
原材料費・物流費・人件費の上昇により、企業の価格改定は以前よりも頻繁になっています。
中小企業庁の「2025年版 中小企業白書」でも、原材料費や人件費などのコスト上昇に伴い、価格転嫁が進んでいる一方で、依然として十分ではない状況が示されています。
参考:中小企業庁「2025年版 中小企業白書」
こうした環境では、カタログ更新の遅れがそのまま営業・受注現場の混乱につながります。
しかし実際には、紙カタログやPDF、エクセルの商品一覧などが別々に管理されており、「どれが最新情報かわからない」「価格改定にカタログ更新が間に合わない」といった問題が起こりがちです。
このような問題を防ぐには、カタログ更新を外注任せにせず、社内で素早く正確に更新できる仕組みを整えることが重要です。
本記事では、カタログ更新を内製化するメリット、進め方、運用フロー、ツール選定のポイントを解説します。
目次
1. カタログ更新を内製化すべき理由

カタログ更新の内製化は、制作コストを下げるだけの取り組みではありません。
価格改定や商品変更に素早く対応し、営業・受注・取引先対応の精度を高めるための業務改善です。
1-1. 価格改定へ素早く対応できる
原材料費や物流費の変動により、価格改定の頻度は高まっています。
カタログ更新を外注している場合、修正依頼、見積、制作、確認、再修正、納品という工程が発生します。
小さな価格変更であっても、反映までに数日から数週間かかることがあります。
一方、運用を内製化していれば、社内で商品情報を修正し、必要なカタログや受発注画面へすぐに反映できます。
価格改定に間に合う体制をつくることで、旧価格での受注、見積ミス、取引先への説明負担を減らせます。
1-2. 商品情報の誤りを減らせる
商品名、品番、価格、入数、単位、仕様、画像などが複数のファイルに分散していると、更新漏れや転記ミスが起こりやすくなります。
たとえば、エクセルの商品一覧は更新されているのに、PDFカタログは旧価格のままという状態です。
このようなズレは、営業現場や受注担当者の確認負担を増やします。
カタログ更新を内製化する際は、商品情報を一元管理することが重要です。
正しい商品マスタを起点に更新できれば、カタログ、営業資料、受発注システムで情報の整合性を保ちやすくなります。
1-3. 外注コストと確認工数を削減できる
外注制作では、小さな修正でも費用や確認の手間が発生します。
更新頻度が高いほど、外注費だけでなく、依頼内容の整理や修正確認にかかる社内工数も増えていきます。
内製化によって日常的な修正を社内で対応できるようにすれば、コストと確認負担を抑えやすくなります。
軽微な修正は内製化し、大幅なデザイン変更や冊子制作のみ外注するなど、役割を分けた運用が可能になります。
1-4. 営業現場の声を反映しやすくなる
カタログは、営業担当者が提案時に使う重要な資料です。
内製化によって更新スピードが上がれば、よく売れる商品を目立たせたり、問い合わせが多い情報を追記したりすることも、素早く対応できます。
営業現場の声を取り入れやすくなることで、カタログをより使いやすい営業ツールへ改善でき、受注率の向上にもつなげられます。
2. カタログ更新が内製化できない原因

カタログ更新を内製化するには、商品情報の管理方法や更新ルール、承認フローを整理する必要があります。
これらが整っていない状態では、社内で更新しようとしても担当者の負担が増え、結果として内製化が進みにくくなります。
2-1. 商品情報がエクセル・紙・PDFに分散している
内製化が進まない最大の原因は、商品情報の分散です。
まずは、商品情報の管理場所を整理する必要があります。
商品マスタはエクセル、価格表は別ファイル、画像は共有フォルダ、紙カタログは制作会社が管理している状態では、更新前の確認だけで時間がかかります。
2-2. 更新作業が属人化している
更新作業が特定の担当者に依存していることも、内製化を妨げる原因です。
誰が担当しても同じ手順で更新できる状態をつくる必要があります。
「この担当者しか更新方法がわからない」という状態では、担当者が不在のときに更新が止まり、表記や判断にもばらつきが出やすくなります。
2-3. 承認フローが複雑で時間がかかる
承認フローが複雑な場合、社内で更新できる体制があっても、確認待ちによって更新が止まりやすくなります。
そのため、変更内容に応じて承認レベルを分けることが重要です。
誤字修正と価格改定を同じ承認フローで扱っていると、軽微な修正でも確認に時間がかかり、更新スピードは上がりません。
2-4. 紙カタログ・PDF・Web・受発注システムを個別に更新している
販売チャネルごとに商品情報を個別更新している場合も、内製化が難しくなります。
カタログ単体ではなく、商品情報が使われる全体の流れを見直す必要があります。
紙カタログ、PDF、Webサイト、受発注システムをそれぞれ手作業で更新していると、同じ作業を何度も繰り返すことになり、更新漏れも発生しやすくなります。
3. カタログ更新を内製化する5つのステップ

