アパレル在庫管理の鍵は不正在庫の見極め!基本の流れと効率化のコツ

「アパレルの在庫管理ってどうしたらいいのだろう?アイテムは多いしシーズンによって入れ替わるし、在庫が入り乱れてもうわからない」
「アパレルの在庫管理を適正化させて会社を立て直したい!売り切れていない在庫がたくさんあってキャッシュフローの悪化が止まらない」

膨大な商品を扱うアパレル卸のなかには、このように在庫管理がうまくいかず会社の経営危機に陥っている方もいるでしょう。

アパレルの在庫管理の鍵は、不良在庫を見極めて適正化することです。

不良在庫を見極められれば、現在抱えている在庫をできるだけ早く売れるよう手はずを整えられ、その後の入荷量の調整もできるようになります。
結果的に不良在庫を抱えることなく、経営を進めることができるようになるのです。

とはいえアパレルの在庫管理は、ほかの業界の卸同様にやり方を進めればうまくいくというものではありません。
なぜならアパレル業界だからこそ抱えやすい、在庫管理の難しさがあるからです。

そこで本記事では、アパレル卸に特化した在庫管理方法を解説します。

本記事を読んでわかること

・アパレル卸が在庫管理をどうすればいいのかわかる
・アパレル卸の基本的な在庫管理の流れを理解できる
・アパレル卸が在庫管理に利用できるツールがわかる
・アパレル卸ならではの在庫管理方法がわかる

本記事を読めば、アパレル卸の適切な在庫管理方法がわかり、欠品を防ぎながら必要量だけを確保できます。
ぜひこのまま本記事を読み進めて、アパレル卸にとって最適な在庫管理方法を理解しましょう。

1. アパレル在庫管理の鍵は、不良在庫を見極めて在庫を適正化すること!

アパレルの在庫管理の鍵は、倉庫から一定期間動きのない不良在庫を見極めて適正化することです。

不良在庫があると商品の仕入れ金額を回収できないため、キャッシュフローの悪化リスクが高まります。
長期的に売れなければ流行遅れや品質の劣化を招いて定価での販売が難しくなり、セール品でも買い手が付かなければ最終的に処分せざるを得ないケースもあります。

また、不良在庫の管理費用も無視できません。
不良在庫の保管費用や人件費は商品が売れない期間に継続的にかかってしまうため、動きがない在庫を見極めてできるだけ在庫の回転率を早める必要があるのです。

とはいえアパレルの在庫管理は業界の特徴的に難しく、不良在庫を抱えてしまいがちだということも事実です。

アパレルの在庫管理は難しい!!

トレンドの変化

流行に左右されやすい。
1シーズンごとにトレンドの変化が起こるため、ズレてしまえばすぐ商品価値の低下につながる。

取り扱うアイテムの種類が多い

衣類からバッグ・帽子・アクセサリーまでさまざま。
性別、色違い、サイズ違いなど同じ商品でも幅広く取り扱う。

商品の需要予測が難しい

トレンドだけでなく、季節要因や経済状況なども商品の売れ行きに影響を与えるので、在庫をどれだけ確保すべきか判断しかねる。

返品リスクがある

食品と異なり返品もできるため、再び在庫として管理することになり得る。

次の章からは具体的に、アパレルの在庫管理をどうしていけば不良在庫を減らせるのかについて解説していきますので、一緒に見ていきましょう。

2. アパレルの在庫管理の基本の流れ

アパレルの在庫管理では、不良在庫を減らすことが大きなポイントになることを、おわかりいただけたかと思います。

ここではまず、アパレルの在庫管理の基本の流れをおさらいしていきましょう。

・棚卸しで現在の在庫数と状況を正確に把握する
・適正な在庫量を定める
・発注のタイミングを最適化する
・結果を考慮しながら最適化していく

順番に解説します。

2-1. 棚卸しで現在の在庫数と状況を正確に把握する

アパレルの在庫管理の基本の流れとしてまずはじめに、棚卸しで現在の在庫数と状況を正確に把握していきます。
棚卸をしなければ正しい在庫数が曖昧になり、適正在庫を判断できません。

またアパレルのように多くの商品を扱う場合は、ないと思っていたはずの在庫があって過剰発注の原因になったり、売り逃したりすることにもつながりやすいため、棚卸しは定期的にすべき在庫管理項目です。

