オフショア開発のメリット・デメリットを解説|成功に導く開発事例付き

近年、あらゆる業界でDX(デジタルトランスフォーメーション)が推進されていますが、その現場では常に「エンジニア不足」や「開発費の高騰」といった課題に悩まされています。  

新規システムの構築やリニューアルを進めたいものの、国内では優秀なエンジニアが確保できない、あるいは見積もりが予算を大幅に超過してしまう――。 
そのような悩みを抱えるプロジェクト担当者様も多いのではないでしょうか。 

これらの課題を解決する有効な手段として、すでに多くの企業で定着しているのが「オフショア開発」です。 
海外の豊富なIT人材を活用することで、コストを最適化しつつ、スピーディーな開発体制を構築できる手法として、年々その重要性は増しています。 

一方で、「海外への委託は品質が不安」「コストダウンと引き換えに、品質が落ちるのでは?」といった懸念の声も少なくありません。 

そこで本記事では、オフショア開発の基礎知識や導入メリット・デメリットを整理して解説します。 
あわせて、実際に私たちがベトナムのパートナー企業と協業して開発したBtoB受発注システム「WONDERCART」の事例をご紹介。  
実際のプロダクト開発を通じて見えてきた、現代のオフショア開発の可能性と成功のポイントについて詳しく解説します。 

【この記事でわかること】 

  • オフショア開発の3大メリット(コスト・人材確保・スピード) 
  • 「品質」や「コミュニケーション」の壁を乗り越える方法 
  • 【実例】ベトナム開発で成功したBtoBシステム「WONDERCART」の事例 

    1.オフショア開発のメリットとは?(基本編)

    まず、オフショア開発がこれほど多くの日本企業に選ばれている根本的な理由、そのメリットについて整理します。 

    1-1. 【メリット1】大幅なコスト削減(開発費・人件費) 

    最大のメリットは、やはりコストパフォーマンスの高さです。  
    円安の影響で以前ほどの格差はないと言われることもありますが、それでも日本とベトナムなどの主要オフショア開発国との間には、依然として人件費に大きな開きがあります。 

    日本のエンジニア単価が高騰を続ける一方で、オフショア開発を活用すれば、同等のスキルセットを持つエンジニアをより低い単価で確保可能です。  
    また、コストメリットは単なる「人件費(単価)」だけではありません。 

    国内でエンジニアを正社員として雇用する場合に発生する採用コスト、社会保険料、オフィス賃料などの固定費も、委託することで大幅に削減できる点も、経営的な大きなメリットです。 

    1-2. 【メリット2】優秀なIT人材・リソースの即時確保 

    「コスト」以上に深刻な課題となっているのが、日本国内の「IT人材不足」です。 
    経済産業省の試算IT人材需給に関する調査」2019年3でも、今後ますますIT人材の不足数は拡大し、2030年には最大で約79万人が不足すると予測されており、国内だけで優秀なエンジニアを採用するのは極めて困難な状況です。 

    一方、ベトナムなどのオフショア開発国では、国策としてIT教育に力を入れており、若くて優秀なエンジニアが毎年数多く輩出されています。  
    国内では数ヶ月かけても採用できなかった人数を、オフショアであれば数週間でチーム化できるケースも珍しくありません。  

    必要なタイミングで、必要な規模の開発チームを柔軟に構築できる「スケーラビリティ(拡張性)」は、ビジネスのスピードを落とさないための重要な要素です。 

    1-3. 【メリット3】開発スピードの向上 

    豊富なリソースを確保しやすいということは、開発スピードの向上に直結します。  
    国内開発ではリソース不足により、少人数で長期間かけて開発せざるを得ないプロジェクトでも、オフショア開発であれば大量のリソースを一度に投入し、短納期で開発を進めることが可能です。 

