
「アパレルの受発注は、どんな流れで進めていけばいいのだろう?」
「アパレルの受発注の精度を高めていきたいけど、どうやるのが正解?」
これからアパレルの受発注業務を改善していきたいと考えていても、改めて考えてみると、どのように進めていけばいいのかわからない卸の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
まずは、アパレルの受発注業務の流れに則って業務を回せているか、基本を確認しておきましょう。
・見積もり |
上記のように、発注側と受注側で書類を用いながらやりとりをおこない、滞りなく商品の受け渡しまで進めていくのが基本的な受発注の流れです。
とはいえアパレル卸は一般的な業種の卸とは違い、以下のような課題があるため、上記のやり方をただ進めればいいとはいえません。
アパレル卸の課題 | 詳細 |
商習慣による | 展示会で商談を進めることがあり手書きやFAXによるアナログな受発注方法をとらざるを得ない |
需要予測の難しさ | 季節やトレンドなど需要変動の要因が複雑に絡み合う |
複雑な商品管理 | カラーバリエーションやサイズ、季節に応じた入れ替わりなどがあり容易ではない |
そこで本記事では基本的なアパレル卸がとるべき受発注方法に加え、課題を解決できるやり方について解説します。
本記事を読んでわかること |
・アパレル卸の基本的な受発注の流れを理解できる |
本記事を読めば、アパレル卸として受発注を進めるときにぶつかりやすい課題を回避しながら、スムーズに納品・受領までおこなえるようになるでしょう。
ぜひ本記事を参考に、アパレル卸として最適な受発注業務を進めてください。
目次
1. アパレルの受発注業務の流れ
冒頭でもお伝えした通り、アパレル卸の受発注業務の流れは、以下のとおりです。
・見積もり |
アパレル卸が発注する際は、アパレル商品を「仕入れる」立場。この時の取引先はメーカー(ブランド)や別の卸会社です。
一方でアパレル卸が受注する際は、アパレル商品を「売る」立場になります。この時の取引先は、アパレルショップや百貨店、ECサイト運営会社などの小売店です。
発注側と受注側で業務内容が異なるので、本章では一つずつ解説します。
実際の業務シーンをイメージしながら、読み進めてください。
ポイント |
受発注業務に使用する注文書や発注書など、帳簿にかかわる書類は法律で保管が定められています。 |
1-1. 見積もり
見積業務における、発注側と受注側の対応は以下です。
・発注側|見積依頼をする |
順番に見ていきましょう。
1-1-1. 発注側|見積依頼をする
発注する量やそのときの景気によって商品の価格が異なるため、仕入れ先であるアパレルメーカーへ見積依頼をかけましょう。
紙やメールなど仕入れ先に対応する方法で、以下のような項目を記載します。
見積依頼項目 | 詳細 |
基本情報 | 依頼日付や依頼者情報、見積期限 |
商品情報 | 商品名、カラーバリエーション、サイズ展開など |
納期 | 希望納期、分割納品の可否、希望スケジュール |
価格 | 予算目安、価格帯の希望、数量ディスカウントの希望 |
アパレル業界では扱う商品数が多いうえにサイズ展開やカラーバリエーションも豊富なため、要望を細かく書いて伝わりやすくすることがポイントです。
1-1-2. 受注側|見積書を作成する
小売店から見積もり依頼が届くので、注文内容を確認して見積書を作成します。
イメージとしては以下のような形で、必要な項目を記載しましょう。
見積書への記載項目 |
・基本情報:「○○に関する見積書」、見積番号、作成日、有効期限 |
見積書は正確でなければならないため、金額はもちろんのこと、取引先や自社の情報も細かく確認しましょう。
とくにアパレル卸業界ではシーズン性があり、商品のバリエーションも豊富なため、明確な納期を記載するとともに商品の詳細を記載しておくと認識違いを防げます。
春に着る商品が夏に届いても販売できませんし、サイズ違いの商品が届いた場合も同様です。
曖昧な見積もりではなく詳細に商品の内容を記載して、受注間違いを防ぎましょう。
1-2. 注文
見積の確認を終えたら、注文をします。
注文業務における、発注側と受注側の対応は以下です。
・発注側|注文書作成 |
順番に見ていきましょう。
1-2-1. 発注側|注文書作成
発注側は見積書をもとに社内で予算を申請して、仕入れ先へ送る注文書を作成します。
基本的には見積書の内容に沿った形となり、以下のようなイメージで作成しましょう。
注文書に記載する内容 |
