
製造業の在庫管理で、「部品や原材料の在庫数が合わない」「必要な部材が足りず生産が止まる」「過剰在庫や滞留在庫を減らせない」といった課題を感じていませんか。
製造業では、部品・原材料、仕掛品、完成品など、管理する在庫の種類が多くなります。
さらに、生産計画の変更や調達リードタイムの影響を受けやすいため、在庫差異や欠品、過剰在庫が発生しやすい点も特徴です。
在庫管理を改善するには、まず実在庫を正しく把握し、そのうえで生産計画や発注計画と連携しながら、過不足を防ぐ仕組みを整えることが大切です。
この記事では、製造業の在庫管理方法を、以下の3段階に分けて解説します。
- 第一段階:在庫差異を減らし、実在庫を正しく把握する
- 第二段階:生産計画・発注計画と連携して過不足を防ぐ
- 第三段階:過剰在庫・滞留在庫を減らす
製造業の在庫管理改善は、以下の3段階で進めると整理しやすくなります。
まずは実在庫の精度を高め、そのうえで生産計画や発注計画と連携し、最後に過剰在庫や滞留在庫を減らしていく流れです。
また、製造業で管理する在庫の種類や、在庫管理が難しくなりやすい理由、在庫管理に使えるシステム・ツールの選択肢も紹介します。
在庫差異や欠品、過剰在庫に課題を感じている方は、自社で見直すべきポイントを整理する参考にしてください。
在庫管理の基本的な考え方から確認したい方は、以下の記事も参考にしてください。 |
目次
1. 製造業の在庫管理課題を早見表で確認

製造業の在庫管理では、部品・原材料、仕掛品、完成品など、複数の在庫を同時に管理する必要があります。
そのため、在庫差異、欠品、過剰在庫、仕掛品の滞留など、課題も複雑になりやすいです。
まずは、自社で起きている課題を整理し、どこから改善すべきかを確認しましょう。
課題 | よくある原因 | まず取り組む改善策 |
在庫差異が多い | 入出庫記録の漏れ、棚卸しミス、保管場所の不明確さ | 入出庫ルールの見直し、棚卸し精度の向上、ロケーション管理 |
欠品で生産が止まる | 発注遅れ、必要部品の確認漏れ、調達リードタイムの見誤り | 安全在庫・発注点の設定、生産予定と必要部品の照合 |
過剰在庫が多い | 多めの発注、需要変動への対応遅れ、滞留在庫の放置 | ABC分析、発注量の見直し、長期間動いていない在庫の洗い出し |
仕掛品が滞留する | 工程ごとの進捗が見えにくい、前後工程の連携不足 | 工程別の在庫・進捗管理、仕掛品の保管場所の明確化 |
部品を探す時間が長い | 保管場所が担当者の記憶に頼っている、ラベルや棚番号が統一されていない | ロケーション管理、ラベル管理、バーコード・QRコードの活用 |
棚卸しに時間がかかる | 手書きや目視確認が多い、数えにくい部品が多い | 棚卸しルールの統一、バーコード・QRコード・RFIDの活用 |
受発注と在庫更新がずれる | 注文、発注、入出庫、在庫更新が別々に管理されている | 受発注と在庫情報の一元管理 |
製造業の在庫管理を改善するには、課題ごとに原因と対策を整理することが重要です。
欠品が多い場合は発注点や安全在庫の見直し、棚卸しのたびに在庫数が合わない場合は入出庫記録や保管場所の管理から確認するとよいでしょう。
次章では、製造業で管理する在庫の種類を整理します。
2. 製造業で管理する在庫の種類

製造業の在庫管理では、完成品だけでなく、部品・原材料や仕掛品も管理対象になります。
在庫の種類によって、管理するタイミングや注意点が異なるため、まずは「何を管理する必要があるのか」を整理しておくことが大切です。
製造業では、在庫が以下のような流れで変化します。
部品・原材料 ↓ 製造工程 ↓ 仕掛品 ↓ 完成品 ↓ 出荷 |
部品・原材料は生産前の在庫、仕掛品は製造途中の在庫、完成品は出荷前の在庫です。
どの段階の在庫を管理しているのかを整理すると、在庫差異や滞留がどこで起きているかを確認しやすくなります。
それぞれの在庫の内容と、管理で注意したい点を整理すると以下のとおりです。
在庫の種類 | 内容 | 管理で注意したい点 |
部品・原材料 | 製品を作るために使う材料や部品 | 欠品すると生産停止につながるため、発注点や調達リードタイムを確認する |
