのタブレット端末でリモートで接客を行う
    • 金沢文庫店で4名のスタッフでオペレーター対応を行い、顧客の情報を聞いて担当者に引き継ぎ
    • スタッフがタブレットを現地に持参して、顧客にオンラインで見てもらう
    • 重要事項説明のような長時間対応も、顧客に来店してもらわなくてもオンラインで行える体制を構築中
    • 顧客は、店舗からだけでなく、公式サイトからも相談することが可能

    これにより、店舗を閉めずに顧客接点は残したまま、接客担当が1人で複数拠点をカバーできるようになりました。

    6-3. 効果:人件費削減と顧客利便性の両立に成功

    リモート接客を導入した後、京急不動産株式会社では次のような効果が得られています。

    • 接客時間を短縮できたことにより、10%〜20%のコスト削減 に成功
    • アバター接客による心理的ハードルが下がり、女性スタッフから喜ばれている
    • 重要事項説明書のやり取りもオンラインで完結できるため、業務効率化が進んだ
    • 長い時間がかかる重要事項説明について、顧客も来店不要で受けられるため、顧客の利便性も向上

    リモート接客スタイルは省スペースで行えるため、今後は高齢者施設など新しい出店スタイルへの応用も視野に入れているそうです。
    京急不動産株式会社の事例は、店舗を閉鎖することなく接点を残しておきながらも省人化できた成功モデルといえるでしょう。

    参考:接客オンデマンド|店舗を窓口に沿線地域とワンストップで密着。アバター接客で無人受付やコストのスリム化を実現京急不動産公式サイト|オンライン賃貸接客サービス

    7. アパレル業界のリモート接客事例(株式会社アダストリア)

    次に紹介するのは、アパレル・服飾業界のリモート接客事例です。

    アパレル業界では、商品の見た目やサイズ感、素材のニュアンスなどを伝えるために、接客の重要性が非常に高く位置づけられています。
    こうした業界特性もあり、リモート接客においても「実際に話して相談できること」が強く求められるのが特徴です。

    また近年では、ビデオ通話やライブ動画配信、チャットツールなどを活用しながら、店舗スタッフによるリアルタイムな提案型の接客が数多く導入されています。
    とくに、スタッフの知識や人柄を活かしたコミュニケーション設計が評価されており、オンラインでも接客力を発揮できる仕組みづくりが企業ごとの差別化につながっています。

    アパレル業界のリモート接客の特徴・トレンド

    • 顧客が「実際に話して相談したい」と感じる場面が多いため、口頭での対話による提案型の接客と相性がよい
    • 「似合う・似合わない」や着心地、サイズ感といった主観的な要素を言語化して伝えることが重要であり、1対1のリアルタイム接客が価値を持つ
    • 一方で、1対1の運用はスタッフ稼働が重くなりやすいため、ライブ配信やチャットとの組み合わせでバランスを取る企業が多い
    • 顧客の要望に応じて「指名制」や「カメラオフ参加」など、話したい人だけが話せる設計も支持されている
    • スタッフ側の提案力や印象もブランド価値の一部であり、実写・有人のビデオ通話形式が支持されている

    その中でも注目されているのが、株式会社アダストリアの取り組みです。
    ここからは、「GLOBAL WORK」や「niko and…」など30を超えるブランドを展開する株式会社アダストリアによるライブ配信+チャット接客を連動させたリモート接客の事例を紹介します。

    7-1. リモート接客の特徴:スタッフ主導の動画・ライブ配信による接客強化

    株式会社アダストリアのリモート接客では、店舗スタッフが主役となって、おすすめの新作アイテムやスタイリングをわかりやすく動画で紹介しながら、そのままお買い物も楽しめるコンテンツがメインとなっています。
    これらの動画は、株式会社アダストリアの公式ECサイト上に表示され、顧客は購入前にスタッフのリアルな声・着こなし・使用感などを動画で確認できるようになっています。

    また、店舗スタッフがInstagramのLIVE配信を通じて、アイテムやスタイリングを紹介するリモート接客の試みもされています。
    事前に寄せられたコメントにもライブ中にスタッフがリアルタイムで回答することで、双方向のコミュニケーションを実現しています。

    顧客が店頭に足を運ばなくても、オンラインで気になる商品の着用感などを確認し、必要に応じて質問の回答を得ることができます。

    7-2. 活用方法:スタッフと顧客がつながる接点をオンラインで再現

    株式会社アダストリアのリモート接客では、単なる一方的な情報発信ではなく、スタッフと顧客がつながる「接客の場」をオンライン上に再現しているのが特徴です。

    • 店舗スタッフが自らスマートフォンなどで動画を撮影し、コーディネートや商品の特徴をナレーション付きで紹介する
    • 顧客は店舗に行かなくても、スタッフの解説動画を視聴して使用感や着こなし方をイメージできる
    • InstagramなどのSNSを使ってライブ配信を実施し、視聴者とリアルタイムでコミュニケーションをとることも
    • ライブ配信中には、事前に顧客から集めた質問などのコメントに回答
    • ライブや動画で紹介された商品は、オンラインでそのまま購入まで完結させることができる