実際に在庫管理をするときは、以下の手順でおこないます。

棚卸手順

具体的な内容

棚卸表を作成する

在庫量や金額などを記入する一覧表を作成する

在庫の入出庫を止める

在庫が変動しないよう休業日や閉店後に作業を開始する

在庫をカウントしながら棚卸表へ入力する

目の前にある商品の在庫を数えて棚卸表へ入力する

棚卸でカウントした在庫と帳簿上の在庫を照合する

数量や金額などを照らし合わせて差異を確認する

以下のような項目を記載した棚卸表を作り、在庫をカウントするときの準備をします。

・棚卸実施日
・商品名
・製品コード
・数量
・単価
・在庫残高
・状態

このとき自力で棚卸表を一から作ると項目の漏れや手間が生じるため、テンプレートを活用したほうがいいでしょう。
テンプレートは「棚卸表 テンプレート」と検索すると複数の検索結果が表示されるので、使いやすいものを選んでください。

棚卸表の準備ができたら、閉店後など在庫が変動しない時間帯で実際に商品をカウントしていきます。
すべてのカウントを終えたとき、なかには差異が生じるものもあるでしょう。

在庫が合わない商品についてはカウントミスの可能性も含め、もう一度確認したうえで正しい在庫数を帳簿へ記載して棚卸は終了です。

2-2. 適正な在庫量を定める

現在の在庫数を把握できたら、不足でも過剰でもない適正な在庫量を定めます。

アパレルの卸業ではそのシーズンのピークに欠品とならず、なおかつ余らない在庫量を確保する必要があり、そのためにはまず「安全在庫+サイクル在庫」を算出します。

安全在庫

予期せぬ需要増加や供給の遅延などに耐えられる在庫量

サイクル在庫

定期的な発注や納品によって補充される、通常の需要を満たす在庫量

それぞれの算出方法を解説するので見ていきましょう。

2-2-1. 安全在庫

安全在庫を算出するときの計算式は以下のとおりです。

安全在庫の計算式

安全係数×使用量の標準偏差×√(発注リードタイム+発注間隔)

安全係数

欠品許容率のことで一般的に1.65を使用することが多い

使用量の標準偏差

これまでの実績から見た実際の需要数のバラつきを指し、ExcelSTDEV関数を用いるのがおすすめ。
1か月間の標準偏差 =STDEV.P1か月間の出庫数)

発注リードタイム

発注から商品の到着までにかかる期間

発注間隔

発注から次の発注までの日数

たとえば、以下のようなケースでは58個の在庫を用意しておけば欠品リスクを防げる計算になります。

・安全在庫係数:1.65
・標準偏差:10
・発注リードタイム:5
・発注間隔:7

安全在庫=1.65×10×√5+7=57.15758個必要

2-2-2. サイクル在庫

サイクル在庫は、以下の式で計算します。

サイクル在庫の計算式

一定期間の需要数÷2

たとえば以下のケースでは、サイクル在庫として1,000個商品を用意しておく必要があるとわかります。

1日当たりの需要数:400
需要期間が5日間

サイクル在庫=400×5÷21,0001,000個必要

そのため今回のケースにおいて適正な在庫量を定めるときは、「2-2-1. 安全在庫」と合わせると1,058
となります。

安全在庫+サイクル在庫=58+1,0001,058

とはいえ「1. アパレルの在庫管理の鍵は、不良在庫を見極めて適正化すること!」でもお伝えしたように、アパレル業界は流行や季節要因、経済状況などあらゆる要因によって需要の変動が起こり得ます。

「安全在庫+サイクル在庫」で計算した結果がすべてではなく、以下のような点にも注意しながら適正在庫を定めていくことが求められます。

適正在庫を決めるときに
考慮すべき点

詳細

1年間の平均在庫も計算する

アパレル業界はとくにシーズンごとの需要の違いが大きいので、1か月や1シーズンではなく1年間の平均在庫をチェックする

定期的に最適化させる

在庫過剰や欠品が出たときや1年に1度定期的に計算して、常に最適な在庫数を維持する

会社としての適正在庫を決める

企業全体で考えを統一すると、同じ目標に沿って在庫を最適化できる

在庫に優先順位をつける
ABC分析)