仕掛品 | 製造途中の製品や工程間にある在庫 | どの工程に、どれだけ滞留しているかを把握する |
完成品 | 製造が完了し、出荷できる状態の商品 | 出荷予定や販売計画と照合し、過剰在庫や欠品を防ぐ |
2-1. 部品・原材料
部品・原材料は、製品を作るために必要な在庫です。
必要な部品や原材料が不足すると、生産ラインが止まったり、納期遅れにつながったりする可能性があります。
特に、調達リードタイムが長い部品や、代替品を用意しにくい材料は、欠品しないように管理することが重要です。
部品・原材料の在庫管理では、現在の在庫数だけでなく、発注点、安全在庫、入荷予定、使用予定をあわせて確認するとよいでしょう。
2-2. 仕掛品(しかかりひん)
仕掛品は、製造途中の製品や工程間にある在庫です。
仕掛品が増えすぎると、どの工程で作業が滞っているのか分かりにくくなります。
また、工程間に在庫がたまりすぎると、保管スペースを圧迫したり、作業順序の混乱につながったりすることもあります。
仕掛品を管理するには、工程ごとの数量や進捗状況を確認できる状態にしておくことが大切です。
どの工程に、どれだけの仕掛品があるのかを把握できると、滞留や生産遅れに気づきやすくなります。
2-3. 完成品
完成品は、製造が完了し、出荷できる状態の商品です。
完成品の在庫が不足すると、出荷遅れや販売機会の損失につながります。
一方で、作りすぎると過剰在庫となり、保管コストや滞留在庫のリスクが高まります。
完成品の在庫管理では、出荷予定、販売計画、受注状況を確認しながら、必要な数量を保つことが重要です。
製造数と出荷数のバランスを見ながら、欠品と過剰在庫の両方を防ぐ必要があります。
3. 製造業の在庫管理が難しい理由

製造業の在庫管理は、単に「今ある在庫数」を数えるだけではうまくいきません。
部品・原材料、仕掛品、完成品がそれぞれ別のタイミングで動き、生産計画や発注計画とも関係するため、在庫数がずれたり、欠品や過剰在庫が発生したりしやすくなります。
ここでは、製造業の在庫管理が難しくなりやすい主な理由を整理します。
3-1. 多品種・少量生産で品目数が多い
製造業では、製品ごとに必要な部品や原材料が異なります。
多品種・少量生産の場合、管理する品目数が増えやすく、在庫表や棚卸しの確認項目も多くなります。
似た部品や型番違いの部品が多い場合は、取り違えや入力ミスも起こりやすくなります。
品目数が多いほど、商品番号や型番、保管場所を整理し、誰でも同じ基準で確認できる状態を作ることが重要です。
3-2. 生産計画の変更で在庫がずれやすい
製造業では、受注状況や納期変更、材料の入荷遅れなどによって、生産計画が変わることがあります。
生産予定が変わると、必要な部品や原材料の数量、使用タイミングも変わります。
その変更が在庫表や発注計画に反映されていないと、必要な部品が足りなくなったり、反対に使わない在庫が残ったりします。
在庫管理では、現場の在庫数だけでなく、生産予定や入荷予定の変更もあわせて確認することが大切です。
3-3. 品目ごとに保管条件が異なる
製造業で扱う在庫には、サイズ、重量、材質、使用期限、温度管理の有無など、さまざまな違いがあります。
たとえば、小さな部品は紛失しやすく、大型部材は保管スペースを圧迫しやすくなります。
使用期限がある材料や、品質管理が必要な部品は、先入れ先出しや保管環境にも注意が必要です。
品目ごとに保管条件が異なると、同じ方法では管理しきれません。
保管場所やラベル、管理単位を決め、在庫の特性に合わせて確認できるようにしておく必要があります。
3-4. 調達リードタイムが長く欠品・過剰在庫につながりやすい
部品や原材料の調達に時間がかかる場合、発注の遅れがそのまま生産遅れにつながることがあります。
一方で、欠品を避けるために多めに発注しすぎると、過剰在庫や滞留在庫が増えやすくなります。
特に、海外調達品や特注部品、代替が難しい部品は、発注タイミングの判断が重要です。
調達リードタイムを踏まえて、安全在庫や発注点を設定しておくと、欠品と過剰在庫の両方を防ぎやすくなります。
4. 第一段階|在庫差異を減らし、実在庫を正しく把握する

製造業の在庫管理を改善する第一段階は、実在庫を正しく把握することです。
在庫表上の数量と、現場にある実際の数量がずれていると、発注判断や生産計画にも影響します。
