
「欠品や過剰在庫を無くしたい」
「取引先からの急な在庫確認や受注に対応しきれない」
「発注や棚卸し作業を楽にしたい」
取り扱う商品の量・種類が多く在庫管理が煩雑になりやすい卸売業界においては、このような問題やお悩みを抱えている企業様も多いのではないでしょうか。
結論から申し上げると、卸売業者が在庫管理の問題を改善するためにやるべきことは、
・まずは業務フローを見直す
・それでもだめなら専用システム(在庫管理システムor受発注システム)を導入する
の2つに尽きます。
改善方法は在庫管理の課題や原因によって異なり、課題別の改善方法は以下のとおりです。
卸売業にありがちな在庫管理の課題別改善方法 | |
課題 | 改善方法 |
欠品が頻発する | 【業務レベルの改善】 |
【それでもだめなら…】 | |
過剰在庫が倉庫スペースを圧迫している | 【業務レベルの改善】 |
【それでもだめなら…】 | |
棚卸しに時間がかかる | 【業務レベルの改善】 |
【それでもだめなら…】 | |
賞味・使用期限の管理が行き届かず廃棄の在庫が発生する(食品・医薬品等) | 【業務レベルの改善】 |
【それでもだめなら…】 | |
取引先からの急な要望の対応に追われている | 【業務レベルの改善】 |
【それでもだめなら…】 |
※詳しくは記事内「2.卸売業にありがちな在庫管理の課題と改善方法【実践編】」にて解説
業務レベルでフォローできる範囲には限界があるため、多くのケースでは、在庫管理システムや受発注システムを導入しなければ状況が改善しないのが実情です。
本記事では、自社の在庫管理に課題意識をお持ちの卸売業者に向けて、
・卸売業の在庫管理を改善する方法【基礎知識編】
・卸売業にありがちな在庫管理の課題と改善方法【実践編】
・在庫管理改善におすすめのシステム
といった卸売業者のための在庫管理の改善アイデアをお伝えします。
現在の在庫管理が上手くいっていない原因を特定し、自社に活用できる改善ノウハウを持ち帰りたいという企業様は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
1. 卸売業の在庫管理を改善する方法【基礎知識編】
まずは、卸売業の在庫管理を改善する基本的な方法について、以下の順にお話しします。
・業務フローを見直す
・新たにシステムを導入する(在庫管理システム・受発注システム)
・まずは業務の見直し、解決しなければシステム導入がおすすめ
具体的な実践方法は次章「卸売業にありがちな在庫管理の課題と改善方法【実践編】」でお伝えするので、本章では基礎知識として一般的な在庫管理改善の流れを頭に入れましょう。
1-1. 業務フローを見直す
卸売業の在庫管理を改善する方法として真っ先にやるべきことは、業務フローの見直しです。
既存の在庫管理業務に無駄やリスクの高いオペレーションがないかを探し、問題のある箇所を特定して業務レベルでの改善を図ります。
以下の例を参考に、貴社の在庫管理業務フローを見直し、現状の課題を特定しましょう。
業務フロー見直し例 | |
工程 | 現状のオペレーションから見る課題と改善案 |
発注 | 【現状のオペレーション】 【課題】 【改善案】 |
入荷登録 | 【現状のオペレーション】 【課題】 【改善案】 |
在庫確認対応 | 【現状のオペレーション】 【課題】 【改善案】 |
受注 | 【現状のオペレーション】 【課題】 【改善策】 |
ピッキング | 【現状のオペレーション】 【課題】 【改善策】 |
在庫の更新 | 【現状のオペレーション】 |
棚卸し | 【現状のオペレーション】 【課題】 【改善案】 |
このように、業務フローを一つ一つ分解し、各工程にどのような課題が潜んでいるかを特定します。
業務フローの見直しは、上層部だけではなく現場のスタッフも交えて行うのがおすすめです。
