
FAX・電話・メール・エクセルで受発注業務を回していると、注文内容の転記ミスや確認漏れ、担当者への業務集中が起こりやすくなります。
特に中小企業では、受発注業務を少人数で対応しているケースも多く、担当者の経験や記憶に頼った運用になりがちです。
注文数や取引先が増えるほど、現場の負担は大きくなります。
一方で、受発注システムを導入しようとしても、「費用が高そう」「取引先が使ってくれるか不安」「自社には大げさではないか」と感じる企業も少なくありません。
中小企業が受発注システムを選ぶときは、高機能なシステムを選ぶことよりも、自社の業務規模や取引先の状況に合った仕組みを選ぶことが重要です。
この記事では、中小企業が受発注システムを選ぶ前に整理すべきこと、必要な機能、比較ポイント、費用を抑えて失敗しない導入の進め方を解説します。

目次
1. 中小企業が受発注システムを検討すべき理由
受発注システムは、大企業だけが導入するものではありません。
むしろ、限られた人数で受注処理、発注処理、在庫確認、請求対応まで行っている中小企業こそ、業務の標準化やミス削減の効果を感じやすい場合があります。
1-1. FAX・電話・メール注文は担当者の負担が大きい
FAXや電話、メールで注文を受けている場合、受注担当者は注文内容を確認し、基幹システムやエクセルへ再入力する必要があります。
この作業では、次のような負担が発生しやすくなります。
- FAXの文字が読み取りにくい
- 電話注文の聞き間違いが起こる
- メールの添付ファイルを見落とす
- 注文内容をエクセルや販売管理システムへ転記する
- 在庫や納期を確認して取引先へ連絡する
- 注文内容や対応履歴が担当者ごとに分散する
注文数が少ないうちは対応できても、取引先や商品点数が増えると、確認作業だけで多くの時間がかかります。
また、FAX注文を減らしたい場合は、自社側の効率化だけでなく、取引先にどう移行してもらうかも重要です。
| 取引先とのFAX廃止の進め方については、こちらの記事で詳しく解説しています。 取引先とのFAX廃止はどう進める?関係を壊さない4つの進め方 |
1-2. エクセル管理ではミスや属人化が起こりやすい
受発注業務をエクセルで管理している中小企業も多くあります。
エクセルは手軽に使える一方で、複数人で同時に更新しにくい、最新版がわからなくなる、担当者ごとに管理方法が変わるといった課題があります。
たとえば、以下のような状態が続くと、業務が属人化しやすくなります。
- 取引先ごとの価格条件を一部の担当者しか把握していない
- 注文状況を担当者のメールやメモで管理している
- 過去の注文履歴を探すのに時間がかかる
- 担当者が不在だと注文内容を確認できない
- 入力ミスや転記ミスに気づきにくい
受発注システムを導入すると、注文情報や取引先情報を一元管理しやすくなり、担当者ごとの判断に頼らず、誰でも同じ手順で処理できる状態をつくりやすくなります。
| 受発注管理の方法や、注文情報をミスなく回す仕組みづくりについては、こちらの記事も参考になります。 受発注管理の方法と課題|ミスなく回す仕組みづくりを解説 |
1-3. 人手不足の中で受発注業務を標準化する必要がある
中小企業では、受発注業務を特定の担当者が長年担っているケースも少なくありません。
その場合、担当者が休んだり退職したりすると、取引先ごとの注文ルールや価格条件、納期確認の流れがわからなくなるリスクがあります。
受発注システムの導入は、単に注文をWeb化するだけではありません。
注文受付、商品情報、価格条件、注文履歴、在庫確認などを整理し、業務を引き継ぎやすくするための仕組みづくりでもあります。
人手不足が続く中では、「担当者が頑張って回す業務」から「仕組みで安定して回る業務」へ変えていくことが重要です。
2. 受発注システムを選ぶ前に整理すべきこと

受発注システムを比較する前に、まずは自社の受発注業務を整理しましょう。
現在の業務が曖昧なままシステムを選ぶと、必要な機能がわからず、導入後に「思っていた使い方ができない」という問題が起こりやすくなります。
2-1. 現在の注文受付方法を洗い出す
まずは、現在どのような方法で注文を受けているのかを整理します。
確認したい項目は、以下のとおりです。
確認項目 | 見るべきポイント |
注文方法 | FAX、電話、メール、営業経由、Webフォームなど |
注文件数 | 1日・1週間・1か月あたりの注文数 |
注文の集中時間 | 午前中、月末、繁忙期など |
入力作業 | どのシステムや表へ転記しているか |
確認作業 | 在庫確認、価格確認、納期確認の頻度 |
ミスの内容 | 品番ミス、数量ミス、発注漏れ、重複注文など |
注文受付方法を整理すると、どこをシステム化すべきかが見えやすくなります。