たとえば、在庫表では部品があるはずなのに実際には不足している場合、生産停止や納期遅れにつながる可能性があります。
まずは、入出庫記録、棚卸し、保管場所の管理を見直し、在庫差異が起こりにくい状態を整えましょう。
在庫差異が発生している場合は、数量だけを修正するのではなく、どこでずれが起きているのかを確認することが重要です。
| 確認するポイント | 起こりやすい問題 | 見直すこと |
| 入庫時の記録 | 入荷数量を記録していない、数量を間違えて入力している | 入庫時の記録項目と担当者を決める |
| 出庫時の記録 | 製造工程で使った数量が反映されていない | 出庫タイミングと記録方法を統一する |
| 保管場所 | どこにあるか分からず、数え漏れや重複カウントが起きる | 棚番号・エリア名・ロット番号を設定する |
| 棚卸し | 手書きや目視確認で数え間違いが起きる | 棚卸しルールや確認手順を統一する |
| 不良品・返品品 | 通常在庫と混ざり、在庫数がずれる | 不良品・返品品の置き場と記録方法を分ける |
在庫差異を減らすには、入出庫、保管場所、棚卸し、不良品管理のどこに原因があるかを確認し、記録と確認のルールを整えることが大切です。
4-1. 入出庫記録の漏れを防ぐ
在庫差異が発生する原因のひとつが、入出庫記録の漏れです。
部品や原材料が入荷したとき、製造工程で使用したとき、返品や不良品が発生したときなど、在庫が動くタイミングで記録が残っていないと、在庫表と実在庫がずれやすくなります。
まずは、以下のようなルールを決めておくことが大切です。
決めること | 例 |
記録するタイミング | 入荷時、出庫時、返品時、不良品発生時 |
記録する項目 | 品番、数量、保管場所、担当者、日付 |
記録する方法 | エクセル、在庫管理システム、バーコード読み取り |
確認する担当者 | 入庫担当、出庫担当、管理担当 |
入出庫のたびに記録する項目と担当者を明確にしておくと、記録漏れや二重入力を防ぎやすくなります。
4-2. 棚卸し・ロケーション管理で実在庫を確認する
実在庫を正しく把握するには、定期的な棚卸しとロケーション管理も重要です。
棚卸しでは、現場にある在庫を実際に確認し、在庫表と照合します。
差異が出た場合は、数量を修正するだけでなく、なぜ差異が発生したのかを確認することが大切です。
また、部品や原材料の保管場所が分かりにくいと、数え漏れや重複カウントが起こりやすくなります。
棚番号、エリア名、ロット番号などを使って保管場所を決めておくと、誰でも同じ基準で在庫を確認しやすくなります。
たとえば、以下のように保管場所を決めます。
| A棚-01-03:A棚の1列目・3段目 B棚-02-01:B棚の2列目・1段目 |
保管場所を明確にしておくことで、棚卸しだけでなく、日常の出庫や補充作業も進めやすくなります。
棚卸しの具体的な進め方は、以下の記事で詳しく解説しています。 棚卸し差異の原因や対策を詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。 |
4-3. バーコード・QRコード・RFIDで記録ミスを減らす
手書きや手入力で在庫を管理していると、品番の入力ミスや数量の転記ミスが起こりやすくなります。
このようなミスを減らすには、バーコード、QRコード、RFIDなどの読み取り技術を活用する方法があります。
品番やロット番号を読み取って記録できるようにすれば、手入力の負担を減らしやすくなります。
方法 | 向いているケース |
バーコード | 品番やJANコードで管理しやすい部品・製品 |
QRコード | 品番、ロット番号、保管場所など複数情報を持たせたい場合 |
RFID | 一括読み取りや、棚卸し時間を短縮したい場合 |
バーコード・QRコード・RFIDは、すべての在庫に一律で使う必要はありません。
まずは、品目数が多い部品、取り違えが起きやすい部品、棚卸しに時間がかかる在庫など、記録ミスや確認工数が発生しやすい対象から活用を検討しましょう。
5. 第二段階|生産計画・発注計画と連携して過不足を防ぐ
実在庫を正しく把握できるようになったら、次は生産計画や発注計画と在庫情報を連携させることが重要です。