在庫の出荷量や売上順に優劣をつけて、重点的に管理べき商品を明確にする

ABC分析の詳細は以下の記事で解説していますので、参考にしてください。

在庫管理とは?重要性や顧客満足度向上につながる効率的な方法を解説

2-3. 発注のタイミングを最適化する

在庫管理をするときは、適切なタイミングを計算して発注することが重要です。
発注のタイミングを間違えてしまえば余剰在庫を抱えることになり、たとえいずれ売れる予定の商品であっても場所を取り管理の手間や人件費が取られてしまいます。

またどれだけ適正な在庫量を設定したとしても、急な需要の増加による在庫の変動は起こりうることなので、いつでも対応できるような環境を整えておく必要があるのです。

そこで最適な発注をするにあたって、発注方式には主に以下2パターンがあります。

発注方式

定量発注方式

定期発注方式

発注タイミング

定めた在庫数の基準を下回ったとき

定期的に決まった期間で発注

適した商品

・商品単価が安い
・需要変動が小さい
・リードタイムが短い

・商品単価が高い
・需要変動が大きい
・リードタイムが長い

メリット

発注の手間が少ない

経費コントロールができる

デメリット

急な需要変化への対応が難しい

発注の手間がかかる

どちらか一方で発注するというよりは定量発注方式と定期発注方式を商品に応じて使い分けると、適正在庫をキープしやすくなります。
たとえば定量発注方式には、需要が安定しているベーシックな基本アイテムや複数シーズンにわたって販売できる商品、標準的なサイズ展開の商品などに適しています。

一方定期発注方式は、春や秋などシーズンごとに着るものが異なるアウターやトップス、ボトムスといった商品に適しているでしょう。
採用している商品の発注方式を分類し、適切なタイミングで発注できるよう振り分けてください。

2-4. 結果を考慮しながら最適化していく

ここまでで在庫の確認から発注までの手順が整ったので、実際に発注していき結果を考慮しながら最適化していきます。
データ上でいくら在庫管理ができるしくみになっていても、実際にやってみるとうまくいかないことは出てくるものです。

在庫管理が適切にできている商品は方法をそのまま標準化させ、誤差が出た商品や在庫の過不足が看過できないような状態になった、改善が必要な商品に関してはやり方を変える必要があります。
在庫量の微調整や発注方式の見直しなどをおこないながら、自社が扱うアパレル商品に合った方法へ在庫管理の方法を最適化していきましょう。

3. アパレルの在庫管理をおこなう方法

アパレルの在庫管理の基本の流れを理解できたところで、どのような方法でおこなえばいいのかを見ていきたいと思います。

アパレルの在庫管理をおこなう方法は、以下3つです。

Excelの在庫管理表を活用する
・在庫管理アプリを活用する
・在庫管理システムを活用する

順番に解説します。

3-1. Excelの在庫管理表を活用する

Excelの在庫管理表のテンプレートを活用して、在庫管理ができます。
テンプレートには、基本的には以下の項目が盛り込まれているので、シンプルで誰でも扱いやすいでしょう。

Excelで管理できること

・管理番号
・商品名
・管理場所
・在庫数
・入出庫数

Excelでの在庫管理の主なメリット・デメリットは以下のとおりです。

メリット

デメリット

・コストがかからない
・操作に慣れている人が多い
・入力・編集・管理が簡単にできる

・大規模な管理は向いていない
・データ容量に限界がある
・リアルタイムで状況把握できない

表計算ができるExcelは、在庫の合計や発注数などの計算を必要とする在庫管理に適したツールで、一度は使ったことがある人も多いでしょう。
一から自分で在庫管理表を作る必要はなく、「Excel 在庫管理 テンプレート」といったように検索すると、無料で複数のテンプレートが見つかります。

ただし、Excelは大規模な管理には不向きです。
データ容量に限界があるため容量が増えると重くなり、複数拠点での管理や一度に複数人での管理はできません。

リアルタイムの在庫把握ができない点も、欠品リスクの増加につながる可能性があり、多くの品数を抱えているアパレル卸には向かないでしょう。
Excelによる在庫管理はあくまで小規模のアパレル卸に活用できる方法で、多くの部署や複数人での管理が必要であれば、このあと紹介する在庫管理方法を選択しましょう。

3-2. 在庫管理アプリを活用する

スマートフォンやタブレットで在庫管理アプリを活用して、在庫管理する方法があります。

在庫管理アプリの機能

・在庫確認
・在庫データの登録や編集・確認・検索
QRコードやバーコードの読み取りによる在庫データとの関連付け(場所や量など)