・基本情報:書類タイトル、注文番号、発注日 |
アパレル業界特有のサイズやカラー別の詳細、梱包指示などを注文書へ明確に記載すると、受注側は商品の生産から納品までの課程をスムーズに進めやすくなるので細かく記載してください。
納期は「5月中旬」など曖昧な表現をするのではなく、「5月10日必着」など担当者間で認識のズレがおきないように明確にしておくことが重要です。
1-2-2. 受注側|注文書受領
受注側は小売店から注文書を受領したら、以下のような項目に問題がないか内容を確認します。不備や不明点があれば、小売店に問い合わせましょう。
発注する時と同様に、ここでは認識の相違が生まれないように各項目が具体的・明確になるよう担当者間ですり合わせをすることが大事です。
問題がない場合は注文請書(受注確認書)を発注側へメールや紙などで発行して、注文内容の承諾を示します。
注文請書の内容は発注書と同様に、以下の項目を記載します。
・取引内容 |
注文請書の発行は任意ですが、どのような条件で受注したかを示せます。
たとえば「納品日を過ぎても来なくてセールに間に合わないと主張された」「サイズが違うとクレームが来た」といった発注側とのトラブルを避けられるので、発行しておいたほうが安心でしょう。
1-3. 商品の受け渡し
注文業務を終えたら受け渡しに進みます。
商品の受け渡し業務における、発注側と受注側の対応は以下です。
・発注側|商品の受け取り |
順番に見ていきましょう。
1-3-1. 発注側|商品の受け取り
発注側はメーカーから納品された商品を受け取ります。
発注書と比較しながら、納品された商品内容に間違いないか確認していきましょう。
とくにアパレル卸は扱う商品数やバリエーションが豊富なため、サイズ違いや色違いが混ざっていないかもチェックしてください。
以下、よくあるトラブルと対処方法をまとめました。
よくあるトラブル | 対処法 |
納品内容が違う | 荷受け時「即時検品」する ※大口納品で即全量検品がムリな場合でも、最低「箱数・荷姿・伝票内容」だけは即日チェックすることがおすすめです。 |
納品遅れ・納品日ミス | 納品前に「事前確認」する |
梱包・荷姿の問題、不良品混入 | 「エビデンス確保」する |
ざっくり言うと、
「受領後すぐに、発注した内容とあっているか、を目と手で確認して、違う点があれば即確認する」ことの徹底が大事ということです。
1-3-2. 受注側|納品
受注側は注文を受けたのち、納期に間に合うように商品を保管場所から出荷して納品します。
この過程で作成するのが、出荷指示書と納品書です。
納品過程で作成する書類 | 概要 |
出荷指示書 | 倉庫でピッキング作業をするときに使う書類 |
納品書 | 注文どおりの商品であることを示す書類 |
倉庫では以下のような出荷指示書を作成したうえで確認しながらピッキング作業をおこない、梱包や検品作業も進めます。
出荷指示書に記載する主な内容 |
・基本情報(指示書番号、作成日、出荷予定日など) |
アパレルは商品のバリエーションが多いことから、出荷指示書には細かな指示まで記載しなければミスにつながるため注意してください。
また納品時に添える納品書には、納めた商品がどの発注に対する商品なのかを表せるよう、見積番号や注文書番号も記載しておく必要があります。
納品書に記載する主な内容 |
基本情報(納品書番号、発行日、注文書番号など) |
ほかの書類同様に商品のサイズやカラーまで細かく記載して、納品する商品に添えましょう。
1-4. 支払い
商品の受け渡しを終えたら支払いをおこないます。
支払い業務における、受注側と発注側の対応は以下です。
・発注側|支払い |
順番に見ていきましょう。
1-4-1. 発注側|支払い
発注側は請求書を受け取ったら、期日までにそのとおりに入金しましょう。
ただ、「サイズ違いや返品が発生したのに、その修正が請求書に反映されていない…」など、社内外問わずヒューマンエラーも発生しやすい業務でもあるため、入金前に請求書の最終確認は必ずしておきましょう。
支払いのタイミングが遅れたり、金額の誤差が生じることは、そのまま会社としての信用失墜に繋がるため、正確な対応が求められます。
受注側が入金を確認したら領収書を発行するので、受け取ったら保管しておいてください。
1-4-2. 受注側|請求書・領収書の発行
受注側は小売店へ支払いを求めるための請求書を送り、代金を受け取ったら領収書を発行します。
請求書と領収書は以下のような内容で作成しましょう。
【請求書】
請求書に記載する主な内容 |