カタログ更新の内製化といっても、既存の運用を一度にすべて変える必要はありません。
まずは商品情報の整理から始め、更新ルール、承認フロー、デジタル化、システム連携へと段階的に進めることが重要です。
3-1. 商品情報を一元管理する
最初に行うべきことは、商品情報の一元管理です。
商品名、品番、カテゴリ、価格、入数、単位、仕様、画像、販売ステータスなどを、できるだけ一つの管理元に集約します。
このとき重要なのは、「どの情報が正しいのか」を明確にすることです。
商品マスタを基準にできれば、カタログや受発注システムも同じ情報をもとに更新できます。
複数のファイルを見比べる必要がなくなり、更新漏れや情報のズレを防ぎやすくなります。
3-2. 更新ルールを標準化する
次に、更新ルールを標準化します。
たとえば、以下のような項目です。
項目 | ルール例 |
更新担当 | 商品部が商品情報を更新、営業部が掲載優先度を確認 |
更新頻度 | 月次更新+価格改定時は随時更新 |
表記ルール | 単位、税込・税抜、型番表記を統一 |
画像管理 | 商品画像のファイル名と保存場所を統一 |
公開ルール | 廃番・販売停止商品の扱いを明確化 |
ルールが曖昧なままだと、更新のたびに確認が発生します。
標準化によって、担当者が迷わず作業できる状態をつくりましょう。
3-3. 承認フローを整理する
カタログ更新では、変更内容によって確認すべき範囲を分けることが大切です。
価格改定や仕様変更では慎重な承認が必要ですが、誤字修正や画像差し替えは簡易フローで対応できる場合もあります。
変更内容 | 承認レベルの例 |
誤字修正 | 担当者確認のみ |
商品画像の差し替え | 商品部確認 |
価格改定 | 商品部・営業部・管理部確認 |
新商品の追加 | 商品部・営業部確認 |
販売停止・廃番 | 商品部・受注担当確認 |
承認フローを整理することで、正確性を担保しながら更新スピードを高められます。
3-4. デジタルカタログへ移行する
紙カタログだけで運用している場合、更新のたびに印刷や配布の手間がかかります。
デジタルカタログやWebカタログなら、最新版をすぐに公開でき、営業担当者や取引先も、常に最新情報を確認しやすくなります。
ただし、紙カタログを完全になくす必要はありません。
展示会、商談、既存顧客向け資料など、紙が有効な場面もあります。
日常的な更新はデジタルで行い、紙カタログは用途を絞って活用する形が現実的です。
3-5. 受発注システムと連携する
カタログ更新の内製化をさらに進めるなら、受発注システムとの連携も検討しましょう。
商品マスタと受発注システムが連携していれば、カタログ上の商品情報と注文画面の商品情報を一致させやすくなります。
これにより、取引先が古い情報を見て注文してしまうリスクを減らせます。
また、受注担当者が商品情報を確認する時間も削減できます。
カタログ管理と受発注業務を別々に考えるのではなく、商品情報を軸に一体で整えることが重要です。
4. カタログ更新を内製化する際の運用フロー例

内製化を成功させるには、実際の運用フローを明確にしておくことが大切です。
以下は、価格改定を想定した基本的なフローです。
ステップ | 内容 | 担当部門 |
1 | 価格改定対象商品の確認 | 商品部・管理部 |
2 | 商品マスタの更新 | 商品部 |
3 | 変更内容の承認 | 営業部・管理部 |
4 | カタログ・PDF・Webへの反映 | 販促・営業企画 |
5 | 受発注システムへの反映 | システム担当 |
6 | 営業担当・取引先への案内 | 営業部 |
7 | 更新後の確認 | 商品部・受注担当 |
このように流れを決めておくことで、「誰が、いつ、何を確認するのか」が明確になります。
特に重要なのは、更新後の確認です。
商品マスタを更新しただけでは、カタログや受発注システムに正しく反映されているとは限りません。
価格、品番、商品名、販売ステータス、画像などが、各媒体で同じ内容になっているかを確認する必要があります。
また、取引先が実際に見る画面やPDFでも確認しておくことが重要です。
管理画面上では正しく更新されていても、公開画面や注文画面で旧情報が残っているケースがあるためです。
更新後の確認項目をチェックリスト化しておけば、担当者による確認漏れを防ぎやすくなります。
5. カタログ更新を効率化するツール選定ポイント