実際に業務に携わっている現場の声を汲み取りながら、改善すべき業務はどこか、どんなことに困っているかを分析しましょう。
1-2. 新たにシステムを導入する
業務フローを見直しても在庫管理の課題が改善されない場合は、新たにシステムを導入するという方法が有効です。
ここでは、在庫管理の課題を改善するシステムとして有効とされる
・在庫管理システム
・受発注システム
の2つについて、どのようなシステムなのか、導入することでどのような効果を得られるのかを解説します。
1-2-1. 在庫管理システム
在庫管理を改善するシステムとして最も一般的なのが、在庫管理システムです。
【在庫管理システムとは?】 在庫の情報(数量・状態・保管場所など)をリアルタイムで把握・管理するためのシステム |
在庫管理システムの主な導入効果には、次のようなものがあります。
在庫管理システムの主な導入効果 |
業務の効率化 |
在庫の情報をバーコードで管理・ハンディターミナル等で読み取ることで、検品・ピッキング・棚卸などを作業を半自動化※し、作業スピードが上がる |
ヒューマンエラーの防止 |
手入力・目視によって発生していたミスを削減できる |
適正在庫の維持 |
在庫数に応じたアラート機能・自動発注機能によって欠品・過剰在庫を防ぐ |
リアルタイムの在庫情報の把握・共有 |
実在庫と理論在庫のズレをなくし、いつでも誰でも取引先からの在庫確認に迅速に対応できる |
※半自動化とは?:バーコードを読み取る作業には人の手が必要であるため完全自動化はできないが、システムへの入力やリストへの記入が不要になる
在庫管理システムと手書きやExcelを使った在庫管理との決定的な違いは、「在庫管理業務の半自動化」と「リアルタイムの情報共有」です。
紙のリストに手書きで記入・システムに手入力していた作業を、バーコードとハンディターミナル等を用いて半自動化することで、作業効率の向上やヒューマンエラーの削減に役立ちます。
さらに、入出荷の情報をシステム内に反映させることで常にリアルタイムの在庫状況をスタッフ全員が共有できるため、顧客から在庫確認の問い合わせがあった際に
・最新の情報に更新されていなかった在庫管理表を見て、誤った在庫数を伝えてしまう
・あるスタッフが在庫を確認して「まだある」と答えた直後に、別のスタッフが同じ商品を受注処理してしまい、結果的に欠品となる
といったよくあるトラブルを防止できます。
このように、在庫管理システムの導入は、卸売業の在庫管理を改善する方法として最も効率的かつ強力な手段であると言えるでしょう。
1-2-2. 受発注システム
受発注システムも、在庫管理を改善するシステムの一つです。
【受発注システムとは?】 商取引(受注と発注)をデジタル化し、効率的に管理するシステムのこと |
受発注システムの主な導入効果には、次のようなものがあります。
受発注システムの主な導入効果 |
受発注業務の効率化 |
小売店等の顧客から電話・FAX・メールで受けていた注文をWeb注文で一元化することで、作業効率が大幅に向上する |
受発注業務のヒューマンエラーを防止 |
電話による聞き間違い、FAXの誤入力によるトラブルを防止する |
リアルタイムの在庫状況の把握・共有 |
・顧客から在庫確認の問い合わせがあった際、いつでも誰でも迅速に対応できる |
在庫管理が在庫管理業務全体を最適化するシステムであるのに対し、受発注システムはその中でも受発注業務の最適化に特化したシステムです。
そのため、カバーできる業務の範囲は在庫管理システムよりも限定的ですが、
・受発注業務に大幅な時間を取られてしまう
・取引先が多く在庫確認対応に追われ現場が回らない
・欠品の商品の注文を受けてしまう等のミスが多発する
といったお悩みを抱えている企業には大きな改善効果が期待できます。