・基本情報:請求書番号、発行日、支払い期限、関連する注文書番号と納品書番号の参照情報 |
【領収書】
領収書に記載する主な内容 |
・日付:発行日 |
請求書と領収書の基本的な内容は、注文書の内容を反映する形となります。
アパレルで取引する商品は多いため、異なる金額や数量になっていないか見落としなく確認したうえで発行しましょう。
窓口を一元化する、ダブルチェックの体制を作っておく、などミスがおきない仕組み作りも重要です。
2. アパレルの受発注業務の3つの障壁
ここまででアパレル卸の受発注業務の流れを理解できたかと思いますが、実際はそう簡単に進みません。
以下のような3つの障壁がアパレルの受注業務には生じるからです。
・商習慣による業務効率の悪さ |
順番に見ていきましょう。
2-1. 商習慣による業務効率の悪さ
アパレル卸は商習慣から展示会で商談を進めることがあり、手書きやFAXによるアナログな受発注方法をとらざるを得ないため、業務効率の悪さが課題となっています。
手書きやFAXによる受発注は、以下の原因となるため大変非効率です。
非効率となる原因 | 起こりうる例 |
ヒューマンエラー | データの二重入力や誤入力、伝票の未処理、割引価格の未適用など |
処理の遅延 | 受注内容の転記に時間がかかる、ほかの書類と混ざり入力が遅延するリスク、在庫状況の把握に手間取るなど |
書類の紛失リスク | ほかの書類と混ざる、間違って廃棄するなど |
事実サイズの組み合わせや数量の間違いがないよう、展示会の入力に2人がかりで作業した結果、1週間以上費やすことも少なくありません。
さらに手書きやFAXの受発注書類を保管したり、人数を増やしながら時間をかけたりすれば、管理コストや人件費も増加してしまいます。
このようなアパレルの商習慣による業務効率の悪さは、受発注業務を滞りなく進めるうえで大きな障壁となっています。
2-2. 需要予測の難しさ
アパレル卸の受発注の障壁には、需要予測の難しさもあります。
以下はアパレル商品の需要変動の要因です。
需要変動の要因 | 詳細 |
季節要因 | 季節の変動や季節のイベントに応じた需要変動 |
トレンド要因 | ファッションショーやコレクション、SNSによる流行による需要変動 |
経済的要因 | 景気変動や現在材料費高騰による需要変動 |
社会的要因 | リモートワークのような働き方の変化や、環境意識の高まりによる消費行動の変化 |
たとえば暑い日が続いていたのに異常気象によって急激に寒くなれば、これまで売れていた薄手の商品とは異なり防寒具の需要が高まります。
コロナ禍のようにリモートワークが急速に広まれば、スーツ用品の売れ行きが落ちてしまうでしょう。
アパレル業においてはこれらの要因が1つではなく、複数絡み合いながら影響し合うので、よりいっそう需要予測が難しいのです。
2-3. 複雑な商品管理
アパレル卸は以下のように複雑な商品管理が必要なため、適切な受発注管理は容易ではありません。
要因 | 詳細 |
商品が頻繁に入れ替わる | 季節やトレンドのほか、コラボレーション商品の販売などで商品の入れ替わりが激しい。 |
カラーバリエーションや | 一つのデザインでも、複数のサイズとカラーを管理しなければならない。 |
返品が多い | 返品率が他業種より高い傾向にある |
リードタイムが長い | 企画~実際に商品が店頭に並ぶまで数ヶ月かかる。 |
たとえば季節が変われば使えないアパレル用品は多く、商品の入れ替わりに応じて受発注業務も切り替えていかなければなりません。
また入れ替える商品ひとつをとっても、S・M・L・XLといったサイズ展開の幅広さや、複数のカラー展開などがあり、どのサイズのどのカラーをいくつ受発注していくか、と業務が煩雑です。
さらに以下を見ておわかりいただけるように、アパレル業界の返品率はほかの業種より高い傾向です。
参考:河合啓一「返品の経済学」
アパレル業界は商品のサイズやイメージと合わなかったといった理由から返品されやすく、家具家電、生活雑貨とは大きく数値が異なります。
顧客が小売店へ返品後は返品可能な契約をしている商品の場合、卸へ返品されるため、在庫を切り替えながら今後の受発注量の検討をしなければなりません。
このようにアパレル卸は商品管理が複雑であるため、受発注業務がスムーズに進みにくいのです。
3. アパレルの受発注業務を効率化するなら受発注システムの導入がおすすめ
ここまでアパレル卸の障壁について解説しましたが、解決を見込めないわけではありません。