    このように、オンラインでのリモート接客を単なる店頭接客の補完ではなく、顧客との関係強化やシームレスな購入にもつなげています。

    7-3. 効果:顧客との関係構築とEC売上の拡大につながる接客導線を確立

    株式会社アダストリアのリモート接客は、スタッフ主導での動画発信やライブ配信を通じて顧客との信頼関係を築き、実際に購買行動にも結びつけることに成功しています。

    • 商品ページに掲載された動画によって、素材感や着こなしのリアルなイメージが伝わりやすくなり、購入前の不安を軽減できた
    • スタッフが自ら動画で商品のポイントや着こなしを紹介することで、実店舗での会話に近い情報提供が可能になり
    • スタッフの継続的な情報発信によって、ファン化やリピート購入につながっている

    こうした取り組みの積み重ねにより、株式会社アダストリアのEC売上は2021年2月期に前年比23.4%増を記録し、EC化率も30%を超える水準 に到達しました。
    顧客との継続的な接点づくりを通じて、LTV(顧客生涯価値)の向上にも寄与しており、ECが単なる販売チャネルではなく、接客の延長線上にある存在へと進化したといえるでしょう。

    参考:PR TIMES|アダストリアよりスタッフ主導のオンライン接客から生まれた新コンテンツ「.st CHANNEL」スタート、VANISH STANDARD|アダストリア、STAFF STARTの動画接客機能「PLAY」を導入し、コーデ写真と動画の投稿を一元化。オペレーションと評価管理の効率化へ

    8. 飲食業界のリモート接客事例(株式会社京はやし)

    飲食業界では、深刻な人手不足や営業時間の制約に対応する手段として、リモート接客の導入の検討が進んでいます。
    とくにセルフサービスやテイクアウト業態では、「最低限の人員で接客品質を保ちたい」というニーズが高く、遠隔からの接客サポートが注目されています。

    一方で、店内で調理・配膳を行うような外食産業では、盛り付けや食器の片付けなどは現場でリアルタイムに行う必要があり、完全な自動化は難しい現状があります。
    リモート接客の代替としてタッチパネルで注文できる端末はすでに浸透しています。

    飲食業界のリモート接客の特徴・トレンド

    • 外食産業では、調理や片づけが自動化しづらく、接客だけをリモート化しても業務全体を無人化することは難しい(ただし、実証実験レベルでは導入が試されている)
    • また、既に対面接客の代わりにタッチパネル式の注文端末が広く導入されている
    • 一方で、テイクアウト専門店やセルフ型店舗では、リモート接客での無人店舗なども登場
    • 接客の目的は「積極的に売る」のではなく、「困っているときに助けること」「無人であることの不安をやわらげる安心の補完機能」がメイン
    • リモートの特性を生かして、子育て中や地方のスタッフなども活用することが可能

    そんな中、株式会社京はやしが京都市で展開している「太秦弁当村 桂店」では、2021年に無人営業時間帯に遠隔スタッフが接客を行う仕組みを導入して話題になりました。

    以下から詳しく事例の詳細を解説していきます。

    8-1. リモート接客の特徴:15時以降はスタッフ不在の完全無人運営を実現

    株式会社京はやしは、持ち帰り弁当専門店「太秦弁当村」の4店舗目として「リモート接客を活用した半無人」の桂店をオープンしました。

    この弁当店の特徴としては、店舗にスタッフが常駐しない時間帯(15時以降)に、遠隔地のスタッフがモニター越しにリアルタイムで接客する仕組みを導入して、完全に無人運営を実現した点にあります。
    無人営業中は、店舗内のセルフレジの隣に設置されたモニターで、他店舗のスタッフが接客とサポートを遠隔で行います。

    「太秦弁当村 桂店」ではリモート接客のほかに、遠隔施錠システムや遠隔照明操作、オリジナル物流在庫システムなどを導入して、無人でも安全かつ効率的に店舗を運営できる仕組みを整備しています。

    8-2. 活用方法:セルフレジの操作支援だけでなく有人店と同等サービスを実現

    株式会社京はやしが導入したリモート接客サービスでは、セルフレジの操作支援だけでなく、QRコードを活用したクーポンの提供など、有人店舗と同等サービスを実現しているのが特徴です。