また、「リアルタイムの在庫を確認できる」という点においては在庫管理システムと受発注システムは共通していますが、両者の「リアルタイムの在庫」は意味合いが若干異なります。
在庫管理システムと受発注システムで確認できる「リアルタイムの在庫」の違い |
在庫管理システムで確認できるのは「現在倉庫にある在庫の数」(実在庫ベース) |
受発注システムで確認できるのは「現在受注できる在庫の数」(注文状況ベース) |
顧客から在庫があるかどうかを尋ねられた際、倉庫の中に在庫が残っていてもそれら全てに他社からの注文が入っていた場合、受発注システム上の在庫はゼロ(=欠品)ということになります。
このように、「現在受注できる在庫の数」をリアルタイムで確認・共有できるのは、在庫管理における受発注システムの大きなメリットであると言えるでしょう。
受発注システムとは何かをさらに詳しく知りたい場合は、以下の記事をご覧ください。
>>「受発注システムとは?3つの種類とデメリットや導入手順まで解説」
1-3. まずは業務の見直し、解決しなければシステム導入がおすすめ
ここまでの内容をまとめると、卸売業の在庫管理を改善するためには、「まずは業務の見直し、解決しなければシステム導入がおすすめ」というのが本記事の結論です。
日々の業務に明確な無駄や穴があった場合、
・新たにルールを作って業務の属人化を防ぐ
・ミスが発生しやすい箇所にはダブルチェックを入れる
・明らかに二度手間になっている業務工程は省略する
といった方法で多少の改善を見込めるかもしれませんが、そうは言っても業務による改善には限界があります。
業務の見直しで改善されない在庫管理の課題(一例) |
取り扱う在庫の数や種類が多く、複数人で何度カウントしても理論在庫と実在庫の数が合わない →人の手と目で確認するには限界があるため、 ・入荷時の在庫登録 をシステムで自動化させ、差異が出る要素を一つずつ潰していく必要がある |
在庫確認の電話が1日に何十件も来るが、対応できるスタッフはたった2人であるため、他の業務に手を付けられず残業になってしまう →電話対応スタッフを増やさない限り業務レベルでは改善できない |
上記の例のように、
・どれだけ無駄を省いても追いつかない業務
・どれだけ工夫してもミスが発生してしまう業務
に関しては、システムの導入による自動化を検討するのが賢明だと言えるでしょう。
在庫管理の課題を「業務の見直し」と「システムの導入」のどちらで解決できるかは、貴社が抱えている課題の種類や深刻度によって異なります。
次章では卸売業の在庫管理改善の実践編として、課題別の改善方法を詳しくご紹介しますので、ぜひご覧ください。
2. 卸売業にありがちな在庫管理の課題と改善方法【実践編】
続いては、卸売業にありがちな在庫管理の課題と、実践的な改善方法を紹介します。
卸売業にありがちな在庫管理の課題 |
1.欠品が頻発する |
それぞれの課題が発生する原因と、改善方法を
・業務改善レベル
・システムレベル(業務改善レベルで対処できない場合)
の2段階で解説するので、貴社の在庫管理の課題として当てはまりそうなものは全てご確認ください。
2-1. 欠品が頻発する
卸売業にありがちな在庫管理の課題として、「欠品が頻発する」というものがあります。
欠品とは、小売店等の顧客から注文を受けた際、在庫が足りず需要を満たせないという状態です。
欠品が頻発する原因と、原因別の改善方法を詳しく見てみましょう。
欠品が頻発する5つの原因と改善方法 |
原因1.需要予測の精度が低い |
卸売業者が需要を予測し仕入れた数よりも多くの注文が入ることで欠品が発生するケース |
改善方法 【システムレベル】 |
原因2.発注ミス |
発注業務の担当者が ・本来必要な数量よりも少なく発注してしまう(FAXでの記入ミス・電話での伝え間違いなど) 等のヒューマンエラーを起こすことによって欠品が発生する |
改善方法 【システムレベル】 |
原因3.理論在庫と実在庫にズレが生じている |