これらの障壁を払拭し、アパレルの受発注業務を適切に効率化する手段として本記事がおすすめするのは、受発注システムの導入です。
・理由1| 手作業による受発注ミスの削減 |
詳細な理由を順番におすすめするので、順番に見ていきましょう。
ExcelやOCR(画像からテキストデータに変換するツール)もアパレル卸には意味なし |
他の業種などで活用されているExcelやOCRを使った受発注管理も、アパレル卸の受発注には不向きといえるでしょう。 なぜなら、アパレル卸の特徴として大量の帳票が発生するうえ、追加発注や返品などが頻繁に起こるからです。 結果的にExcelやOCRを使用すると修正と対応に費やす人件費や印刷代などのコストが多額となり、業務負担も大きく、アパレル卸の受発注には不向きといえるのです。 |
3-1. 理由1| 手作業による受発注ミスの削減
受発注システムにより、手作業による受発注ミスを削減できます。
受注時は設定したルールに基づいて発注側のデータを自動的に受発注システムへ反映できるので、入力間違いをなくせます。
また発注時にも以下のような機能から、あらゆる人的ミスが発生するリスクを減らせるのです。
受発注システムの機能 | ミス削減につながる理由 |
プルダウン機能 | あらかじめ決まった選択肢からしか選べないのでサイズやカラーの選択ミスを防止できる |
アラート機能 | 「10個」を「100個」と誤入力するようなミスをすると異常値で警告が出る |
発注先の選択 | 商品に対応する正しい発注先が自動的に選択されるよう設定できる |
カレンダー機能 | 休業日や過去の日付に発注できないようにできる |
価格の自動計算 | 商品を入力していくと自動的に価格が計算されるのでミスがない |
電話やFAXで受発注する場合、煩雑な業務のなかで作業するのでミスが起こりやすくなります。
たとえば手書きで受発注をすると「M」と「XL」の読み間違いが生じることもあるでしょう。
電話の場合は「言った、言わない」が生じ、トラブルとなるケースもあります。
しかし受発注システムを使用すれば、サイズやカラーはプルダウンで的確に指定できるのでお互いに認識のすれ違いが起こりにくくなります。
またすべて履歴が残るので「言った、言わない」といったトラブルも生じません。
受発注システムにより、手作業による受発注ミスを削減しながら滞りなく業務を進められます。
3-2. 理由2|在庫管理の精度向上
受発注システムがあると、在庫管理の精度を向上できます。
受発注システムの機能 | ミス削減につながる理由 |
リアルタイムで | 今どの商品のどのサイズやカラーが何個あるのかがすぐにわかる |
自動発注できる | 一定数を下回ったら発注されるので、適正在庫を常に維持しておける |
受発注システムがあれば今どの商品のどのサイズやカラーが何個あるのか、リアルタイムで在庫状況を閲覧できるので、顧客から問い合わせがあってもすぐに答えられ受注機会を逃しません。
在庫がいつでもわかる状態だと売れ筋アイテムであれば欠品を防止しやすく、不良在庫の回転率を高める施策を早めに打てるでしょう。
また〇個になったタイミングで自動発注という設定もできるので、適正在庫を常に維持しておくこともできます。
受発注システムがなければ目視で在庫を確認することになるため時間がかかり、適正在庫を維持するにはだれかが常に在庫管理に注力しなければならず、手間暇をかける必要があります。
しかし受発注システムで在庫管理の精度が向上できれば、受発注業務を円滑に進められるのです。
3-3. 理由3| ペーパーレス化によるコスト削減
受発注システムを採用すると、ペーパーレス化によって印刷費用や書類の保管費用といったコストを削減できます。
紙の受発注書類の用意やFAXは印刷コストが発生し、A4サイズ・モノクロなら3円〜4円ほどの印刷代なので、10,000枚印刷すれば30,000円〜40,000円です。
アパレルの場合はひとつの商品だけでサイズやカラー展開が幅広く、商品数が膨大です。
ただでさえ大量の帳票があるうえ、返品や追加の受発注などによっても書類が発生するため、印刷コストは大きなものといえるでしょう。
しかし受発注システムなら画面上で受発注の記録を表示できるので、必要な分だけ印刷するだけとなります。
さらに保管場所も従来より必要としなくなることから、受発注システムによってペーパーレス化できれば、印刷費や保管費用を削減できるのです。
3-4. 理由4|注文から納品までのリードタイム短縮
受発注システムを導入すると、注文から納品までのリードタイムを短縮できます。