    • セルフレジの隣に設置されたモニターに遠隔スタッフが映し出され、顧客のセルフ清算をサポート
    • モニター越しにQR割引クーポンを提供するなど、有人店舗と同等のサービスを提供
    • リモートで接客を行うスタッフは自宅などから勤務するため、子育て中の主婦や身体の不自由な方などの雇用を促進

    このように、モニターに実際のスタッフが表示されることで、顧客が抱く「無人店や自動精算に対する不安感」を軽減しています。

    8-3. 効果:完全無人営業の実現と接客品質の両立に成功

    リモート接客を導入することで、この店舗では以下のような効果がありました。

    • 現場スタッフの配置なしで、15時以降の完全無人営業を可能にした
    • 無人時間帯でも「人の存在感」が得られることで、セルフレジの不安や利用ハードルを下げることができた
    • 無人でも顧客対応を維持でき、省人化とサービス品質の両立に成功した
    • 接客を担うスタッフが自宅や別の拠点から対応可能となり、子育て中の主婦や身体的制約のある人でも接客業務に参加できる仕組みを整備できた
    • 他のシステム(遠隔照明・施錠・在庫システムなど)と組み合わせて、多店舗展開可能なモデルを生み出せた

    無人店舗でも安心して利用できる店舗の新しいかたちとして、今後の飲食業界にとって大きなヒントになる事例といえるでしょう。

    参考:PR TIMES|無人のお弁当販売店を実現、遠隔接客サービス「RURA」が太秦弁当村に導入、PR TIMES|遠隔接客サービス導入で、弁当の無人販売を実現した次世代型テイクアウト店「太秦弁当村」

    9. 成功事例に見るリモート接客の導入スタイルまとめ

    これまで1章から8章にわたって、さまざまな業界におけるリモート接客の事例をご紹介してきました。
    「リモート接客」と一口にいっても、誰が対応するか(アバターか実写か)や、どこに設置するか(または設置せずにユーザーの端末からアクセスするのか)など、導入スタイルは実にさまざまあることがおわかりいただけたのではないでしょうか。

    本章では、これまで紹介してきた8つの事例をもとに、実際に導入されているリモート接客の主なパターンを整理していきます。
    導入を検討している方が、自社に合った形を見つける手がかりとしてお役立ていただければ幸いです。

    9-1. 案内役の見た目:「アバター」か「実際のスタッフの実写」か

    リモート接客を導入する場合、顧客に見せる人の姿が「アバター」か「実際のスタッフの実写」かで、印象や使いやすさに大きく影響します。

    9-1-1.アバター

    アバター型は、親しみやすく話しかけやすい雰囲気をつくれるため、コンビニや飲食店などカジュアル・低価格な業態で多く導入されています。
    たとえば今回の株式会社ローソンの事例では、「アバターのほうが人よりも話しかけやすかった」という声もありました。

    ただし、高価格帯であっても、「わざわざ人に相談するのはハードルが高く緊張してしまう」という層を取り込むために、あえてアバター型を導入して成功しているケースもあります。

    たとえば、今回の株式会社アドバンスクリエイトの例では、オンライン保険相談のコンサルタント指名予約においてはアバターが最も支持される結果になるなど、「アバターのほうが話しやすい」というライト層を取り込むことに成功しています。

    9-1-2.実際のスタッフの実写

    一方で実写型は、信頼性や安心感を重視する医療現場や、しっかりとしたカウンセリングが必要な業態、高価格帯の業態で好まれる傾向があります。

    今回の例でいうと、オルビス株式会社のメイクのカウンセリングは人のほうが安心です。
    また、アパレル業界の株式会社アダストリアの例では、名物スタッフが顔出しすることが価値になっています。

    また、オンライン診療のように、薬事法の制限があって、お医者さん本人が出なければならないケースもあります。

    業態はもちろん、自社のブランドイメージや接客のトーン、目的に合わせて、案内役の見た目にもこだわることが成功の鍵になります。

    9-2. 設置場所:「店頭に設置」か「Webサイトに設置」か

    リモート接客は、どこで提供するかによって、設計や導線が大きく変わります。

    店舗内に端末を設置して行うタイプは、対面接客の代替として直感的に使いやすく、来店客との対応に適しています。
    一方、オンライン上で行うタイプは、店舗に来られない人や遠方の顧客にリーチできるのが強みです。

    たとえば、株式会社京はやしの弁当店では店舗(セルフレジ横)に設置したモニターで接客を行っており、無人ながら有人店舗と同等のサービスを実現しています。

    一方で、アパレルの株式会社アダストリアの例では、自社ECサイトやSNSと連携して、対人接客とは全く異なるチャネルとしての接客の価値を生み出しています。
    店舗型とオンライン型は、どちらか一方ではなく、目的に応じて併用したり使い分けたりすることが効果的です。

