
DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進が企業の生命線となる一方で、日本国内のITエンジニア不足は年々深刻化しています。
「やりたい施策はあるのに、人がいない」という課題を解決する手段として、改めて注目されているのが「オフショア開発」です。
しかし、検討を進める担当者様の心には、このような「本音の不安」があるのではないでしょうか。
「コストが安い分、品質も低いのではないか?」
「言葉や文化の壁で、意図が伝わらず失敗するのではないか?」
「海外にデータを預けて、情報漏洩やセキュリティは大丈夫なのか?」
かつては「コスト削減」だけが目的とされ、品質トラブルが多発した時期もありました。
しかし2026年現在、オフショア開発の常識は大きく変わっています。
この記事では、オフショア開発の基礎知識から、日本語堪能なキーマン(ブリッジSE)を活用して言葉の壁を越える方法、そしてISO27001準拠レベルの高度なセキュリティと品質を実現する具体的な手法までを解説します。
円安環境下でも「選ばれる」2026年版オフショア開発の最前線を、ぜひ貴社の戦略にお役立てください。
【この記事でわかること】
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目次
1.【基礎知識】オフショア開発とは?

まずは、オフショア開発の基本的な仕組みと、多くの企業が導入に踏み切る理由、そして注意すべきリスクについて整理します。
1-1.オフショア開発の意味と仕組み
オフショア開発(Offshore Development)とは、Webシステムやスマートフォンアプリ、業務系システムなどの開発業務を、海外のIT企業や現地法人に委託する開発手法のことです。
「Offshore(岸の向こう側)」という言葉の通り、海を越えた海外リソースを活用することを指します。
日本からの委託先としては、ベトナム、フィリピン、インド、バングラデシュなどが主要国として挙げられます。
1-2.なぜ今、オフショアなのか
多くの日本企業がオフショア開発を選ぶ理由は、大きく分けて2つあります。
- 開発コストの大幅な削減
日本のエンジニアと比較して、新興国の人件費は依然として安価です。
国やスキルセットにもよりますが、日本の1/2〜1/3程度の単価で発注できるケースもあり、トータルの開発予算を大きく圧縮できます。 - 優秀なリソース(エンジニア)の確保
現在、このメリットの重要性が増しています。
少子高齢化が進む日本とは異なり、ベトナムやインドなどは若年層の人口が多く、国策としてIT人材の育成に力を入れています。
「国内では採用できないハイスキルなエンジニアを、必要な時期に即戦力として確保できる」点が、DXを加速させたい企業の強力な武器となります。
1-3.よくある失敗とデメリット
一方で、失敗事例も少なくありません。
その最大にして根本的な原因は「言葉の壁」と「ニュアンスのズレ」です。
「細かく指示しなくても、行間を読んでくれるはず」という日本特有の期待は、海外では通用しません。
- 仕様書に書いていないことは実装されない
- 「いい感じにしておいて」が通じない
- 文化的な背景の違いによるデザインのズレ
こうした解釈のズレが生じ、テスト段階で「思っていたものと違う」というトラブルに発展するのが典型的な失敗パターンです。
1-4.課題解決のカギは「ブリッジSE(BrSE)」の存在
この「言葉の壁」という最大の課題を解決するために不可欠なのが、日本側と現地エンジニアの間をつなぐ「ブリッジSE(Bridge SE)」です。
優秀なブリッジSEは、単なる「通訳」ではありません。
日本側のビジネス要件や曖昧な要望を汲み取り、それを現地のエンジニアが理解できる「仕様書」へと正確に翻訳・変換する役割を担います。
「日本語が堪能で、日本の商習慣を理解しているブリッジSE」がプロジェクトの中心にいれば、言葉の壁によるストレスは驚くほど軽減され、国内開発と変わらないスムーズな進行が可能になります。
つまり、オフショア開発の成否は「誰をブリッジSEにするか」で決まると言っても過言ではありません。
2.2026年の最新トレンドと「失敗しない」国選び