在庫管理アプリの主なメリット・デメリットは以下のとおりです。

メリット

デメリット

・直感的に操作できる
・在庫数や出荷状況などをリアルタイムで可視化できる
・手作業が減り人的ミスや作業効率化ができる
・画像を利用した機能を使える
・クラウド上でどこからでも利用できる

・無料だけでなく有料のものもある
・機能に限界がある
・企業規模が大きい場合は適さない

たとえば「ZAICO」や「クラプロ」は在庫管理アプリのひとつで、直感的に操作しやすく使う人を選びません。
カメラを起動して商品やバーコードをかざすと入出庫処理や場所の検索などができるので、素早く確実に在庫管理できます。

またクラウド上から確認できるので、「あの季節商品ってどこにしまったかな」と思ったときに倉庫にいなくても在庫を把握できるメリットもあります。
一方在庫管理アプリは無料のものもあれば有料のものもあり、さまざまな機能を使うには課金せざるを得ないケースもあるので知っておきましょう。

またスマートフォンやタブレット向けなので使いやすさを重視しており、機能もシンプルなケースが一般的です。
利用できる人数がある程度絞られてしまったり、登録できる商品数に上限があったりするので、大企業のようなあらゆる部署があり、多くの商品を扱う場合には向いていないでしょう。

小~中規模の企業であればまず無料版から試して、使い勝手を見てから導入を決めることをおすすめします。

3-3. 在庫管理システムを活用する

在庫管理に特化した在庫管理システムを活用する方法があり、以下のような幅広い機能で管理できます。

在庫管理システムの機能

・在庫一覧
・在庫データの登録や編集・確認・検索
・入出庫管理
・返品管理
・棚卸(データと現物が一致しているか端末を使ってチェックできる)
・在庫数に応じたアラート設定
・在庫分析

在庫管理システムには、先ほど紹介したExcelや在庫管理アプリとは比べものにならないほど多彩な機能があることで、以下のようなメリット・デメリットがあります。

メリット

デメリット

・直感的に操作できるものが多い
・在庫数や出荷状況などをリアルタイムで可視化できる
・手作業が減り人的ミスの防止や作業効率化ができる
・クラウド上でどこからでも利用できる
・欠品を事前に防げる
・人件費を削減できる
・企業規模を問わない

コストが発生することのみ

在庫管理システムを使うと商品の入荷から出荷までに必要な、入出庫の記録や出荷指示といった在庫管理を自動でおこなってくれるため、手作業が減り人的エラーが減少します。
繁忙期で複数の商品がサイズや色違いで納出荷が相次いでも、在庫管理システムがあればミスの減少を期待できるでしょう。

また在庫管理システムにはアラート機能が付いており、在庫の数量が一定値を下回れば通知が来るため欠品の予防効果もあります。
管理や処理に人の手を削減できるぶん人件費の削減も期待できるため、在庫管理システムには多くのメリットがあります。

そして在庫管理システムを導入するにあたって唯一のデメリットは、コストがかかることです。
とはいえ在庫管理システムを導入すると人件費の削減や不良在庫の減少による、キャッシュフローの増加を見込めるため、長期的な視点を見れば在庫管理に効果的な方法といえます。

4. アパレルの在庫管理を効果的におこなうコツ

 

ここまで、アパレル卸の在庫管理をおこなう方法についてご理解いただけましたでしょうか。
つづいてはアパレルの在庫管理を効果的におこなうコツを、以下5つ解説します。

5S活動を徹底する
・季節ごとや四半期ごとに棚卸をおこなう
・先入れ先出しを徹底する
・ほかの部門とも在庫の情報共有をする
・シーズンごとの在庫調整を計画的におこなう

順番に見ていきましょう。

4-1. 5S活動を徹底する

アパレルの在庫管理を効果的におこなうには、5S活動を徹底しましょう。

5S

詳細

整理

いるものといらないものを区別して不用品を処分する

整頓

いるものを使いやすい場所に置き、明確に位置を決める

清掃

作業環境を清潔に保ち、商品の点検をする

清潔

整理・整頓・清掃を実行して綺麗な状態を維持する

しつけ

整理・整頓・清掃・清潔を継続できるよう社内のルール化する

5S活動はただ職場環境の美化に取り組むだけでなく、以下のようなメリットがあります。

・不要な商品管理を避けながら不良品が顧客に流出しないようにでき、業務効率が向上
・必要な商品だけが残り、無駄な商品管理をなくせて欠陥品が顧客の手元に届くことがない
・「あの商品はどこだったっけ?」とならず、すぐに在庫の有無を答えられる
・欠品しそうな在庫の不良品の発見に気づきやすい