    市場の変化が激しい現代において、システムをいち早くリリースし、機会損失を防ぐことができる点は、コスト以上の価値を生む場合があります。 

    ここまで、コストやリソースといった定量的なメリットを見てきました。  
    しかし、「いくら安くても、品質が悪ければ意味がない」と不安に感じる方も多いのではないでしょうか。  

    そこで次章では、かつての「安かろう悪かろう」というイメージとは大きく異なる、現代のオフショア開発における技術力の実態について解説します。 

    2.技術力と品質の現在地。進化するオフショア開発事情

    かつては「コスト削減のために品質は妥協せざるを得ない」と考えられた時代もありました。 
    しかし、現在のオフショア開発事情は大きく変化しています。 

    2-1. 技術力の向上と日本語対応 

    現在のオフショア開発拠点、特にベトナムなどの主要国では、技術レベルが飛躍的に向上しています。  
    単に指示されたコードを書くだけの下流工程だけでなく、要件定義や設計といった上流工程から参画できるパートナーも増えてきており、技術面でのメリットも大きくなっています。 

    また、AI(人工知能)、ブロックチェーン、クラウドネイティブな開発など、最新技術への対応も早く、日本国内の平均的な開発会社よりも高い技術力を持つケースも少なくありません。 
    言語の壁についても、日本語能力試験(JLPT)の上位資格を持つ「ブリッジSE(エンジニアと日本側の橋渡し役)」の質が向上しており、円滑なコミュニケーションが可能になっています。 

    2-2. BtoBシステムの複雑な要件にも対応可能 

    「簡単なアプリならいいが、複雑な業務システムは無理だろう」という認識も、今や過去のものです。  
    現在では、堅牢なセキュリティや複雑なデータ処理が求められるECサイト、基幹システム、受発注システムなどの開発実績も豊富に蓄積されています。 

    実際に、日本の商習慣特有の複雑な要件が求められるBtoBシステムであっても、適切なプロセスを踏めば、国内開発と遜色ない品質で開発することが可能です。  

    このように、技術面における日本との格差は解消されつつあります。  
    とはいえ、言語や文化の異なる海外拠点と連携する以上、国内開発とは異なる難しさがあるのも事実です。  

    オフショア開発のメリットを最大限に活かすために、避けては通れない「デメリット」と、それを乗り越えるための「対策」について詳しく見ていきましょう。 

    3.メリットを最大化するためのデメリット対策

    もちろん、メリットばかりではありません。 
    オフショア開発特有の課題と、それを乗り越えるための対策を理解しておくことが成功の鍵です。 

    3-1. コミュニケーションの壁 

    海外の開発チームと仕事をする上で、最も懸念されるのが「言語」や「文化・商習慣」の違いによるコミュニケーションの齟齬(そご)です。  
    日本独自の「空気を読む(言わなくても察する)」という文化は、海外では通用しません。 

    指示が曖昧だと、意図と異なるものが出来上がってくるリスクがあります。 
    「仕組みで守られている」という安心感があって初めて、日本側は開発のディレクションに集中できるのです。 

    【対策】 

    • ブリッジSEの活用: 日本語と現地の言葉、そして技術に精通した「ブリッジSE」を介することで、正確な意思疎通を図ります。 
    • 視覚的な仕様書: 文字だけの仕様書ではなく、図や画面イメージを多用し、視覚的に認識を合わせます。 
    • 曖昧さを排除する: 要件を言語化し、細部まで明確に伝える文化を定着させることが重要です。 

      3-2. 品質管理の難しさ 

      日本企業は世界的に見ても品質に対する要求レベルが高く、特に使い勝手(UI/UX)や細かな挙動に対するこだわりは独特なものがあります。  
      この感覚を現地のエンジニアと共有しきれず、機能は満たしていても「使いにくい」システムになってしまうケースがあります。 

      【対策】 

      • こまめなレビュー: 完成してから確認するのではなく、開発途中で細かく成果物を確認し、フィードバックを行うサイクルを作ります。 
      • 日本側のPMによる伴走: プロジェクトマネージャー(PM)が品質のゲートキーパーとなり、日本水準の品質を担保します。 