ブリッジSEの重要さが分かったところで、次に直面するのが「どこの国を選ぶべきか」という問題です。
2026年現在、オフショア開発の拠点は多様化していますが、日本企業からの発注先として主要な3ヶ国の特徴とトレンドを解説します。
2-1.主要国の特徴と単価相場(ベトナム・フィリピン・インド)
かつては「オフショア=中国」という時代がありましたが、人件費の高騰により、現在はベトナム・フィリピン・インドが主流となっています。
それぞれの特徴を整理します。
ベトナム | 特徴 | 日本企業からの委託先として現在最も人気がある国。国民性が勤勉で真面目、かつ親日国であることが大きな要因です。 |
| 得意領域 | Webシステム開発、アプリ開発、業務システム、AI開発など幅広い領域。 | |
| 日本語対応 | 日本語教育が盛んで、日本語対応可能なエンジニアやブリッジSEが豊富。 | |
| フィリピン | 特徴 | 公用語が英語であり、英語圏のプロジェクトやグローバル展開を視野に入れた開発に強みがあります。 |
| 得意領域 | 英語ベースの開発、デザイン、コールセンター業務など。 | |
| 日本語対応 | 日本語話者は少なく、基本的にコミュニケーションは英語となります。 | |
| インド | 特徴 | 世界的なIT大国であり、圧倒的なエンジニア数と数学的・論理的思考力の高さが武器。欧米企業からの発注がメインです。 |
| 得意領域 | 最先端技術、大規模システム、数値解析など。 | |
| 日本語対応 | 英語が主流であり、文化的なギャップ(自己主張の強さなど)を感じる日本企業も少なくありません。 |
2-2.なぜ「ベトナム」が日本企業に選ばれるのか
これらの中で、日本企業にとって最も「失敗リスクが低い」選択肢として定着しているのがベトナムです。
その理由は、単なるコストパフォーマンスだけではありません。
最大の理由は、前章で挙げた「日本語堪能なブリッジSEの豊富さ」にあります。
ベトナムでは国家レベルで日本語教育に力を入れており、多くの工科系大学で日本語が必修または選択科目となっています。
さらに、若手エンジニアの中には「日本の大学への留学経験者」や「日本企業での就業経験者(技能実習やエンジニアとして)」が非常に多く在籍しています。
彼らは日本語の文法だけでなく、
- 「報連相(ホウレンソウ)」の重要性
- 納期厳守の意識
- 曖昧な表現の裏にある意図
といった日本のビジネス習慣や「空気感」を肌感覚で理解しています。
この「日本を知っている人材」をチームの要(ブリッジSE)に据えやすい土壌があることが、ベトナムが選ばれ続ける決定的な理由です。
2-3.円安環境下でもオフショアを選ぶべき理由
「円安が進んでいる今、海外に発注するメリットはあるのか?」という疑問を持つ方もいるかもしれません。
確かに以前ほどの圧倒的な安さは薄れていますが、それでも2026年時点で日本のエンジニア単価と比較すれば、依然として大きなコストメリットがあります。
しかし、今のオフショア開発の真価は「コスト差」以上に「リソース確保」にあります。
日本国内では、DX需要の爆発によりITエンジニアの有効求人倍率は高止まりしており、優秀な人材(特にAIや最新技術に強い層)の採用は困難を極めます。
一方、ベトナムなどのオフショア拠点には、若く優秀なエンジニアが豊富に存在します。
「国内では何ヶ月かけても採用できないハイスキル人材を、必要なタイミングですぐにチームにアサインできる」。
この機動力こそが、ビジネススピードを加速させるための最大の投資対効果と言えるでしょう。
3.「品質」と「セキュリティ」は本当に大丈夫?

コストが安く、優秀な人が確保できても、情報漏洩が起きたり、納品物の品質が低ければ意味がありません。
多くの企業がオフショア開発に二の足を踏む最大の理由もここにあります。
しかし結論から言えば、「適切な管理体制を持つ企業を選べば、日本国内と同等、あるいはそれ以上のセキュリティと品質は担保可能」です。
その具体的な根拠を事例を交えて解説します。
3-1.セキュリティリスクへの具体的な対策
「海外だからセキュリティが緩い」というのは過去の話です。
特に日本企業との取引が多いオフショア開発会社では、日本の厳しい基準に合わせ、以下のような徹底した対策を行っているのが一般的です。
1.物理的な入室管理とデバイス制限
開発エリアへの入室は指紋認証や顔認証で厳重に管理。
執務室への私物スマートフォンやUSBメモリの持ち込みを禁止し、監視カメラによる常時モニタリングを実施。
2.ネットワークとデータの分離
開発端末からは特定のサーバー以外へのアクセスを遮断。
また、VDI(仮想デスクトップ)技術を使用し、データそのものは日本のサーバーから持ち出さず、画面転送のみで作業を行う仕組みを導入することで、万が一現地端末が盗難にあってもデータは流出しません。
3.契約による法的拘束力の担保
秘密保持契約書(NDA)の締結はもちろん、現地の法律だけでなく、日本法人を介した日本法準拠の契約を結ぶことで、法的拘束力を担保するケースが増えています。
このように、昨今の優良なオフショア企業は、ハード・ソフトの両面で「情報が漏れない仕組み」を構築しています。
3-2.ISO27001準拠・ベトナム2社との協業で実現した開発実例
「理屈はわかるけど、本当にうまくいくの?」そう思われる方のために、実際に高いセキュリティレベルが求められるプロジェクトを成功させた事例をご紹介します。
新日本印刷株式会社が、ベトナムのオフショア開発企業2社と協業し、BtoB受発注システム「WONDERCART」を開発・運用している事例です。
顧客の個人情報や機密データを大量に扱う受発注システムの開発には、ISO27001/ISMSレベルの堅牢なセキュリティ基準が求められます。
しかし、中小企業である同社にとって、自社単独でこの国際規格を取得・維持することは、コストや運用工数の面で非常に高いハードルがありました。
そこで同社がとった戦略は、「すでにISO27001認証を取得しているオフショア企業をパートナーに選ぶ」という選択でした。
こうして自社でゼロからセキュリティ体制を構築するのではなく、国際基準の認証を持つプロフェッショナルのリソースを活用することで、コストを抑えながら高レベルの安全性を確保することができました。
このプロジェクトが成功している最大の秘訣は、戦略的なパートナー選定に加え、その後の「協業体制」にもあります。
【ここがポイント】成功を生んだ「体制づくり」
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この事例は、「誰と、どのような体制で組むか」さえ間違わなければ、オフショア開発で高度なシステム開発を実現できることの証明と言えます。
詳しくは、以下の記事でより詳しく紹介しています。 |
4.【チェックリスト】成功するオフショア開発会社の選び方