自社で管理している在庫情報(Excel・基幹システム・紙のリストなど)と実際の在庫数に差異があった場合、「注文を受けて倉庫に在庫を取りにいったら数が足りなかった」といった事態が発生する |
改善方法 【システムレベル】 |
原因4.発注リードタイムの見積もりが甘い |
商品を発注してから納品されるまでの時間を短く見積もっていると、予定していた日時に在庫が確保できず欠品が発生する |
改善方法 【システムレベル】 |
欠品の頻発は、「欲しい商品をすぐに提供してくれない卸売業者」といった印象を与えてしまうことから、顧客満足度や信用を落とす要因になりかねません。
上の表から原因に当てはまるものを探し、早急に対策しましょう。
2-2. 過剰在庫が倉庫スペースを圧迫している
過剰在庫が倉庫スペースを圧迫しているというのも、卸売業によくある在庫管理の課題です。
過剰在庫が発生する原因と改善方法にはどのようなものがあるのか、以下の表をご覧ください。
過剰在庫が発生する4つの原因と改善方法 |
原因1.需要予測の精度が低い |
顧客の需要を正確に予測できず、実際の需要を上回る量の在庫を発注してしまうケース |
改善方法 【システムレベル】 |
原因2.理論在庫と実在庫にズレが生じている |
Excelや基幹システムで管理している在庫情報と実際の在庫数に差異があった場合、「もうすぐ在庫切れになりそうな商品を多めに発注したら、まだ倉庫に大量の在庫が残っていた」といったトラブルが発生する |
改善方法 【システムレベル】 |
原因3.最小発注単位(MOQ)が大きい |
「ケース単位での注文のみ・バラ売りは不可」など、仕入先の指定する最小発注単位が大きすぎる場合、必要最小限の在庫を仕入れることが難しく過剰在庫になりやすい |
改善方法 【システムレベル】 |
原因4.商品そのものの価値が低い |
商品そのものの魅力や価値が低いせいで顧客からの注文が入らず在庫が余ってしまうケース |
改善方法 【システムレベル】 |
需要予測や理論在庫と実在庫の差異など、発生原因が欠品と似通っている一方で、業務レベルでなければ本質的な改善が期待できないケースもあるというのが過剰在庫の特徴です。
過剰在庫の問題を放置しておくと、
・保管コストがかさむ
・ピッキング等の倉庫業務の効率が下がる
・取り扱える商品の種類が限定されてしまう
といったリスクがあるため、早めに対処する必要があります。
2-3. 棚卸しに時間がかかる
棚卸しに時間がかかるというのも、卸売業にありがちな在庫管理の課題です。
棚卸しに時間がかかる原因と改善方法には、次のようなものがあります。
棚卸しに時間がかかる2つの原因と改善方法 |
原因1.手作業に依存している |
・目視によるカウント といった人手依存の棚卸し作業は、時間がかかりミスも発生しやすい |
改善方法 【システムレベル】 |
原因2.倉庫内が雑然としており、どこに何があるかわからない |
倉庫内の商品の配置に明確な秩序がなく、カウントする商品を探し出すのに時間がかかってしまうケース |
改善方法 【システムレベル】 |
人手依存の棚卸作業は、どれだけ効率化の工夫をしても短縮できる作業時間には限界があります。
そのため、棚卸しに時間がかかることでお悩みの場合は、在庫管理システムの導入が最もシンプルかつ効果的な対策であると言えるでしょう。
2-4. 賞味・使用期限の管理が行き届かず廃棄の在庫が発生する
卸売業にありがちな在庫管理の課題として、「賞味・使用期限の管理が行き届かず廃棄の在庫が発生する」というものも存在します。
こちらは、卸売業の中でも食品・医薬品など期限のある商品を取り扱う業界によくある課題です。
原因別に改善方法を見ていきましょう。
賞味・使用期限の管理が行き届かない原因と改善方法 |
原因1.確認漏れ |