製造業では、在庫数が正しくても、必要なタイミングで必要な部品・原材料がそろっていなければ、生産遅れや欠品につながります。
反対に、欠品を避けようとして多めに発注しすぎると、過剰在庫や滞留在庫が増えやすくなります。
第二段階では、安全在庫・発注点・生産予定・調達リードタイムを見直し、欠品と過剰在庫の両方を防ぎやすい状態を整えます。
5-1. 安全在庫・発注点を設定する
欠品を防ぐには、商品や部品ごとに安全在庫と発注点を設定することが有効です。
安全在庫とは、需要の変動や納期遅れに備えて、最低限確保しておく在庫のことです。
発注点とは、在庫数が一定数を下回ったときに発注を検討する基準です。
たとえば、以下のように考えます。
項目 | 内容 |
安全在庫 | 欠品を防ぐために最低限残しておく数量 |
発注点 | 発注を検討する在庫数の基準 |
発注量 | 1回の発注で補充する数量 |
安全在庫や発注点を決めておくと、「担当者が気づいたら発注する」という属人的な管理を減らしやすくなります。
ただし、すべての部品に同じ基準を設定する必要はありません。
まずは、欠品すると生産に影響が大きい部品、調達に時間がかかる部品、使用頻度が高い原材料から設定するとよいでしょう。
5-2. 生産予定と必要部品を照合する
製造業では、生産予定に対して必要な部品や原材料がそろっているかを確認することが欠かせません。
在庫表上は十分な数量があっても、すでに別の製品で使用予定がある場合、実際には不足することがあります。
反対に、生産予定が変更されたにもかかわらず発注量を見直していないと、使わない在庫が残ってしまいます。
生産予定と必要部品を照合するときは、以下のような情報を確認します。
このように、生産予定と在庫情報をあわせて確認することで、必要な部品が足りるかどうかを事前に判断しやすくなります。
5-3. 調達リードタイムを踏まえて発注タイミングを見直す
部品や原材料の調達に時間がかかる場合は、調達リードタイムを踏まえて発注タイミングを決める必要があります。
調達リードタイムとは、発注してから納品されるまでにかかる期間のことです。
リードタイムが長い部品は、在庫が少なくなってから発注しても、生産に間に合わない場合があります。
特に、海外調達品、特注部品、代替しにくい原材料は注意が必要です。
納期遅れや需要変動に備えて、安全在庫を多めに設定したり、発注点を早めに設定したりする必要があります。
一方で、リードタイムが短く、安定して調達できる部品は、必要以上に在庫を持たない管理も検討できます。
発注タイミングを見直すときは、以下のように部品を分けて考えると整理しやすくなります。
部品の特徴 | 管理の考え方 |
リードタイムが長い | 早めに発注点を設定し、欠品を防ぐ |
代替が難しい | 安全在庫を厚めに持つ |
使用頻度が高い | 定期的に在庫数と使用予定を確認する |
調達しやすい | 必要以上に在庫を持ちすぎない |
生産計画や発注計画と在庫情報を連携できるようになると、欠品による生産停止や、過剰発注による在庫増加を防ぎやすくなります。
6. 第三段階|過剰在庫・滞留在庫を減らす
在庫差異を減らし、生産計画や発注計画と在庫情報を連携できるようになったら、次は過剰在庫や滞留在庫を減らすことを考えます。
製造業では、欠品を避けるために多めに発注した部品や、計画変更によって使わなくなった原材料が残ることがあります。
こうした在庫を放置すると、保管スペースを圧迫するだけでなく、在庫金額の増加や品質劣化、不良在庫化につながる可能性があります。
第三段階では、ABC分析や滞留在庫の確認を行い、重点的に管理すべき在庫を見極めます。
6-1. ABC分析で重点管理する在庫を分ける
過剰在庫を減らすには、すべての在庫を同じように管理するのではなく、重要度に応じて管理方法を変えることが大切です。
ABC分析では、在庫金額や出庫頻度、使用量などをもとに、在庫をA・B・Cのように分類します。
分類 | 在庫の特徴 | 管理の考え方 |
Aランク | 在庫金額が大きい、または使用頻度が高い在庫 | 優先的に在庫数・発注量・使用予定を確認する |
Bランク | 重要度が中程度の在庫 | 定期的に在庫数や発注量を見直す |