      こうした課題に対し、当社ではパートナー企業と密に連携する体制を築くことで、リスクを解消しています。  
      次章では、そうした「壁」を乗り越え、高機能なBtoB向け受発注システムを実際に開発した事例を紹介します。 

      4.【成功事例】ベトナムオフショアで開発された「WONDERCART」

      ここからは、実際にベトナムのパートナー企業と協業して開発されたBtoB受発注システム「WONDERCART」を事例として取り上げます。  
      オフショア開発が、実際のビジネス要件にどこまで適応できるのか、客観的にその成果を検証します。 

      4-1. BtoB受発注システム「WONDERCART」とは 

      「WONDERCART」は、企業間の受発注業務をオンラインで一元管理し、DX推進に貢献するために開発されたプラットフォームです。  
      一般的なECサイトとは異なり、顧客ごとの掛け率設定や在庫管理、請求書発行といった、BtoB取引特有の複雑な商習慣がシステム要件として組み込まれています。  

      既存の基幹システムとの連携も必須となるため、高い堅牢性と柔軟なカスタマイズ性が求められるプロダクトとして設計されました。 

      4-2. なぜオフショア開発を選んだのか? 

      本プロジェクトにおいてオフショア開発を採用した背景には、大きく2つの戦略的な理由があります。 

      • リソース配分の最適化: 高機能なシステム構築には膨大な開発工数が伴います。 
        国内開発のみでは予算超過のリスクが高かったため、コストを抑えつつ十分な人的リソースを確保する手段として、海外拠点との連携が必要と判断されました。 
      • 市場対応スピードの確保: 変化の激しい市場ニーズに即応するため、スピーディーな機能追加や改善サイクルを回せる体制構築が不可欠でした。 

      4-3. 開発を通じて実証されたオフショア開発のメリット 

      開発の結果、本プロジェクトでは以下のメリットが実証されました。 

      • コスト対機能の最大化: 国内リソースのみで同規模の開発を行った場合と比較し、開発コストの大幅な圧縮を実現。 
        浮いたリソースを機能拡張に充てることで、予算内で実装できる機能の幅を広げることに成功しています。 
      • 日本水準の品質担保: 懸念されがちな「品質」についても、綿密なコミュニケーションフローとテスト体制を確立することで、日本企業の厳しい業務要件に耐えうる安定稼働を実現しました。 

      適切なマネジメントとパートナー選定さえ行えば、業務基幹に関わる難易度の高いシステムであっても、オフショア開発で十分に実現可能であることがお分かりいただけるはずです。 

      5.まとめ|オフショア開発を検討中の方へ 

      本記事では、オフショア開発のメリット・デメリットから、実際にBtoBシステムを開発した成功事例までをご紹介しました。 

      オフショア開発は、単なる「コスト削減」の手段ではありません。  
      国内の人材不足を補い、ビジネスを加速させ、高品質なプロダクトをいち早く市場に届けるための戦略的な選択肢です。 

      もちろん、言語や文化の壁といった課題は存在します。 
      しかし、それは適切なパートナーを選び、密な協業体制を築くことで十分に克服可能です。 

       「安さ」だけでなく、「技術力」と「実績」を重視してパートナーを選ぶことこそが、プロジェクトを成功に導く鍵となるでしょう。

      オフショア開発の実力を、実際のプロダクトで確かめてみませんか? 

      「オフショア開発で本当に日本の業務に耐えうるシステムが作れるの?」
      その疑問への答えが、私たちが開発したBtoB受発注システム「WONDERCART」です。
       

      ベトナムの優秀なエンジニアチームと協業し、コストを抑えながらも高機能・高品質を実現しました。  
      オフショア開発の「品質」や「成果」を確認したい方は、ぜひWONDERCARTの資料をご覧ください。 

      具体的な機能や費用については、以下の資料でご確認ください。

       

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