賞味・使用期限のある商品を保管する倉庫では、棚卸しなどのタイミングで期限が近づいていないかを定期的に確認するのが一般的だが、この確認がヒューマンエラーにより漏れることで期限切れおよび廃棄が発生する |
改善方法 【システムレベル】 |
原因2.「先入れ先出し」を徹底していない |
賞味・使用期限のある商品の在庫管理は、入荷日の古い商品から順に出荷する「先入れ先出し」が鉄則だが、これを徹底していないといつまでも出荷されず期限切れ・廃棄となる商品が出てくる |
改善方法 【システムレベル】 |
在庫の期限切れ・廃棄の問題は明確なルールを作りスタッフ全員に遵守するよう教育することで一定のレベルまでは改善が期待できますが、人の目に依存している以上ヒューマンエラーのリスクは完全には回避できません。
そのため、こちらの課題においても期限をデータで管理できる在庫管理システムの導入が最適解だと言えるでしょう。
2-5. 取引先からの急な要望の対応に追われている
卸売業にありがちな在庫管理の課題、最後は「取引先からの急な要望の対応に追われている」です。
卸売業の特性として、「仕入先」と「納入先」の板挟みになり、両者の要望に応えようとして業務が煩雑になりやすいというものがあります。
【仕入先・納入先の板挟みになる卸売業(イメージ)】
あなたの会社は仕入先・納入先のどのような要望への対応にお困りでしょうか。
以下の表から当てはまるものを探し、対処法をご確認ください。
対応が煩雑になりやすい取引先からの急な要望と対処法 |
1.頻繁な在庫数の確認 |
仕入先・納入先から特定の商品の在庫数を確認する電話が1日何件もかかってくるため、在庫の確認→報告の作業に時間を費やし負担になるケース |
対処法 【システムレベル】 ※在庫管理システムは在庫状況を社内で把握するシステムであるため、上記のような取引先が閲覧できるような機能は基本的にない |
2.納入先によって納期が異なる |
「A社は発注から3日以内」「B社は翌日中」「C社は1週間以内だが、特定の商品のみ3日以内」など、納期の希望が異なる納入先を複数抱えることでリードタイムの管理が複雑になり、納期遅延・誤発注などのトラブルにつながる |
改善方法 【システムレベル】 |
取引先からの問い合わせや要望への対応は、主に受発注業務に該当するケースが多いため、在庫管理システムよりも受発注システムの方が課題の解決策として適している可能性が高いです。
3. 卸売業の在庫管理が難しい3つの理由
続いては、卸売業の在庫管理が難しい理由について
・取り扱う商品の量・種類が多く在庫管理が煩雑になりやすい
・取引先の都合に左右され、自社のペースで在庫管理ができない
・【結論】新たにシステムを導入しなければ在庫管理を改善できないケースが多い
の順にお話しします。
卸売業ではなぜ在庫管理の課題が尽きないのか、在庫管理の難しさを乗り越えるためには何をすべきなのか、詳しく見ていきましょう。
3-1. 取り扱う商品の量・種類が多く在庫管理が煩雑になりやすい
卸売業の在庫管理が難しい最大の理由とも言えるのが、「取り扱う商品の量・種類が多く在庫管理が煩雑になりやすい」という点です。
卸売業は多様な顧客ニーズに応えるため、多品目・多数のアイテムを常に取り扱っているのが一般的です。
多種多様な在庫を正確に管理するには、
・適正在庫を維持するための需要予測
・商品の配置(ロケーション)の管理
・倉庫スペースの有効活用
・定期的な棚卸し
といった多岐にわたる業務が発生します。
しかし実際の現場では、上記のような業務に手が回らないケースも少なくありません。
卸売業の在庫管理の理想と現実 | |
理想 | 現実 |
精度の高い需要予測で適正在庫を維持 | 膨大な過去の入出荷データを分析する余裕がなく、ベテランスタッフの感覚頼りで発注してしまう |