受注後に倉庫へ注文し、納期の確認や書類作成といった受注に関する一連の流れを自動化でき、スピードアップを図れるからです。
FAXや電話の場合は各商品のサイズやカラーといいった、注文内容を一つひとつ転記しながら内容を確認していかなければならず、どうしても時間がかかります。
しかし受発注システムなら機械的に処理できるため、以下を見てもおわかりいただけるように受注業務にかかる時間の短縮につながっています。
参考:アラジンEC「受発注システムとは?導入するメリット・注意点・選び方を解説」
上記のアンケートでは、1時間以上の業務効率化を実感できた割合は全体の76.3%、5時間以上は4.9%という結果になっています。
受発注システムの導入によって注文から納品までにかかるリードタイムの短縮を期待できることがお分かりいただけるのではないでしょうか。
3-5. 理由5|スタッフの業務負担軽減
受発注システムを導入すると、受発注作業を自動化させられるのでスタッフの業務負担を軽減できます。
これまでのように電話に出る必要がなくなり、FAXも含め受注したときの転記作業もいりません。
事実、中小企業庁の調査「令和3年度取引条件改善状況調査」では受発注システムの導入によって、全体として20.6%、卸業では25.6%が残業時間を減らすことができたと回答しています。
アパレル卸がスタッフの業務負担を軽減できれば予想外の売れ行きや季節変動によって生じる、急な大口注文や問い合わせにも柔軟に対応する余裕が生まれます。
新たな商品開発やトレンド分析、取引先との関係構築といったコア業務に時間を割けるようになるため、企業成長を見込めるようにもなるでしょう。
受発注システムの導入によって労働時間の適正化につながるだけでなく、受発注業務以外の業務へ時間を使えるようになります。
3-6. 理由6|販売データをもとにした需要予測の実現
受発注システムによって、以下のような販売データをもとにした需要予測が可能です。
分析できること | 詳細 | 活かせること |
売れ筋商品の特定 | カテゴリーやシーズンなどに応じた過去の販売データをランキングできる | 季節によってどのような商品の商品が売れ行きがいいのかがわかる |
季節変動パターンの把握 | 季節による需要変動がわかる | 何月のいつ頃にどのような商品が売れ始めるのかわかる |
地域別の需要 | エリアごとの販売傾向がわかる | どのエリアでいつごろ何が売れ始めるのかがわかる |
価格帯別の売れ行き | 価格帯ごとにどのように売れているかわかる | 収益性の高い価格帯や価格変更による販売数量の変化がわかり、価格戦略の最適化を図れる |
返品率 | どの商品が高い返品率を示しているかわかる | 品質改善や商品説明の見直しを図れる |
セット販売・ | 一緒に購入される商品の組み合わせを特定できる | セット販売や関連商品の設定に活かせる |
顧客の購買パターン | 顧客の購買傾向がわかる | 顧客にあわせた営業や提案ができる |
「2-2. 需要予測の難しさ」では商品の季節やトレンドなどに起因するため、アパレル業界の卸は商品の需要予測が困難であることをお伝えしました。
しかし受発注システムを導入すればこのような豊富な方法で分析でき、受発注業務の大きな手助けになります。
手作業やExcelでこれらの需要予測をしようとすれば膨大な時間や手間がかかりますが、受発注システムならすぐに集計できるため、アパレル卸に必須のツールといえるでしょう。
3-7. 理由7|返品処理の簡素化
受発注システムによって返品処理の簡素化ができ、手間がなくなります。
手作業でやると返品の流れは以下のとおりですが、受発注システムがあれば実際に目視でする検品作業以外を自動化できるからです。
返品の流れ | アパレル卸がやること | |
手作業 | 受発注システム | |
返品依頼が来る | 返品理由や商品状態を電話やメールで確認 | 顧客から返品リクエストを受けたらシステム上で自動処理 |
返品してもらう | 配送業者を手配 | 自動で配送業者を手配 |
返品される | 受領メールの送信 | 受領メールの自動送信 |
検品する | 検品をおこない返金 | 検品作業を従業員がおこない、 |
後処理をする | 在庫数を変更 | 在庫数の自動反映 |
アパレル業界は返品率が高いため、手間や時間をとられる返品業務によって作業効率は大きく低下します。
しかし受発注システムがあれば返品業務のほとんどを自動化させられるため業務効率化につながり、従業員の負担を減らしながらほかの業務に時間を割けるようになります。