カタログ更新を内製化するには、商品情報をどのように管理し、各媒体へ反映するかを決める必要があります。
商品点数が少なく、更新頻度も低い場合は、エクセルで商品名・品番・価格・仕様などを一覧管理し、それをもとにPDFや紙カタログを更新する方法でも対応できます。
ただし、商品点数が多い、価格改定が頻繁、複数部署で更新する、受発注システムと連携したい場合は、エクセル管理だけでは限界があります。
その場合は、商品マスタ管理やBtoB受発注システムなど、専用ツールの導入を検討しましょう。
5-1. 商品マスタを管理できるか
ツール選定において最も重要なのは、商品情報を一元管理できることです。
商品名、品番、価格、画像、カテゴリ、販売ステータスなどをまとめて管理できるツールを選びましょう。
商品情報が整っていないままカタログだけをデジタル化しても、更新作業は効率化しません。
5-2. 権限管理ができるか
複数部署で運用する場合は、権限管理も重要です。
誰でも自由に編集できる状態では、誤更新のリスクがあります。
商品情報を編集できる人、確認だけできる人、承認できる人を分けることで、内製化しながら情報の正確性を保てます。
5-3. CSV更新や一括登録に対応しているか
商品点数が多い場合、1件ずつ手入力する運用は現実的ではありません。
CSVで一括更新できるツールであれば、価格改定や商品追加を効率的に進められます。
特にBtoBでは、数百点から数万点の商品を扱う企業もあるため、一括更新機能があるかどうかは重要な選定ポイントです。
5-4. 基幹システムやECと連携できるか
商品情報は、カタログだけでなく、基幹システム、在庫管理、EC、受発注システムなどにも関係します。
ツール選定時には、既存システムと連携できるかを確認しましょう。
連携できない場合、結局は手作業による二重入力が必要になり、内製化の効果が限定的になってしまいます。
5-5. BtoB受発注に対応しているか
BtoB企業では、取引先ごとに価格、掛率、表示商品、発注単位が異なることがあります。
そのため、一般的なカタログツールだけでは対応しきれない場合があります。
BtoB受発注システムと連携できるツールであれば、取引先ごとの条件に合わせた商品表示や価格管理がしやすくなります。
6. カタログ更新の内製化に向いている企業
カタログ更新の内製化は、特に次のような企業に向いています。
企業の状況 | 内製化で期待できる効果 |
価格改定が多い | 旧価格での受注や見積ミスを防げる |
商品点数が多い | 商品情報の確認・更新工数を削減できる |
新商品追加が頻繁 | 営業資料やカタログへの反映が早くなる |
取引先ごとに条件が異なる | 表示商品や価格管理を整理しやすい |
紙・PDF・エクセルが混在している | 最新情報の所在を明確にできる |
特に、BtoB企業では商品情報が受発注業務と直結します。
カタログ更新の遅れは、単なる販促資料の問題ではなく、受注ミスや問い合わせ増加につながる業務課題です。
7. カタログ更新の内製化でよくある質問
7-1. 少人数でもカタログ更新を内製化できますか?
はい、可能です。
むしろ少人数の企業ほど、更新ルールを整えることで内製化の効果が出やすくなります。
最初から大きなシステムを導入するのではなく、商品情報の整理、更新担当の明確化、承認フローの簡素化から始めるのがおすすめです。
7-2. エクセル管理のままでも改善できますか?
商品点数が少なく、更新頻度も低い場合は、エクセル管理でも改善できます。
ただし、複数人で編集する、商品数が多い、価格改定が頻繁、受発注システムと連携したい場合は、エクセルだけでは限界があります。
その場合は、商品マスタ管理やBtoB受発注システムの導入を検討しましょう。
7-3. 紙カタログは残しても問題ありませんか?
問題ありません。
紙カタログは、展示会や商談などで有効な場面があります。
ただし、価格や仕様が頻繁に変わる情報は、デジタルカタログや受発注システムで管理するほうが適しています。
紙とデジタルの役割を分けて活用することが大切です。
7-4. カタログ更新の頻度はどれくらいが適切ですか?
理想は、価格改定や商品変更が発生したタイミングで、すぐに反映できる状態です。
月次や四半期ごとの定期更新だけでは、情報が古くなる可能性があります。
定期更新と随時更新を組み合わせる運用がおすすめです。
7-5. カタログ更新と受発注システムは連携すべきですか?
商品情報を受発注に使っている場合は、連携するのがおすすめです。
カタログと注文画面の情報が一致していれば、取引先の確認負担や受注ミスを減らせます。
特にBtoBでは、価格、掛率、発注単位、取引先別の商品表示が重要になるため、受発注システムとの連携効果は大きくなります。
8. まとめ|カタログ更新の内製化は「更新しやすい仕組み」づくりから始める
カタログ更新の内製化は、単に社内で作業を行うことではありません。
重要なのは、誰でも、必要なタイミングで、正確に商品情報を更新できる仕組みをつくることです。
商品情報が分散したままでは、内製化しても担当者の負担が増えるだけです。
まずは商品マスタを整理し、更新ルールと承認フローを整え、デジタルカタログや受発注システムとの連携を検討しましょう。
カタログ更新がスムーズになれば、価格改定への対応、商品情報の正確性、営業活動の効率化、取引先対応の改善につながります。
| カタログ更新の内製化を、受発注業務まで含めて改善しませんか? |
WONDERCARTは、オンラインカタログと受発注管理を一元化できるBtoB向けプラットフォームです。 価格改定のたびに更新が間に合わない、商品情報が紙・PDF・エクセルに分散している、受発注画面まで最新情報を反映したい。 |
#カタログ #更新 #内製化



コメント