| 受発注業務全体の流れを整理したい場合は、見積・発注・受注・出荷・請求・入金までの流れを確認しておくと、自社の課題を把握しやすくなります。 受発注業務の流れを図解|発注から入金までの全プロセスと効率化のコツ |
2-2. 取引先ごとの注文ルールを整理する
BtoBの受発注では、取引先ごとに注文ルールが異なることがあります。
たとえば、取引先ごとに以下のような違いが出ます。
- 表示する商品が異なる
- 価格や掛け率が異なる
- 最低注文数が異なる
- 納品先が複数ある
- 注文締め時間が決まっている
- 指定の帳票や伝票が必要
- 営業担当者による確認が必要
このような条件を整理しないままシステムを導入すると、結局は個別対応が残り、効率化につながりにくくなります。
中小企業では、最初からすべての取引先ルールを完璧に整理する必要はありません。
まずは注文数が多い取引先や、確認作業が多い取引先から整理すると進めやすくなります。
2-3. 必要な機能と不要な機能を分ける
受発注システムを選ぶ前に、必要な機能をすべて並べるだけでなく、優先順位を決めておくことが大切です。
中小企業では、最初からすべての機能を使いこなす必要はありません。
まずは「今すぐ必要な機能」と「将来的に必要になる機能」を分けましょう。
分類 | 例 |
今すぐ必要な機能 | 注文受付、注文履歴、商品情報、取引先別価格 |
あると便利な機能 | 見積作成、在庫表示、帳票出力 |
将来的に検討する機能 | 基幹システム連携、外部システム連携、承認フロー |
必要以上に高機能なシステムを選ぶと、費用が高くなるだけでなく、運用が複雑になりやすくなります。
最初は「受注入力を減らす」「注文履歴を見える化する」「取引先がWebで注文できるようにする」など、目的を絞って検討しましょう。
2-4. 初期費用だけでなく運用負担も確認する
システム選びでは、初期費用や月額費用に注目しがちです。
しかし、実際には導入後の運用負担も重要です。
たとえば、以下のような作業が発生します。
- 商品情報の登録や更新
- 取引先ごとの価格設定
- ログイン情報の発行
- 取引先への操作案内
- 社内担当者への教育
- 問い合わせ対応
- 運用ルールの見直し
費用が安くても、設定や運用をすべて自社で行う必要がある場合、担当者の負担が大きくなることがあります。
中小企業では、導入時の支援や運用サポートの有無も、システム選定時の重要な判断材料になります。
3. 中小企業向け受発注システムに必要な主な機能
受発注システムを選ぶときは、機能数の多さだけで判断しないことが大切です。
ここでは、中小企業が受発注業務を効率化するうえで確認しておきたい主な機能を紹介します。
3-1. 注文受付・注文履歴管理
まず必要になるのが、Web上で注文を受け付け、注文履歴を管理できる機能です。
取引先がWeb画面から注文できるようになると、FAXや電話で受けた注文を社内で入力し直す作業を減らせます。
また、過去の注文履歴を確認できれば、取引先からの「前回と同じ内容で注文したい」「過去に注文した商品を確認したい」といった問い合わせにも対応しやすくなります。
3-2. 商品情報・価格情報の管理
BtoB取引では、商品名、品番、単価、仕様、画像、販売単位などの情報を正しく管理する必要があります。
商品情報が整理されていないと、取引先は注文前に電話やメールで確認することになります。
これでは、Web化しても問い合わせ削減につながりにくくなります。
受発注システムを選ぶ際は、商品情報の更新しやすさや、価格改定時にまとめて変更できるかが重要なポイントです。
3-3. 取引先別の表示・価格設定
BtoBでは、取引先ごとに表示する商品や価格が異なるケースがあります。
そのため、取引先別に価格や商品表示を設定できるかは重要な確認ポイントです。
たとえば、以下のような運用が必要になる場合があります。
- 取引先ごとに掛け率を変える
- 特定の取引先だけに商品を表示する
- 取引先ごとに納品先を設定する
- 販売条件や最小注文数を分ける
この設定ができないと、Web注文に移行しても個別対応が残りやすくなります。
3-4. 在庫確認・納期確認
受発注業務では、注文受付後に在庫や納期を確認する作業が発生します。
取引先が注文前に在庫状況や納期目安を確認できるようになれば、電話やメールでの問い合わせを減らしやすくなります。
ただし、在庫情報をリアルタイムで表示するには、基幹システムや在庫管理システムとの連携が必要になる場合があります。
中小企業では、最初から完全なリアルタイム連携を目指すのではなく、「在庫あり・要確認」などの簡易表示から始める方法もあります。
3-5. 帳票出力・基幹システム連携
見積書、注文書、納品書などの帳票を出力できる機能も確認しておきたいポイントです。