4. アパレル卸が受発注業務をミスなく効率的に進めるコツ
ここまでお伝えした理由によって、アパレル卸にとって受発注システムがおすすめであることをおわかりいただけたかと思います。
最後に、アパレル卸が受発注業務をミスなく効率的に進めるコツを解説しますので、見ていきましょう。
・業務フローを洗い出して可視化する |
順番に解説します。
4-1. 業務フローを洗い出して可視化する
アパレル卸が受発注業務とミスなく効率的に進めるには、業務フローを洗い出して可視化する必要があります。
ただ受発注システムを導入するだけでなくあらかじめ業務プロセスを明確にしておくと、業務内容が煩雑なアパレル卸でも、必要な作業だけスムーズにおこないやすくなりミスが減るからです。
業務フローを洗い出して可視化するには、以下の工程を踏んでください。
1. 各業務の内容を担当者とともに書き出す |
このとき1の「各業務の内容を担当者とともに書き出す」では、以下のようなフローチャート形式にするとより可視化されわかりやすいでしょう。
そして業務フローを洗い出したうえで改善点を見つけるときは、以下を重点的に見ながら担当者にも聞き取ることで実用的に見直しを計れます。
・無駄な作業の削減 |
各フローに対して課題を書き出しながら不要な箇所は削り、だれかの負担が大きいようであれば人員を追加する、といった方法で受発注プロセスを見直してミスの削減を図りましょう。
4-2. データの一元管理をする
アパレル卸が受発注業務をミスをなくすには、データの一元管理をしてください。
受発注システムを導入したところで、受発注を管理する部署だけがデータを把握していても導入効果が限定的になってしまうからです。
そのため以下のような関連部署とデータを共有して活用していきましょう。
・営業部:受発注状況を反映しながら営業できる |
営業部が受発注データを把握しておけると、売れ筋商品や季節変動などの情報をもとに効率的な営業計画を立てられます。
生産管理部であれば効率的な生産スケジュールを立てながら、資材調達も適切なタイミングでおこなえ、欠品や不良在庫の発生リスクも抑えられるでしょう。
受発注システムを導入してミスなくより効率的に受発注を進めるのなら、関連部署ともデータの一元管理を積極的におこなってください。
4-3. 運用のルール決めをして遵守する
受発注ミスを削減して効率的に進めるには運用のルール決めをして、従業員全体で遵守していくことが大切です。
せっかくいいシステムを導入しても運用方法がバラバラだとデータの統一性がなくなり、分析結果に影響が出たり、二重入力や確認作業が増加し業務が非効率になったりして、ミスを誘因するからです。
運用ルール | 運用ルールで決めること |
基本ルール | 商品マスター登録方法や受発注手順、納期管理など受発注システムを使うときの基本的なルールを統一する |
例外処理のルール | 急ぎの発注や返品・キャンセルが生じたときのルールを決める |
データ分析・ | 何の分析をするときに、いつからいつのどのデータを使うのか決める |
たとえば商品マスター登録方法ひとつをとっても、アパレル卸は1つの商品に対してカラー・サイズ展開が豊富です。
商品画像をアップロードする基準としてサイズやカラーごとの枚数、角度などを決めておけば、だれが登録しても同じデータを閲覧でき、受発注の注文ミスを減らせます。
トップシーズン中に生じた急ぎの追加発注があっても、発注手順が明確化されていれば手間取らず生産部門にスピーディに発注をかけられ、最短納期で顧客へ納品できます。
受発注システムを導入するだけでなく、運用ルールを設定して従業員全員が同じやり方で受発注をおこなえる環境を整えましょう。
5. まとめ
アパレル卸の受発注業務について、おわかりいただけましたでしょうか。
最後に、本記事の要点についてまとめていきます。
◎アパレル卸の受発注業務の流れは、以下のとおりです。
・見積もり |
◎以下のような、3つの障壁がアパレルの受注業務には生じます。
・商習慣による業務効率の悪さ |
◎アパレルの受発注業務を効率化するなら、以下7つの理由から受発注システムの導入がおすすめです。
・理由1| 手作業による受発注ミスの削減 |
◎アパレル卸が受発注業務をミスなく効率的に進めるコツは、以下3つです。
・業務フローを洗い出して可視化する |
本記事を参考に、あなたがアパレル卸で受発注を滞りなく進められることを祈っています。
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