入出荷に最適化されたロケーション管理 ・商品ごとの定位置を設け、棚番号などで管理する ・出入りが激しいものは取り出しやすい場所に置く等の明確なルールを設け、全スタッフに共有 | ・在庫の出入りが激しく、一つ一つを管理する余裕がない ・倉庫内が雑然としており、どこに何があるかわからない |
月に1回の循環棚卸を行い、理論在庫と実在庫の差異を小まめに調整する | ・膨大な量の在庫をカウントしなければならず、1回につき数名のスタッフ・数日を要するため、人員が割けず年一回の期末棚卸しか実施できていない ・理論在庫と実在庫に大幅なズレが生じ、欠品や過剰在庫が頻発する |
上記のような業務の停滞は、特に在庫管理システムや受発注システムを導入せず
・電話・FAX
・手書きやExcelで記入する管理表
・基幹システム
といった比較的アナログな方法で在庫管理をしている卸業者で起こりやすいです。
このように、商品の量と種類の多さが、卸売業の在庫管理を難しくしています。
3-2. 取引先の都合に左右され、自社のペースで在庫管理ができない
取引先の都合に左右され、自社のペースで在庫管理ができないというのも、卸売業の在庫管理が難しい理由の一つです。
取引先(仕入先・納入先)の数や取り扱う商品の種類が多くなればなるほど、
・保管方法
・納期
・需要の動向
・回転率
といった商品ごとに違うルールが増えていきます。
そのため、
・適正在庫数は何個に設定するか?
・補充のタイミングはいつにするか?
といった判断は、取引先の都合を考慮したルールを元に下さなければなりません。
ここで、「取引先の都合に左右され自社のペースで在庫管理ができない」とは具体的にどのような状況か、例を見てみましょう。
取引先の都合に左右され自社のペースで在庫管理ができないケース(例) |
ケース1.急な需要増加が発生するケース |
医薬品を取り扱う卸売業者に、取引先である多数の病院や薬局から「インフルエンザ流行で突発的な需要増加が発生した。特定薬品を今すぐ大量に納品してほしい」と要請があった →卸売業者は通常の在庫管理計画を大幅に修正しなければならず、 ・緊急度の低い取引先に納期延長を打診する などの対応に追われた |
ケース2.納入先によって希望納期にばらつきがある |
本当は注文を受けた順に出荷準備を進めたいが、 ・A社は発注から3日以内 といった希望納期を提示されている場合、「B社→C社の特定商品→A社→C社のその他の商品」の順で出荷準備を進めなければならず、スケジュール管理が煩雑になる |
上記の例のように、仕入先と納入先の橋渡しの役割を果たす卸売業では、取引先の都合に合わせた在庫管理の最適化が求められます。
これは、卸売業ならではの在庫管理が難しい理由だと言えるでしょう。
3-3. 【結論】新たにシステムを導入しなければ在庫管理を改善できないケースが多い
ここまでは、卸売業の在庫管理が難しい2つの理由
・取り扱う商品の量・種類が多く在庫管理が煩雑になりやすい
・取引先の都合に左右され、自社のペースで在庫管理ができない
について解説してきましたが、「新たにシステムを導入しなければ在庫管理を改善できないケースが多い」というのが本記事の結論です。
記事の冒頭「1-3.まずは業務の見直し、解決しなければシステム導入がおすすめ」でもお伝えしたとおり、業務レベルで改善できる範囲は極めて限定的であり、実際には卸売業における在庫管理の課題の多くはシステムを導入しなければ改善できないというのが現実です。
【課題別】業務レベル・システムレベルでの改善期待値 | ||
課題 | 業務レベルでの改善 | システムレベルでの改善 |
欠品の頻発 | △ | ◯ |
慢性的な過剰在庫 | △ | △ |
棚卸しに時間がかかる | △ | ◎ |
賞味・使用期限のある商品の廃棄 | △ | ◯ |
取引先の急な要望への対応に追われる | △ | ◎ |
特に棚卸しや在庫確認の電話対応など効率が求められる業務においては、業務の一部をシステムに代替し自動化させなければ十分な改善効果は期待できません。