Cランク | 在庫金額が小さい、または使用頻度が低い在庫 | 管理工数をかけすぎず、保管場所や数量を整理する |
Aランクの部品や原材料は、欠品すると生産に影響しやすく、過剰に持つと在庫金額も大きくなります。
まずはAランク在庫から、発注点、発注量、安全在庫を見直すと効果を出しやすくなります。
6-2. 長期間動いていない在庫を洗い出す
滞留在庫を減らすには、長期間入出庫がない在庫を定期的に確認することが重要です。
製造業では、生産計画の変更、仕様変更、販売終了、部品の代替などによって、使われなくなった在庫が残ることがあります。
こうした在庫は、現場に残っていても次に使う予定がない場合、不良在庫化しやすくなります。
まずは、以下のような条件で在庫を洗い出します。
確認する条件 | 見直す内容 |
6ヶ月以上動いていない | 今後の使用予定があるか確認する |
1年以上動いていない | 廃棄・転用・売却の可能性を検討する |
使用予定の製品が終了している | 代替利用できるか確認する |
保管スペースを圧迫している | 優先的に処分・移動を検討する |
長期間動いていない在庫は、数量だけでなく、在庫金額や保管スペースへの影響もあわせて確認しましょう。
金額やスペースへの影響が大きいものから優先的に対応すると、改善効果が見えやすくなります。
6-3. 部品の共通化・小ロット化・外部委託も検討する
過剰在庫を減らすには、発注量や在庫数を見直すだけでなく、在庫が増えにくい仕組みを作ることも大切です。
| 方法 | 期待できる効果 | 注意点 |
| 部品を共通化する | 専用部品を減らし、在庫点数や管理工数を抑えやすくなる | 設計や仕様の見直しが必要になる場合がある |
| 小ロット発注に切り替える | 1回あたりの発注量を抑え、保管スペースや在庫金額を減らしやすくなる | 単価や配送コストが上がる場合がある |
| 納品頻度を見直す | 必要な量を必要なタイミングで補充しやすくなる | 仕入先との調整が必要になる |
| 外部倉庫や外部加工先を活用する | 自社内の保管・加工・管理負担を減らしやすくなる | 外部に預けた在庫の数量や入出庫状況を確認できる仕組みが必要 |
まずは、在庫金額が大きい部品や長期間動いていない在庫など、影響が大きいものから見直しましょう。
その後も在庫の動きや使用予定を定期的に確認し、必要以上に在庫を持たない状態を維持することが大切です。
7.製造業の在庫管理に使えるシステム・ツール
製造業の在庫管理では、エクセルや紙の管理だけでなく、在庫管理システム、生産管理システム、バーコード・QRコード・RFIDなど、さまざまなツールを活用できます。

ただし、ツールを導入すればすべての課題が解決するわけではありません。
まずは、自社の課題に対して、どのツールがどの業務に役立つのかを整理することが大切です。
ツール | 向いている課題 | 活用イメージ |
エクセル・スプレッドシート | 小規模な在庫管理、品目数が少ない管理 | 在庫表を作成し、入出庫数や現在庫を手入力で管理する |
在庫管理システム | 在庫差異、欠品、複数拠点の在庫確認 | 入出庫履歴、現在庫、保管場所、ロット情報などを一元管理する |
生産管理システム | 生産計画と部品在庫の連携、仕掛品管理 | 生産予定、必要部品、工程進捗、仕掛品の状況を管理する |
ERP | 販売・購買・生産・在庫・会計をまとめて管理したい場合 | 部門をまたいで業務データを連携し、全社的に在庫情報を把握する |
バーコード・QRコード | 入出庫記録ミス、棚卸しの手入力負担 | 品番やロット番号を読み取り、入出庫や棚卸しの記録に使う |
RFID | 棚卸し時間の短縮、一括読み取り | 複数の商品や資産をまとめて読み取り、確認作業を効率化する |
重量管理 | 数えにくい部品や原材料の在庫確認 | ネジ、部品、粉体、液体などを重量から在庫量として把握する |
7-1. エクセル・スプレッドシート
エクセルやスプレッドシートは、品目数が少ない場合や、まず在庫管理のルールを整えたい場合に使いやすい方法です。
ただし、商品数や担当者数が増えると、入力漏れや最新版が分からないといった課題が出やすくなります。