    9-3. 呼び出し方式:「常時起動可能」か「顧客操作型」か「予約制」か

    リモート接客をどのタイミングで開始するかは、顧客との接点の設計に直結します。

    常時モニターに表示されている方式は、店舗の雰囲気づくりや声かけのしやすさに強みがあります。
    一方、顧客が自らタッチや呼び出しを行う方式は、効率的で集中対応が可能になります。

    たとえば、H.I.S.ホテルホールディングス株式会社が展開する「変なホテル」のようにロボットが常時フロントに立っているスタイルは、空間づくりにもつながっています。
    一方で、京急不動産株式会社では、顧客が店舗に来たときだけ対応するスタイルです。

    接客の開始のきっかけをどう設計するかは、運用にも顧客体験にも大きく影響するポイントとなります。

    9-4. オペレーターの運用体制:1人で複数拠点を担当するのが理想

    リモート接客を導入する際には、オペレーターの運用体制をどう設計するかも重要なポイントになります。
    たとえば、店舗ごとに専任のリモート接客スタッフを配置するのか、1人のスタッフで複数の拠点を担当するのかによって、必要な人員数やシフトの組み方は大きく変わります。

    大林クリニックでは医師が個別にオンライン診療を行っており、完全な一対一体制です。
    一方で、株式会社ローソンや京急不動産株式会社では1名のスタッフが複数店舗を担当して、効率的な運用を実現しています。

    また、リモート接客の特性を活かして、事務業務と兼任したり、自宅から接客対応を行ったりといった柔軟な働き方も可能です。
    子育て中の方や身体的な制約のある方が、自宅にいながら接客に参加するケースも見られます。

    オペレーターの配置や働き方は、接客品質とコストのバランスに直結する要素であり、最適な体制設計がリモート接客成功のカギを握ります。

    「アバターAIによる自動応答」と「必要に応じた有人対応」を両立できる
    ハイブリッド型リモート接客ツール「WONDERGIRL powered by AVITA」

    「リモートでの接客を自動化したい」「でも品質も妥協したくない」
    そんなリモート接客ツールをお探しなら、「WONDERGIRL powered by AVITA」をご検討ください。

    「WONDERGIRL powered by AVITA」は、生成AIによる自動応対と、オペレーター(人)による応対の切り替えが可能な、次世代型のAI接客アバターサービスです。

    Webブラウザ上で動作し、音声やテキストによる双方向のやりとり、さらに有人での遠隔対応も可能。
    会話内容の記録・蓄積機能により、接客品質の向上や顧客ニーズの可視化にも貢献します。

    多くのAI接客ツールは「AI前提」で設計されていますが、このツールはもともと有人対応からスタートし、後からAIを組み込んだ設計になっているため、他にはない柔軟性と接客品質の高さが強みです。

    「複雑な問い合わせには人が対応」「基本的な案内はAIで効率化」といった場面に応じた切り替えができるため、対応可能なシーンが広く、顧客満足度を損なわずに省人化を実現できます。

    導入実績豊富なAVITA株式会社が運営するアバター接客サービス「AVACOM」のパートナープログラムに参画しており、その「AVACOM」を活用したサービスとなります。

    まずはぜひお気軽にお問い合わせください。

    10.まとめ

    本記事では、リモート接客を導入した企業の事例について、業界ごとに詳しく解説してきました。

    ◆小売業界のリモート接客事例(株式会社ローソン)

    • リモート接客の特徴:有人対応型アバターを活用して24時間対応を実現

    ◆保険業界のリモート接客事例(株式会社アドバンスクリエイト)

    • リモート接客の特徴:アバターによる有人対応で話しかけやすさを実現

    ◆ホテル業界のリモート接客事例(HISグループ)

    • リモート接客の特徴:接客自体を集客の武器にしたホテル

    ◆医療業界のリモート接客事例(大林クリニック)

    • リモート接客の特徴:医師によるビデオ通話で正式な診察を実現

    ◆ 美容業界のリモート接客事例(オルビス株式会社)

    • リモート接客の特徴:シンプルで使いやすい相談窓口を実現

     ◆不動産業界のリモート接客事例(京急不動産株式会社)

    • リモート接客の特徴:スタッフがいなくても対応できる店舗を実現

    ◆アパレル業界のリモート接客事例(株式会社アダストリア)

    • リモート接客の特徴:スタッフ主導の動画・ライブ配信による接客強化

    ◆飲食業界のリモート接客事例(株式会社京はやし)

    • リモート接客の特徴:15時以降はスタッフ不在の完全無人運営を実現

    リモート接客といっても業界によって特徴や活用方法は様々です。
    今回の事例を参考に、自社に合う形でのリモート接客のあり方を見直してみてください。

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