システム導入はコストも時間もかかるため
「できれば業務改善でなんとか対処したい」
と考える卸売業者様は多いかもしれませんが、企業存続のために必要なコストだと割り切ってシステム導入を検討してみてはいかがでしょうか。
4. 卸売業の在庫管理改善におすすめのシステム
最後は、卸売業の在庫管理改善におすすめのシステムをご紹介します。
・卸売業向け受発注システム「WONDERCART」
「WONDERCART(ワンダーカート)」は、商品データを活用して在庫確認や価格の問い合わせ対応を削減し、業務効率化を促進するBtoB受発注システムです。
商品画像・在庫数・最終更新日が表示されるので、「どんな商品?」「在庫はある?」といった問い合わせが不要に。
取引先にとって便利な、画像付き見積書・提案書・商品一覧リストがカンタンに作成できる機能も備えています。
今までの取引方法から変えたくないという取引先にも取り入れていただきやすいシステムです。
卸売業向け受発注システム「WONDERCART」の概要 | |
主な機能(一例) | ・在庫表示(取引先がリアルタイムで確認できる) |
特長 | ・在庫確認対応や発注対応など、問い合わせの対応コストを削減できる ・業務用カタログ制作を50年やってきた会社が開発したため、卸・商社の業務フローや課題を考慮した機能が搭載されている ・取引先ごとに見せる商品を選べる ・自社のビジネス特性に合わせて大きくカスタマイズできる(使っている基幹システムとの連携など) |
卸売業の導入成功事例 | 受発注システム導入により、受発注業務の効率化・顧客満足度向上に成功 陶器を取り扱う商社・B社では、WONDERCARTの導入後、提案書・見積書の作成スピードが2倍に向上した。 さらに、取引先が在庫状況をリアルタイムで確認できるようになったことで、電話による問い合わせ対応業務の削減・顧客満足度の向上にも成功した |

WONDERCARTの注目すべき代表的な特長と言えるのが、企業のビジネス特性に合わせてシステムをカスタマイズができる「柔軟性」です。
50年以上にわたり業務用カタログを制作し、多くの商社の業務フローや課題と向き合ってきたノウハウを生かし、貴社の課題をより効果的に解決する方法を提案します。
WONDERCARTについてさらに詳しく知りたい場合は、以下のボタンから詳細な情報をご確認ください。
導入を検討されている企業様はもちろん、「どんなものか話だけ聞いてみたい」という企業様もぜひ、お気軽にお問い合わせください。
また、「卸売業に特化しているかどうかは問わず、さまざまな在庫管理システムを色々見て比較したい」という場合は、こちらの記事を参考にしてください。
>>「在庫管理システムおすすめ14選!選ぶ際の比較ポイントも併せて解説」
5. まとめ
最後に、本記事の重要ポイントをおさらいします。
▼卸売業の在庫管理を改善する方法
・業務フローを見直す →まずは業務の見直し、解決しなければシステム導入がおすすめ |
▼卸売業にありがちな在庫管理の課題と改善方法【実践編】
・欠品が頻発する ・過剰在庫が倉庫スペースを圧迫している ・棚卸しに時間がかかる ・賞味・使用期限の管理が行き届かず廃棄の在庫が発生する(食品・医薬品等) ・取引先からの急な要望の対応に追われている |
▼卸売業の在庫管理が難しい理由
・取り扱う商品の量・種類が多く在庫管理が煩雑になりやすい →在庫管理が難しい卸売業では、新たにシステムを導入しなければ改善できないケースが多い |
▼卸売業の在庫管理改善におすすめのシステム
・卸売業向け受発注システム「WONDERCART」 |
本記事の内容が、貴社の在庫管理改善の参考になりましたら幸いです。
#卸売 #在庫管理
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