エクセルで在庫管理表を作る方法は、以下の記事で詳しく解説しています。 |
7-2. 在庫管理システム
在庫管理システムは、入出庫履歴、現在庫、保管場所、ロット情報などを一元管理するためのツールです。
紙やエクセルに比べて、在庫数の更新や確認をしやすくなります。
複数拠点の在庫確認や、在庫差異の削減に課題がある場合に検討しやすい方法です。
7-3. 生産管理システム・ERP
生産管理システムは、生産計画、必要部品、工程進捗、仕掛品などを管理するためのシステムです。
製造業では、現在庫だけでなく「いつ、何を、どれだけ作るか」といった生産予定と在庫情報をあわせて確認する必要があります。
生産管理システムを活用すると、生産計画に対して必要な部品が足りているか、仕掛品がどの工程にあるかを確認しやすくなります。
ERPは、販売、購買、生産、在庫、会計などをまとめて管理する仕組みです。
部門をまたいで情報を連携したい場合や、在庫情報を経営管理にも活用したい場合に選択肢になります。
7-4. バーコード・QRコード・RFID・重量管理
入出庫記録や棚卸しのミスを減らしたい場合は、バーコード、QRコード、RFID、重量管理などの活用も有効です。
バーコードやQRコードは、品番やロット番号を読み取って記録できるため、手入力の負担を減らしやすくなります。
RFIDは一括読み取りができるため、棚卸し対象が多い場合や、確認作業を効率化したい場合に向いています。
また、小さな部品や粉体・液体など、数を一つずつ数えにくい在庫は、重量で管理できる場合があります。
読み取り技術や重量管理を活用する場合は、対象となる在庫の特徴に合わせて選ぶことが大切です。
品番管理しやすい部品はバーコードやQRコード、棚卸し対象が多い場合はRFID、数えにくい小物部品や原材料は重量管理など、課題に合った方法を検討しましょう。
製造業の在庫管理をさらに詳しく見直したい方は、以下の記事も参考にしてください。
課題 | 関連記事 |
在庫管理の基本から確認したい | |
エクセルで在庫管理表を作りたい | |
棚卸しの進め方を知りたい | |
棚卸し差異の原因を詳しく知りたい | |
改善事例を参考にしたい |
8.受発注と在庫管理を一元化する選択肢
製造業の在庫管理では、現場の在庫数だけでなく、受注・発注・入出庫・在庫更新の流れも関係します。
電話・FAX・メール・エクセルなどで受発注を管理していると、注文内容の転記や在庫確認が発生し、更新漏れや確認ミスにつながることがあります。
結果として、在庫差異や欠品、過剰在庫が起こりやすくなります。
こうした課題がある場合は、受発注と在庫情報を別々に管理するのではなく、注文情報・商品情報・取引先情報・在庫情報をつなげて管理する方法も選択肢になります。
WONDERCARTは、BtoB受発注と在庫管理をオンラインで一元化できるサービスです。
受発注業務や在庫確認、転記作業の効率化を検討している方は、以下の資料をご覧ください。
WONDERCARTの機能や活用イメージをまとめた資料をご用意しています。
電話・FAX・メール・エクセルでの受発注管理に課題を感じている方は、ぜひご活用ください。
9.まとめ
製造業の在庫管理では、部品・原材料、仕掛品、完成品など、複数の在庫を正しく把握する必要があります。
在庫差異や欠品、過剰在庫を減らすには、まず実在庫を正しく把握し、そのうえで生産計画や発注計画と連携しながら、必要以上に在庫を持たない仕組みを整えることが大切です。
この記事のポイントは、以下のとおりです。
- 在庫差異を減らすには、入出庫記録・棚卸し・保管場所の管理を整える
- 欠品や過剰在庫を防ぐには、生産計画・発注点・調達リードタイムを確認する
- 管理が複雑な場合は、在庫管理システムや受発注との一元管理も検討する
まずは、欠品・在庫差異・過剰在庫など、自社で最も負担が大きい課題を1つ選び、在庫数・保管場所・入出庫記録・発注ルールのどこに改善余地があるかを確認してみましょう。
製造業の在庫管理は、一度仕組みを整えて終わりではありません。
生産計画や需要の変化に合わせて、在庫の持ち方や発注ルールを定期的に見直すことが重要です。
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