また、すでに販売管理システムや基幹システムを利用している場合は、受発注システムと連携できるかも選定時のポイントになります。
ただし、連携範囲を広げすぎると、導入費用や開発期間が大きくなることがあります。
まずは手入力を減らしたい業務を優先し、必要に応じて段階的に連携範囲を広げるとよいでしょう。
4. 中小企業が受発注システムを選ぶときの比較ポイント

受発注システムを比較するときは、機能表だけでなく、自社と取引先の両方が使いやすいかという視点が欠かせません。
特に中小企業では、導入後に現場で定着するかどうかが重要です。
4-1. 取引先が使いやすい画面か
受発注システムは、自社だけでなく取引先にも使ってもらう仕組みです。
そのため、取引先にとって操作しやすい画面かどうかを確認する必要があります。
確認したいポイントは、以下のとおりです。
- 商品を探しやすいか
- 注文までの操作がわかりやすいか
- スマートフォンやタブレットでも使いやすいか
- 過去の注文履歴から再注文できるか
- ログインやパスワード管理が複雑すぎないか
- 操作マニュアルやサポートが用意されているか
自社にとって便利でも、取引先が使いにくいと定着しません。
導入前に、実際の取引先に近い担当者がテスト画面を確認し、操作のしやすさを確認しておくと安心です。
4-2. 自社の受発注フローに合っているか
受発注システムは、システムに業務を合わせる部分と、自社の業務に合わせて設定する部分のバランスが大切です。
たとえば、以下のような業務フローがある場合は、システム側で対応できるかを見ておく必要があります。
- 営業担当者の確認後に受注を確定する
- 取引先ごとに価格条件が異なる
- 注文後に納期調整が必要
- 見積依頼から注文につながる
- 複数拠点や複数部署で注文を受け付ける
- 基幹システムへ注文データを取り込む
現在の業務フローを整理してから比較すると、自社に合うシステムを判断しやすくなります。
4-3. スモールスタートできるか
中小企業では、最初から全取引先・全商品を対象にするよりも、小さく始められるシステムの方が導入しやすくなります。
比較時には、一部の取引先や商品カテゴリから開始できるか、FAXとWeb注文を併用できるか、運用しながら対象範囲を広げられるかを確認しましょう。
スモールスタートできるシステムであれば、導入時の負担を抑えながら、現場に合う運用へ調整しやすくなります。
4-4. 費用対効果が見合うか
受発注システムの費用は、初期費用、月額費用、カスタマイズ費用、連携費用などで構成されることがあります。
費用だけで判断せず、削減できる作業時間やミスの減少効果まで含めて比較することが大切です。
たとえば、以下のような観点で考えると費用対効果を判断しやすくなります。
確認項目 | 見るべきポイント |
受注入力時間 | 手入力にかかる時間をどれだけ減らせるか |
確認作業 | 在庫・納期・価格確認の問い合わせを減らせるか |
ミス削減 | 品番ミス、数量ミス、転記ミスを減らせるか |
取引先対応 | 注文履歴や商品情報を取引先が確認しやすくなるか |
将来性 | 取引先数や商品点数が増えても対応できるか |
費用を抑えたい場合でも、必要な機能が足りないシステムを選ぶと、導入後に追加費用や手作業が増える可能性があります。
4-5. 導入後のサポート体制があるか
中小企業では、システム専任者を置けないこともあります。
そのため、導入時や運用開始後のサポート体制は重要です。
確認したいポイントは、以下のとおりです。
- 初期設定を支援してもらえるか
- 商品登録や取引先登録の相談ができるか
- 取引先向けの案内方法を相談できるか
- 操作マニュアルがあるか
- 運用開始後の問い合わせ窓口があるか
- 機能追加や運用変更に対応できるか
導入後に「誰に相談すればよいかわからない」状態になると、現場に定着しにくくなります。
| 受発注システムの種類ごとの違いや、パッケージ型・カスタマイズ開発・スクラッチ開発の比較については、こちらの記事で詳しく解説しています。 受発注システムの種類を比較|パッケージ型・カスタマイズ・スクラッチの違い |
5. 費用を抑えて失敗しないための導入ポイント

受発注システムは、選び方だけでなく導入の進め方も重要です。
特に中小企業では、費用を抑えながら現場に定着させるために、段階的に導入することが大切です。
5-1. 最初から全業務をシステム化しようとしない
受発注業務には、注文受付、在庫確認、見積作成、納期回答、帳票発行、請求処理など、多くの工程があります。
最初からすべてをシステム化しようとすると、要件整理に時間がかかり、費用も膨らみやすくなります。
まずは、負担が大きい業務から優先してシステム化しましょう。
たとえば、以下のような始め方です。
- FAX注文の入力作業を減らす