整理・整頓・清掃の3Sを残りの2Sである清潔としつけによって定着させることで、全従業員が効率よく在庫管理できるのです。
アパレル卸が取り扱う商品は膨大なため、従業員が個々に独自の在庫管理をしていてはその人が不在のときに、どこに何があるのかわからずうまくいきません。

従業員全員で管理できるよう、5Sを徹底しましょう。

4-2. 季節ごとや四半期ごとに棚卸をおこなう

季節ごとや四半期ごとに棚卸をおこなうことで、正確な在庫数を把握します。
法人および個人事業主は年に一度は決算処理をしなければならず、棚卸も1年に1回必要です。

しかし取り扱う商品数が多く、季節に応じて変動するアパレルの卸の場合、1年に1度の棚卸だけでは在庫のずれや在庫ロスの発見遅延が起こりやすくなります。
そのため季節ごとや四半期ごとに棚卸の実施が望ましいといえ、実際に半年に1度おこなっていた棚卸を在庫管理システムを活用しながら2か月に1度に増やしたところ、在庫管理の精度が上がった事例もあります。

参考:アラジンオフィス「システム導入事例株式会社ゲストリスト 様」

またすべてを一律にするのではなく、高額商品やトレンド変化の激しい商品など一部だけ月1回棚卸するといった方法も取り入れられると、よりいいでしょう。

4-3. 先入れ先出しを徹底する

在庫管理をするときは、先に入庫した商品から出庫する「先入れ先出し」を徹底してください。
食品では賞味期限の問題もあるので先入れ先出しが重視されますが、アパレルであっても同じです。

商品を保管する期間が長いほど畳んだ生地の折れ目から品質は劣化し、とくにポリウレタンは未開封でも製造時からおよそ2~3年で破棄することとなります。

素材

期限目安

ポリウレタン

2~3

本革

10年以上

合皮

3~5

ナイロン

3年以上

撥水・防水加工の素材

35

綿

大きな劣化はない

いざ受注があったときに商品の劣化により顧客へ納品できないという事態を防ぐには、先入れ先出しの徹底が重要なのです。

4-4. ほかの部門とも在庫の情報共有をする

在庫管理をするときは在庫管理部門だけでなく、販売や営業、生産管理部門などほかの部門とも在庫の情報共有をするとより効果的です。
販売や営業部門と在庫の情報共有ができれば、欠品状態が続いている商品の営業を取ってきてしまうことがなくなり、たとえ需要の高いトップシーズンのアパレル商品でも欠品リスクを下げられます。

また生産管理部門と在庫情報を共有しておくと、在庫状況を考慮しない生産計画を立ててしまうことがなくなり、在庫回転率の高い商品へ積極的に生産リソースを割いてもらうこともできるでしょう。
企業全体のパフォーマンス向上を考えるのなら、在庫管理部門だけでなくほかの部門とも積極的に在庫情報を共有してください。

4-5. シーズンごとの在庫調整を計画的におこなう

シーズンごとの在庫調整を計画的におこなうと、不良在庫を防ぎやすくなります。
アパレル業界は1年間を通した需要が同じではなく、たとえば春に売り出した商品のなかには真夏に着られないものが数多くあるでしょう。

トレンドを考慮する必要があるため、1年後の春に再び使えるとも限りません。
そのためには、以下のような対策を取りながらシーズンごとの在庫調整を計画的におこなう必要があります。

在庫調整方法

詳細

シーズン前

過去の同じシーズンの売れ行きを分析しながら初回発注量を6070%に抑えておく。

再発注するときに備えて、工場と連携を取っておく。

シーズン中

売れ行きのデータを取りながら、売れ筋商品について追加発注を取る。
動きが鈍い商品は値下げをして、受注を促し在庫回転率を高める。

シーズン終盤

売れ残っている商品の段階的な値下げをおこない、できるだけ不良在庫を残さないアウトレット・セール専門店への転送計画も視野に入れる

各シーズンごとに分けながら在庫管理をすることで、次のシーズン以降に不要な在庫を残しにくくなるため、微調整をしながら計画的に進めましょう。

5. アパレルの売上につなげる在庫管理には在庫管理システムの活用がおすすめ!