オフショア開発の成功率は、パートナー選びで8割決まると言われます。
数ある開発会社の中から、自社に合った「失敗しないパートナー」を見極めるための基準を解説します。
4-1.見積り金額だけで決めてはいけない
最も避けたいのは、複数の会社から見積りを取り、「一番安いから」という理由だけで発注先を決めてしまうことです。
極端に安い見積りには、必ず裏があります。
- 経験の浅いジュニアエンジニアばかりがアサインされている
- テスト工程や品質管理(QA)の工数が省かれている
- 仕様変更への対応費用が含まれていない
結果として、バグが多発して修正コストが膨らんだり、納期が大幅に遅れたりして、「最終的には国内で開発するより高くついた」というケースが後を絶ちません。
目先の「人月単価」だけでなく、品質管理体制やコミュニケーションコストを含めたトータルのパフォーマンスで見極める必要があります。
4-2.発注前に確認すべき5つのチェックポイント
では、具体的にどこを見れば良いのでしょうか?
Webサイトや提案書を見る際、あるいは担当者と面談する際に必ず確認すべき「5つのチェックポイント」を用意しました。
①日本企業の商習慣への理解度 ②コミュニケーター(ブリッジSE)の質と日本語レベル ③セキュリティ認証(ISMS等)の取得有無 ④具体的な開発実績(特に同業種の事例) ⑤自社プロダクトを持っているか(技術力の証明として) |
5.オフショア開発で実現する「受発注DX」の成功モデル

最後に、オフショア開発を賢く活用して、企業のDX(特にBtoB受発注領域)を加速させるための「最適解」についてお話しします。
5-1.開発リソースの柔軟性がビジネスを加速させる
DXプロジェクトにおいて、最も大きなボトルネックは「人」です。
「新しい機能を実装したいのに、エンジニアが捕まらず半年待ち」という状況では、競合に勝つことはできません。
オフショア開発を活用する最大のメリットは、この「リソースの柔軟性(スケーラビリティ)」にあります。
- 立ち上げ期:精鋭メンバーでスモールスタート
- 拡大期:開発ボリュームに合わせて、ベトナム側のエンジニアを即座に増員
- 運用期:体制を縮小し、コストを最適化
このように、ビジネスのフェーズに合わせて柔軟にチーム編成を変えられる機動力こそが、変化の激しい現代市場で勝ち抜くための条件です。
5-2.受発注システム構築の最適解「WONDERCART」
とはいえ、「いきなり海外に開発チームを作るのは、やはりハードルが高い」と感じる企業も多いはずです。
そのような場合に推奨したいのが、「すでに成功しているオフショア開発体制で作られたプロダクトを活用する」という選択肢です。
その代表例が、第3章の事例でご紹介したBtoB受発注システム「WONDERCART(ワンダーカート)」です。
WONDERCARTは、業務用カタログ制作でBtoB受発注の商習慣に詳しい新日本印刷株式会社と、ベトナムの優秀なエンジニアチーム(日本語堪能なブリッジSEを含む)がタッグを組んで開発したパッケージシステムです。
- 開発コストの適正化:オフショア開発のメリットを活かし、高機能ながら導入しやすい価格帯を実現。
- 日本品質のUI/UX:日本語堪能なチームが設計しているため、日本の商習慣に完全フィット。
- 万全のセキュリティ:ISO27001準拠の堅牢な基盤で、機密情報も安心して扱える。
つまり、WONDERCARTを導入することは、「自社でリスクを冒してチームを作ることなく、オフショア開発のメリット(高品質・低コスト)だけを享受する」ことと同義です。
これが、2026年における受発注DXの最も賢い近道と言えるでしょう。
6.まとめ
本記事では、2026年版のオフショア開発のトレンドと、失敗しないためのポイントを解説しました。
【この記事のポイント】
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円安などの環境変化はありますが、ITリソース不足が加速する日本企業にとって、オフショア活用はもはや「選択肢の一つ」ではなく「必須の戦略」になりつつあります。
ぜひ、信頼できるパートナーと共に、貴社のビジネスを次のステージへ進めてください。
オフショア開発のメリットを活かしたBtoB受発注システム |
コストパフォーマンスと高品質を両立した、受発注DXの新しい選択肢。 |
#オフショア #開発



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