- 注文履歴をWeb上で確認できるようにする
- 定番商品の再注文を簡単にする
- 取引先ごとの価格表示を整える
- 問い合わせが多い商品情報をWebで確認できるようにする
小さく始めることで、導入費用を抑えながら効果を確認できます。
5-2. 注文件数が多い取引先から始める
受発注システムを導入するなら、まずは効果が出やすい取引先から始めるのがおすすめです。
注文件数が多い取引先や、毎回確認作業が発生している取引先から始めると、入力時間や問い合わせ対応の削減効果を感じやすくなります。
また、最初からすべての取引先に案内するのではなく、一部の取引先で試験運用を行い、操作上の不明点や問い合わせ内容を確認するとよいでしょう。
その結果をもとに、マニュアルやFAQを改善してから対象を広げると、導入時の混乱を抑えられます。
5-3. 標準機能で対応できる範囲を優先する
費用を抑えるには、カスタマイズを最小限にすることも重要です。
自社独自の運用に合わせて細かくカスタマイズすると、初期費用や開発期間が増えやすくなります。
そのため、まずは標準機能で対応できる範囲を整理することが大切です。
たとえば、以下のような項目が標準機能で対応できる範囲に含まれていると、追加費用を抑えやすくなります。
- 商品登録
- 取引先別価格
- 注文履歴
- 見積書作成
- 帳票出力
- 注文データの出力
- 管理者権限の設定
自社の運用を一部見直すことで、標準機能の範囲で対応できる場合もあります。
「今のやり方をそのまま再現する」よりも、「効率化しやすい形に業務を整える」視点で検討しましょう。
5-4. 取引先が使ってくれるか事前に確認する
受発注システムは、取引先が使ってくれなければ効果が出ません。
導入前に、主要な取引先へ注文方法の変更について相談しておくと安心です。
確認したい内容は、以下のとおりです。
- Web注文に対応できるか
- 誰が発注画面を使うか
- 社内承認フローに影響があるか
- 従来の注文書フォーマットが必要か
- スマートフォンやタブレットで使う可能性があるか
- 移行期間がどのくらい必要か
取引先にとって使いやすい仕組みでなければ、FAXや電話注文が残ってしまいます。
自社都合だけで進めず、取引先の負担を確認しながら導入することが大切です。
5-5. 導入後の運用担当を決めておく
受発注システムは、導入して終わりではありません。
商品情報の更新、価格改定、取引先の追加、問い合わせ対応など、運用開始後にも管理が必要です。
そのため、導入前に社内の運用担当を決めておきましょう。
たとえば、以下のような役割分担を整理します。
担当領域 | 主な役割 |
受注担当 | 注文確認、問い合わせ対応 |
営業担当 | 取引先への案内、利用促進 |
商品管理担当 | 商品情報、価格情報の更新 |
管理者 | アカウント管理、運用ルールの見直し |
システム担当 | データ連携、設定変更、障害時対応 |
担当者や更新ルールが曖昧なままだと、商品情報が古くなったり、取引先からの問い合わせ対応が属人化したりします。
導入前に運用体制まで決めておくことで、システムを継続的に活用しやすくなります。
| 受発注システム導入で起こりやすい失敗例や、後悔しないための対策については、こちらの記事で詳しく解説しています。 受発注システム導入の失敗例7つ|後悔しないための対策と選び方 |
6. まとめ
中小企業が受発注システムを選ぶときは、機能の多さや価格だけで判断しないことが大切です。
FAX・電話・メール・エクセルでの受発注に限界を感じている場合でも、いきなり大規模なシステムを導入する必要はありません。
まずは、現在の注文方法、取引先ごとのルール、必要な機能、運用負担を整理しましょう。
そのうえで、取引先が使いやすく、自社の受発注フローに合ったシステムを選ぶことが重要です。
中小企業が受発注システム選びで確認すべきポイントは、以下のとおりです。
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費用を抑えて導入するには、最初からすべての業務を置き換えるのではなく、注文件数が多い取引先や定番商品の受注から段階的に始めるのがおすすめです。
FAX・電話・メール中心の受発注業務を段階的にWeb化したい場合は、取引先が商品情報を確認しながら注文できる仕組みを整えることが重要です。
BtoB受発注システム「WONDERCART」では、注文受付、見積書作成、取引先別の価格表示などをWeb上で行えるため、中小企業でも無理なく受発注業務のWeb化を進めやすくなります。
受発注システムの導入を検討している方は、自社の取引先数や注文方法に合う進め方から整理してみましょう。
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