アパレルの売上につなげる在庫管理をするには、在庫管理システムの活用がおすすめです。
3-3. 在庫管理システムを活用する」にてお伝えしたように、在庫管理システムは在庫管理に特化した多くのメリットがあり、デメリットはコスト面だけです。

以下のようなアパレルに適した機能が数多くあるので、在庫管理の難しさを解決する大きな手助けになります。

在庫管理システムにはアパレル業界に適した機能がたくさんある

リアルタイムな在庫把握

現在の在庫が画面を見ただけで、何千点のアパレル商品でもいつでもすぐに把握できる

入出庫・入出荷管理

サイズや色違いの商品など、煩雑な入出庫・入出荷管理を自動でしてくれる 

商品情報の一元管理

複数の倉庫に分散している在庫情報や入出庫データをひとまとめに管理できる

返品管理

商品を返品した顧客情報と返品した商品の情報を登録できる

需要予測

過去の実績データをもとにして、トレンドや季節に合わせて今後の需要を分析できる

棚卸

棚卸表の作成が簡単にできる。
カウントにはバーコードを活用した読み取りの活用も可能なので、入力や照合業務を手作業より手間と時間を削減して効率化を図れる。

その結果、在庫管理システムをうまく使うことで、アパレル卸が抱える在庫管理の課題を解決してくれる強い味方となるのです。

在庫管理システムはアパレルの在庫管理の課題解決手段になる

取り扱うアイテムの種類が多い

バーコードやQRコードで商品の登録ができ、数やどこにあるのかなどがいつでもどこでもわかる。
多くの商品を抱えていても、効率的かつ簡単に在庫管理できる。

商品の需要予測が難しい

季節に応じた過去の売上データや市場動向を分析できるので、在庫の需要予測ができる。

返品リスクがある

返品率の高いアイテムは在庫管理システムで検索すればすぐわかる。
返品傾向のある小売店の把握や返品理由、素材の分析などがわかり改善への対策ができる。

アパレル卸が在庫管理をするのであれば、Excelやアプリでは手間や機能面において足りません。
在庫管理システムを導入してあらゆる方面から生じうる不良在庫をなくし、経営拡大を目指しましょう。

アパレル卸が導入するならWONDERCART(ワンダーカート)もおすすめ

アパレル卸が導入するなら在庫管理システムだけでなく、営業・販売に活用できるWONDERCART(ワンダーカート)もおすすめです。
WONDERCART(ワンダーカート)は、カタログ制作時の商品画像を二次活用してあらゆる形式にダウンロードできるシステムで、自社で扱う商品の数量や値段の登録も可能です。

見積もり書や提案書にも簡単に商品画像をダウンロードできる、商品名や商品コードだけの場合と比較して商談時に視覚的にわかりやすく、ダウンロード時間も数秒なので作業に時間はかかりません。
「在庫管理だけでなく顧客目線の資料づくりも検討したい!」という方はぜひ、WONDERCART(ワンダーカート)をご検討ください。

6. まとめ

アパレル卸の在庫管理について、ご理解いただけましたでしょうか。
最後に本記事の要点をまとめていきます。

◎アパレルの在庫管理の鍵は、不良在庫を見極めて適正化することです。

◎アパレルの在庫管理の基本の流れは以下のとおりです。

・棚卸しで現在の在庫数と状況を正確に把握する
・適正な在庫量を定める
・発注のタイミングを最適化する
・結果を考慮しながら最適化していく

◎アパレルの在庫管理をおこなう方法は、以下3つです。

Excelの在庫管理表を活用する
・在庫管理アプリを活用する
・在庫管理システムを活用する

◎アパレルの在庫管理を効果的におこなうコツは、以下5つです。

5S活動を徹底する
・季節ごとや四半期ごとに棚卸をおこなう
・先入れ先出しを徹底する
・ほかの部門とも在庫の情報共有をする
・シーズンごとの在庫調整を計画的におこなう

◎アパレルの売上につなげる在庫管理には在庫管理システムの活用がおすすめです。

本記事を参考に、あなたがアパレル卸の在庫管理について理解を深められると幸いです。

#アパレル #在庫管理

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